後編
*あの後の話
先輩「…つまり俺達の獲物は同じという事で間違いないか?」
王子「女の子を獲物扱いはどうかと思いますよ、先輩。」
先輩「理解している時点で君も同じだろ、それとも関係ないと思うのならさっさと帰るといい。」
王子「いえ、先輩と違って俺はちゃんと異性として見てますから、彼女をそんな風に考えられないだけです。」
先輩「君にとって女性は全員異性だろ?微笑みの王子サマ。」
王子「先輩に言われたくはないですね、ベストセラーの作家サンは毎日女の子に囲まれて大変そうじゃないですか。」
先輩「適切な距離は保っている、ファンは大事にすべきだろう。」
王子「俺も求められる役を演じてるだけですよ。ただ、彼女は別です。」
先輩「はっ、クラスメイトの狂気にも気付かないでよく言えるな。」
王子「…反省してますよ…。言い訳にしかなりませんが、俺なりに彼女を守っていたんです。俺が誰か一人を特別扱いするのを嫌がる子も少なくないんで…、女の嫉妬は恐ろしいんですよ。」
先輩「女の嫉妬か…、覚えが無いわけではないが…。」
王子「だから、引いて見守るのはもう止めました。彼女の隣で盾にでも矛にでもなってやりますよ。」
先輩「君への偏見を改めた方がいいようだな。しかし、彼女は優しすぎる、あの女は彼女を利用していたのは明らかだ、それなのに罪にも問わないなんて。」
王子「同意です。彼女は自己評価が低すぎる。」
長身「あー…、それは俺も思います。顔真っ赤にして怒るのも悪くはないですけど、自分に言い寄る男なんかいないと思ってるのか、意識してくれないんですよねー、からかってる訳じゃないんだけどなぁ。」
先輩・王子「「君は何をやったんだ。」」
長身「え、壁ドン?とか顎クイとか言ったかな?ダチがこれで女は落ちるって言ってたんで。」
先輩・王子「「…!!」」
長身「って、怖い怖い!先輩方なんで睨むんすか!?」
先輩「はぁ、どうも君への認識も改めた方が良さそうだ。」
長身「あざす…?ま、結局は彼女が選ぶんだから、俺らがどーこー言っても始まらないんじゃないんすか。」
王子「そうだね、尊重すべきは彼女の意思だ。」
先輩「当然だ。」
先生「よし、上手く纏まったようだから俺はもう行くぞ。」
王子「なに傍観者気取りでいるんですか。聞いてますよ、先生彼女に留学を提案してるそうじゃないですか。なんでも行き先は先生のお母様の母国だとか。」
先生「何もわからない場所より安心だろ。」
王子「はたから見れば先生にこきつかわれてる様に感じますが、大した用でもないのに彼女を呼びつけているのは何故ですか?俺からすれば、ただ傍に置いておきたいだけに見えます。職権乱用ではないですか?」
先生「勘違いすんな、職権乱用じゃなくて"特権"だ。」
長身「…うわぁ。スゲーどや顔…。」
先生「つまるところ、結局は全員ただの野郎ってことだ。女は一人、やることは決まってんだろ。さ、解散解散。」
長身「…行っちゃいましたね。」
王子「俺ももう行きます、彼女とのバイトに遅れる。」
先輩「そう牽制するな、馴れ合う気はないが、張り合う気もない。」
長身「うわ、やべっもうこんな時間だ、んじゃ、お先に失礼します!…あ!先輩方、家の力とか卑怯な手は使わないで下さいねー!」
先輩「ったく、当たり前だ。」
王子「ふう。では自分も失礼します。」
先輩「あぁ、じゃあな。」
*個別ルートエンディング(ダイジェスト)
先生……主人公は卒業後、先生の薦めで留学します。学園を辞めた先生と二人、先生の育った国に行き、先生は語学学校で働きだす。
先生に助けられながらも馴染んできた頃、現地の元カノ(現役モデル)が出て来て主人公は大人な二人にモヤモヤします。
先生も昔バイトでモデルをした時のカメラマンが有名になっていて、また一緒にやらないかと元カノ経由で誘われたりします。
懐かしい仲間と仕事は楽しくて、先生は主人公といる時間が減ります。
元カノは散々二人の仲を掻き回します、主人公は一人帰国しようとしますが、先生は恩師から、主人公は旅行に来た両親の助言によって成長した二人はちゃんと話し合い、絆は確かなものへと変わります。
元カノがムキーッあんた達なんか知らない!勝手に幸せになれば!と捨て台詞をはいて退場します。
海の見える教会でささやかな結婚式をあげ、先生が主人公の家に婿入り。
一族と疎遠の先生が嫁いで来たことを、お祖父様はよく思いませんが、通訳として主人公の父の会社の海外支部で働く事にした為、世界中を一緒に飛び回ってバリバリ仕事する二人には特に影響はありません。
王子……主人公と交際しながら、お店でコツコツ料理の修行をしますが、後を継げと迫る王子の父親は止めさせようと圧力をかけ邪魔します。お店にも迷惑をかけてしまい落ち込む王子を主人公は慰めます。
王子は店を辞めて家出同然に独り暮らしのを始めます。結果、親子の溝は埋まらず喧嘩別れに。
主人公に王子は言います、無理にとは言わないが俺についてきてほしいと。夢を叶えたいという王子の強い意思に主人公も着いていくことを決意します。
抱きしめられ、絶対に幸せにするから、と言われますが、主人公は怒ります、そして言います。二人で幸せになるんでしょ、と。
王子の愛情は限界突破します。
月日は流れ、王子と主人公の夢が詰まった小さな洋食店が軌道に乗った頃、客として王子の両親が来店します。
王子の母親に半ば無理矢理連れてこられた父親に、王子は父に初めて教わったメニューを作って出します。
思い出の料理の優しい味に涙して、王子を認めてくれます。
主人公と結婚してた事に驚くも、既にお腹の大きい主人公に大喜びしてくれます。
後に、産まれた長女にデレデレする良く似た顔の男二人が見られます。
先輩……まずプロポーズされます。学園を卒業したら結婚しようとか言います。主人公を逃がしたくないのです。
主人公はどうにか学園卒業後まず同棲、結婚は主人公が大学を卒業してからという妥協案をもぎとります。
先輩が住むマンションへ住み始めて早々、先輩と若手女優の熱愛報道が出ます。
しかし、騒動はすぐおさまります。何故なら先輩がテレビの生放送で、愛してる彼女と結婚を前提に同棲してる。とぶっちゃけるからです。
おまけに順調だった俳優業も引退します。何故なら主人公ともっと一緒にいたいからです。
小説家として安定しますが、数十年後、またしても自身の小説の映像化に出演し世間を騒がせます。何故なら主人公との馴れ初めを(大いに)脚色した恋愛作品だからです。
先輩のお母様は息子の隠しきれない情熱にドン引きしつつ、主人公の味方になって先輩の暴走を怒ってくれます。
ちなみにですが、お母様が先輩の教育に厳しかったのは、自分がダメ男を寄せ付ける体質で(離婚した先輩の父親もそうだった)男の子の育成に神経質になりすぎたためです。
長身君……実はかなりいいとこのお坊ちゃん。家庭の方針で義務教育は一般の学校に通っていた。
健全なお付き合いをしていたが、長身君は学園卒業と共に海外へスポーツの武者修行に出てしまいます。
主人公は、待たなくていい。と言われ、自然消滅します。
数年後、大した成果も出せずに帰国するも経験を生かしてスポーツブランドを立ち上げ、大当たり。実家の事業規模がまた大きくなります。
そんなことを知らずにOLしていた主人公と偶然再会します。
仕事の関係でちょくちょく顔を会わせていくうちに、お互いの気持ちが変わっていないと知り、復縁。
お邪魔キャラは長身君の秘書。主人公を鼻で笑い、絡んで来るけれど、主人公が実はお嬢様だと知ってからは大人しくなる残念な人。
とあるパーティーで、長身君の実家との繋がりに喜ぶおじいさんが出てきますが、長身君が、俺はそんなことのために彼女を選んだんじゃない!とかっこよく決めてくれます。
その場で膝まずいて指輪の入った小箱をパカリ。結婚を申し込みます。
結婚式でお姫様抱っこしてくれます。
秘書さん(運転手)……隠しキャラ的な人。おじいさんが主人公の家に乗り込んできた時にいたお供もこの人、事態が動いたきっかけの花火大会の裏で動いていたのもこの人。
そんな人ですが主人公の成長を優しく見守ってくれます。
主人公引越後、主人公の父がちょくちょく飯食ってけと家に連れ込むので、主人公と会う頻度が一気に上がります。
付き合いたてのように仲のいい両親に気を使う主人公に気付いてくれ、大学入学を機に主人公の一人暮らしを提案してくれます。乗り気ではない両親を説き伏せ、物件選びも手伝ってくれます。
主人公はそこそこキレイで安い物件でいいのですが、両親(特に父)が家賃が高くとも防犯重視だったので、父も秘書さんにお任せです。
進路の相談にも乗ってくれたりと主人公にとって頼れる兄のような存在になります。
観察力が凄いので、初めて彼氏が出来ると直ぐバレます。
主人公が別れると友のように慰めてくれます。
就職してから主人公の元カレがストーカー化し再登場します。怯える主人公を抱きしめてくれて、助けてくれます。
秘書さんはいい仕事をするので、間違いなくストーカーは二度と現れないでしょう。
主人公が秘書さんへの恋心に気付いた矢先、秘書さんがお見合いするらしいと母から聞かされます。(焦れったい二人の為に母がついた嘘だと後々知ることになります。)
いてもたってもいられない主人公は玉砕覚悟で秘書さんにプロポーズまがいの熱い愛の告白をします。
断られる訳ありません、勿論両思いです。
やっと自分の所に落ちてきた主人公にほくそ笑み……げふん。やっと自分を見てくれた主人公を受け止めてくれます。
父の後を継いだ彼の妻として幸せに過ごします。
隣のクラスの子……主人公は卑屈になり過ぎて、言い寄る男は自分じゃなく家柄を見ているんだと結論付け、誰も選びません。
さらに、隣のクラスの彼女の影響で立派なヲタクへ進化します。
二人は趣味の域を越えた情熱ゆえに会社を作ってしまいます。
あっという間に有名メーカーになります。
大手メーカーも多数参加する大規模な新作披露イベントで、信者とも呼べる程のファンに出会います。
生きる喜びとまで言うその女性は、ずいぶん雰囲気の変わった『あの子』でした。
三人は熱い本音をぶつけ合い語り合い(注、好みのシチュや推しの話などです。)そうして真の友人になった彼女達は、お一人様への道を仲良く歩むことになります。
全員……あるゲームにのみ存在する未来。
ここまでお付き合い下さった方に最大の感謝を。




