2人の強敵
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佐々木の態度が豹変した。
「左腕が折れた、 スゲー痛い、 利き手を守るのがやっとだった、 君は悪人だ、 殺す」
「落ち着け、 佐々木」
長髪の男、 宮本烈が佐々木をなだめる。
「うるさいな、 僕の刀を貸してくれ」
「断る、 1人で戦うつもりだろ?」
「別にいいだろ、 俺1人でアイツは殺す」
「単独の戦闘は禁止だと、 リーダーに言われただろ」
「 ────── 」
佐々木は大きく深呼吸をする。
「そうだったね、 ありがとう、 れっちゃん」
「それが俺の役割だからな」
ちっ、 感情的になったら楽勝に殺せると思ったが……
対策済みってか……
(変態、 あんたも落ち着きなさい)
(いや、 俺は落ち着いているけど)
(よく聞きなさい、 別に2人を殺す必要はないわ、 1人殺せれば上出来よ)
(それでいいのか!?)
月影の思わぬ発言に俺は驚いた。
(私たちは宮森先輩をこの状況から助かるって条件で、 情報交換したのよ)
なるほど…… 月影の言いたいことが分かった。
別に殺して欲しい。 と頼まれた訳じゃない。
あくまでもスーパーから外へうまく逃げたいから助けて欲しい。
そう言うことにしたいのだろう。
(分かったよ、 それでいいですか宮森先輩?)
(2人殺してくれたら助かるけど、 そこまで言ってなかった私たちの誤算だ、 構わないよ)
(ありがとうございます)
月影はアホだが、 指揮をとる洞察力は抜群だ。
まるで、 2年と3年の両方を出し抜いた気分だ。
「ほら、 お前の刀だ」
「さてと、 2人で琥太郎の首を落とそう」
アイツら、 マジで俺を殺す気満々じゃねーかよ……
それに、 あのロン毛が持ってた刀、 アイツのじゃねーのかよ……
佐々木が刀を手に取った。
ロン毛の方は背が高くて分からなかったが……
なんだあの刃渡りの長さは……
普通の刀よりはるかに長い。
1尺以上2尺未満くらいが普通だ。
長刀だって3尺ってところだぞ。
けど、 アイツの刀の刃渡りは4尺はあるだろう。
(※1尺は30.303 センチメートル)
つまり、 だいたい121cmくらいか……
長すぎる。
佐々木ってやつはどう見ても低身長だ。
160くらいの身長にもかかわらず、 あの長刀。
そして、 あのロン毛…… 宮本だっけか?
武器すら持ってないが、 どんな能力なんだ……?
「考えごとかい?」
「 ────── !!」
凄まじい速度で長刀を振りかざす。
なんつー距離感だ、 刀は近いのに、 相手は遠いい。
刀と戦ってる気がしない。
銃弾のような速度で振り払われる刃。
クソが、 避けきれない。
「─────── がぁぁ… 」
俺の首から血が吹き出る。
一直線に伸びてきた刃が俺の腕を貫き、 喉を貫いた。
声がでねぇ……
刀が刺さった状態のせいで再生出来ていない。
琥太郎は後ろへ下り、 無理やり刀を引き抜いた。
「すごいね君、 この傷でよく動く」
幸いにも、 首の周りは大量に血がついている。
もう治っていると気づかれていない。
首の傷を手で押さえ、 ゆっくりと体制を立て直す。
「佐々木、 油断するなよ」
「分かってるよ」
やっぱり、 あのロン毛の冷静な判断は邪魔だな。
2人をなんとか引き剝がしたいが……
近づくと速度遅くされるし、 距離を取っても長刀の攻撃がくる。
ロン毛の能力も分からない。
やりづらい、 けど……
さっきスマホを蹴った時に分かったが、身体強化ってのは俺の想像以上の物だ。
近づかなくても、攻撃方法はある。
琥太郎はコンクリートを殴りつけた。
もちろん、 身体強化された琥太郎の拳はコンクリートを砕いた。
「 ────── !! 」
だが、 佐々木は琥太郎に刀を向けることもなく、 後ろを振り向く。
「ちょうどいい」
──────!
大型トラックが後ろを通り過ぎた瞬間、 佐々木はその長刀でトラックのタイヤを斬った。
タイヤを斬られたトラックは操作を失い、こちら側へ突っ込んでくる。
「クソが……」
コンクリートをトラックにぶつけたら、 運転手は即死だ。
運転手は一般人、 死なすわけにはいかない。
そにれ、 奥には負傷者が大勢いる。
琥太郎はトラックを必死で抑えに走る。
「無茶苦茶だぞぉ…… クソが…… 」
「琥太郎!」
「琥太郎さん!」
月影と霧雨の声が聞こえた。
普段からそう呼べよ……
───── 琥太郎は勢いよくトラックと激突した。
トラックは大破しているが、 破壊したコンクリートの場所で止まっている。
「随分と頑張ったね、 ボロボロだけど大丈夫?」
「無様だな」
大破したトラックの正面で、 琥太郎は倒れていた。
決して窪みが出来ていたからトラックが止まった訳ではない。
琥太郎は、 突っ込んでくるトラックに自分から突っ込んで行った。
そして、 そこまで引きずられながらも、 琥太郎が止めたのだ。
全身血まみれだ。
多分、 全身の骨が折れているだろう。
「琥太郎! しっかりしなさい!」
「琥太郎さん!」
涙を流しながら必死で叫ぶ月影と霧雨の声がよく聞こえる。
普通なら即死だろう。
だが、 俺は違う。
不死身だから
─────────!!!
「──── ぐゔぁぁぁ 」
佐々木が突如、 長刀を手放すと、 よろめきながら膝をついた。
「なんだよ…… こりゃ」
脇腹から血が溢れ出ている。
佐々木の脇腹に車の破片が突き刺さっている。
「油断するな。 ですよ」
「 ──────── !!!」
「こんな時だけじゃなくって、 普段から今みたいに名前で呼んでくれませんかね?」
トラックの下からゆっくりと起き上がる琥太郎の姿を見て、 慌てて月影は涙を隠した。
「生きてるなら、 さっさと戦いなさいよ」
「泣いて心配してくれてたくせに……」
「は? バカじゃないの!? 殺されたいわけ!?」
「死にかけたばかりなので勘弁です」
「琥太郎ざんが、 いぎででくれたぁぁ……」
鼻水を垂らしながら号泣する霧雨。
あの姿でもここまで心配してくれると悪い気分はしないな。
運転手は気を失っている。
少し血が出ているが軽傷だろう。
「僕の勝ちですね」
「殺す…… 」
血を吐きながらも何とか叫ぶ佐々木。
「喋ったら死ぬぞ」
宮本が冷静に忠告すると、 刀を覆っていた白い布で腹部を止血し始めた。
白い布は一瞬で赤色に変わる。
ここで見守るって選択肢は俺にはもうない。
ここでアイツらは殺す。




