表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

永遠の約束

「お帰り、リュカ」

「ただいま! バード!」


 やっとバードに会えた。会いたかった。

 私はバードの胸に飛び込んで、自分が帰って来たことを実感する。


「天界の用事は済んだ?」

「うん。でも、いつでも遊びにいらっしゃいってママが」

「ママ? リュカを産んだ女神?」

「うん。顔がアレと同じでビックリした」

「うわぁ」


 バードもドン引きの悪趣味さらしい。


「同じ顔同士で子供を作って産んだのに、私は髪と瞳の色を受け継いだ以外は外見は似ていないんだよね。どうしてだろう?」

「リュカがアレの作品じゃなくて、完全に別物のオリジナルだからじゃない?」


 なんだか分かるような分からないような。


「ところで、ハネオたちは天界で仕事?」

「あ! 忘れて来た!」


 天界での用事を済ませたら、とっとと帰って来たくて一人で来てしまった。

 私はハネオとコイヌの生命石を握り、来いと念じる。

 紫の光と水色の光が庭に集まると、ハネオとコイヌが現れた。

 ハネオは寝具を一式抱えている。


「ハネオ。それは?」

「ちょうど羽根が生え変わる時期だったから、掛け布団と枕を作ってみた。布の部分は天界の衣を使ったから手触り最高だぞ!」


 おお! これはすごい。スベスベでサラサラで軽くてフワフワだ。


「俺の羽根が生え変わる時期には、ベッドマットをプレゼントしますね!」


 私はこの先、極上の睡眠を約束されているようだ。


「ハネオ、待っていたよ。僕の姿で王太子の仕事をして来て?」

「へーへー。仕方ねーなぁ」


 ハネオがバードの姿に変わる。

 え? 天使って変身能力あったっけ?


「ハネオは僕の眷属だから。天使っぽくないことも出来るんだよ」


 そう言えば、そんなことも聞いた気がするような。


「俺、中でお茶淹れてますね! あとコレ、部屋に運んでベッドメイキングしておきます」


 コイヌがハネオ製羽毛寝具を抱えて、聖女の館の中へ入って行った。

 働き者だ。


「リュカ。十年後、僕の後継の第三王子が成人したら、この国を出ない?」

「うん。私たちは齢を取らないから、それ以上は限界だろうな」


 バードと二人、庭を歩きながら話す。


「それもあるけど、十年くらい休んだら、多分世界のメンテナンスが必要だよ?」

「だね。私も考えてた。しばらくは創造の方は要らないと思うけど、役目を終えたモノを消滅させて後始末しなくちゃ」

「ん。消滅は任せて」


 世界も一つの大きな生命体だ。

 役目を終えた古いモノを排除して、新しいモノを生み出す準備が必要だ。

 準備が整ったら新しいモノを創り出し、世界は代謝しながら成長して行く。


「私の伴侶は、バードじゃないとダメだな」

「僕の伴侶もリュカじゃなきゃダメだよ?

 これからもよろしくね? 二人とも死ぬまで」

「うん。よろしく。死ぬまで」


 それは私たちの永遠の約束。


 世界の維持も破滅も手の中に。私たちは生き続ける。

 たまには世界を最初に創り出した、寂しがり屋の男がいたことを思い出して。

リュカとバードの物語は、これでお終いです。

二人とも不老不死なので、何処かで元気にしていることでしょう。ハネオとコイヌも一緒に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 幸せな、未来ある終わり方でよかったです。 そしてイケメンに変化したハネオがむしられなくて本当によかった…!天使の羽根ははえかわるんですね、鳥みたいにはえかわりシーズンはハゲハゲになるのか…?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ