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Alter World Online ~26歳出会いたい系女子はVRMMOで女子力を磨きます~  作者: 半開き
4人目 チャラそうでチャラくないちょっとチャラいホスト系忍者
63/158

63.これまでとこれからと

本日より、

『4人目 チャラそうでチャラくないちょっとチャラいホスト系忍者』

が開始です。


よろしくお願いします。

 

 年の瀬。

 仕事も年末年始の長期休暇に入ったその初日。

 私たち、プリマヴェーラのメンバーは、はミカのお店、ヴォワ・ラクテに集まっていた。


 今日はクランメンバーでのお店を貸切っての、ランチタイム忘年会だ。


「そんじゃ、グラスはいい?かんぱーいっ!」

「かんぱいっ!」

「乾杯」


 クレスが乾杯の音頭を取り、私と先輩がそれに続く。

 普段はお客さんで込み合う、もはや人気店のこのお店も今日は貸し切りとだけあって、ちょっとがらんとしている。

 それでもアヤナはいるし、クレスの使役するメンズたちも今日は勢ぞろいして料理を作ったり飲み物をサーブしてくれたりしているので華やかさはあった。


「そういえばPV見たよ。プラムさん大活躍だったみたいだね」

「あはは…あれは成り行きで…まさかあんな風に撮られてるとは思ってなくてですね」

「人形遣いってみんな、あんななの?」

「あれは特別なの。しかも多分もう出来ないよ」


 二人が言っているのは、クリスマスイベントの光景をまとめたPVだ。

 イベントが終わった翌日の26日には公式サイトにアップされていた。

 大半は雪の降る幻想的な風景と、そこで過ごすプレイヤーたちを映していたものだったが、PVの後半雰囲気は一変する。


 あのクリスマスツリー広場で行ったメアリとの決闘、そしてその後の緊急クエストによるサンタとの死闘。

 その全てが、ダイジェストとはいえ、PVとなって全世界に公開されたのだ。

 …まぁ、全世界に公開とはいえ、日本在住の人しか見ないだろうけど。


 後悔があるとすれば、クリスマス当日に来たメール、PVを作製するので出演させてもいいかという簡素なメールに、ついOKと返事してしまったことだろうか。

 ほとんどイベントスペースにいなかったため、通行人程度に映ってしまったことに対する許諾かと思ったら、後半についてはほぼメインキャストだった。


 おかげで知らない人から声を掛けられることは増えたので、変装は必須項目となった。

 正直私でこれだから、メアリ(主役)はどれほど騒がしい事態になっているかは想像に難くない。


「でも最後のあれは、お願いされてやったんじゃないの?」

「ブフフォアっ!!」

「うわ、きたなっ」

「わ、大丈夫?」

「…いえ、すいません。少し取り乱しました」

 思わず吹き出してしまったハイボールをふき取る。


 そうなのだ。

 PVの一番最後。締めの一言。

 それが。


『メリークリスマス!』


 アヤナと一緒にコスプレしたあげく、きっちりポーズまでつけたあれがそのまま使われたのだ。

 一体どうしたらあんな完璧なアングルで撮れるのかしらないが、知らない人が見たら完全に撮影したものとしか思えないカットだった。


 完全なる黒歴史だ。




「ところでプラムは実家帰るの?」

「んー、一応ね。近いし」

 隣県にある実家は、新幹線に乗るまでもなく在来線だけで里帰りが可能だ。

 そう頻繁に顔を出す性格でもないので、こういうタイミングでもないと中々帰らないし、一応帰省はするつもりだ。

「でも今回は日帰りにしようと思って」

「どうして?ゆっくりしてきたらいいのに」

 先輩が不思議そうに聞いてくる。

 まぁ、たまにしか帰らないんだからゆっくりしてきたほうがいいんじゃって気持ちは分からないでもない。

 ただ今年はちょっと事情が違う。


「亮ちゃんと…あ、亮ちゃんっていうのは元カレなんですけど、別れたっての家族に言ってなくて…」

「その、亮ちゃん?は家族には紹介してたの?」

「はい…さすがに四年以上の付き合いだったので…」

「なるほど。じゃあちょっと気まずいかもね」

「そうなんです。特におばあちゃんが亮ちゃんのこと気に入ってて、どう打ち明けたものか悩んでるんです」


 おばあちゃんは足が悪いから、あまり動き回れない。

 亮ちゃんがちょうど介護福祉士の勉強をしているところだったので、ちょっと介助をしたらすこぶる高評価となってしまった。

 実家に帰るたびに、亮太さんはいないのか、と言われるが彼女の実家に来るのは気まずかろうと中々連れて行かなかったのだ。

 そして前回お盆に帰った時に、おばあちゃんから次は必ず連れてくるように、と厳命されてしまった。


 そしてその間にあんなことがあって…。


「とりあえず今回はなあなあにやりすごして、さっさとこっちに帰ってこようと思ってるんです」

「そううまくいくかねぇ?」

 クレスが不安を煽ることを言ってくるが、今更他に手段はないのだ。


「クレスは向こうの実家でしょ?」

「そだよー。徹がずっと忙しかったから、結構久々なんだよね」

「向こうの実家行くのは嫌じゃないの?」

「全然。向こうは料理も美味しいし、楽しみなくらい」

 クレスの性格なら、旦那の実家だろうと上手くやっていけるようだ。

 じゃあ休み中はずっと向こうなのかな?

「んーん。元日と二日だけ。徹が仕事あるから一泊二日で帰ってくるよ」

「うわあ、お正月も殆ど休めないなんて本当に忙しいんだね」

「なんかそうみたいだね。もうちょっとしたらまとめて休み取るって言ってたから、そしたら海外でも連れてってもらおうかなー」

 あー、羨ましい!私も海外旅行に連れてってくれる、優しい旦那さんが欲しいよ!


「ハルキはどうするの?実家?」

「ちょっと旅行に行ってくる予定だよ」

「へぇ、海外?」

「そうだね。ちょっと北欧のあたり行ってみようと思って」

「え、まさか一人でですか?」

「そうだよ。有休消化も兼ねて長めに休み取ったから、しばらくバックパッカーしてこようと思って」

 はー、すごい!一人で海外旅行、しかもバックパッカーでってすごくない?

 私には真似できない行動力だ。


「プランさんに感化されたからだけどね」

「え、私?」

 思いもよらなかった先輩の発言に呆ける。

「そう。私ももっと見識を広めて、いろんな人と接した方がいいのかもって思ったんだ」

「???」

 私、先輩になんかそんなようなこと言ったっけ?

 頭に?が浮かぶが、先輩はにこにこと笑顔のままだ。

 よくわからないが、私も笑って誤魔化しておこう。


「アンタなんにもわかってないでしょ?」

 クレスにはバレるよねー。




「そういえば、さっきの人形いっぱい出すやつ、もうできないって、なんで?」

 クレスが小首を傾げながら聞いてくる。


 そうなのだ。そして私にとって重要なことがあのイベントが終わったあと起こった。

 人形使役についての仕様変更だ。

 内容としては、多数使役時の消費SPの増加。

 今までは人形の使役数が増えてもSPの消費量は変わらなかったので、自動回復とSP回復薬でなんとか賄えていたが、今後は7体以上の使役からはSP消費が跳ね上がるようになった。

 7体以上ってのは、モンスター使役とか魅了が7体までしか出来ないってのに合わせたんだと思う。

 まぁそれでも、短時間ならその数を超えても使役できるし、回復薬をばかすか使えばなんとかなるから絶対に無理って訳じゃないんだけどね。


「ふぅん。なんか残念だね。一回見てみたかったのに」

「見たいだけなら、出来るよ。うちのアトリエなら私の自動回復も効果増幅されるから大丈夫」

「じゃあ今度見にいこっかなー」

 という事で今度先輩と一緒にアトリエに来てもらう約束をした。




「それで、自動人形修復の進捗はどう?」

 今度は先輩が聞いてくる。

「機工は大分上がりました。もうちょっとでLv.50です。

 木工は目標レベルの40まで上げたのでオッケーです。

 錬金はこの休みの間になんとか、って感じですかね」

「じゃあもうすぐ出来上がりそうな感じ?そしたらこれ渡しておくよ」

 といってクレスが取り出しのは、記憶核だ。

「あたし、年末年始はいつログインできるかわかんないし、早めに渡しておくから使えるようなら使っちゃって」

 そういって投げ渡してくるけど、結構貴重なものじゃないの!?もし落として壊れちゃったりしたらどうするの!

 私の心配もクレスにはどこ吹く風だ。


「そっか、じゃあ私が帰ってくるころには新しい自動人形がいるのかな?」

「そうかもしれませんね。あ、でもイプシリムに行くのは先輩が帰ってきてからにしますので」

 自動人形一体につき、あのイベント一回しかチャンスがないとすると、万全の状態でやりたいものだ。

 クレスもそれは理解しているらしく、いいよと言ってくれた。

「海外からアクセスできたらいいんだけどね。ちょっと行ってみないとわからないから」


 なんにせよ、私がスキルレベルを上げて修復を終わらせなければ始まらないのだ。

 私は決意を新たに、一層気を引き締めるのだった。

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