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パソコンヒモ男  作者: ふじふじ
対決編
45/47

役者

川崎の居酒屋。なんでも英子の行きつけの店らしい。しかし英子には飲み友達などいるのであろうか、それともオヤジのようにカウンターでアタリメでもしゃぶりながら飲んでいるのであろうか。絶対そうだ。


「なんだか、みんな揃って食事なんてずいぶん久しぶりなきがするわ、仲間だというのに」

「そうですね、ここのところ、ずっと仕事してましたからね、我々」


「そうね、二人仲良く”仕事”、してるみたいね」


サブローの充実した表情を見て、腹立たしくなったさよりはキッと英子を睨み付けると、歯をギリギリしながら言った。


「さ、さよりさん、その通り、仕事よ仕事」


「はぁ・・・、私はいつも通り、自分のやるべきことをやるわ。今日は、まぁたまたま?居合わせているだけ。仕事もあるし、あとは3人でやってくれるかしら」


絵美が珍しく空気を読んだ発言をした。


「あ、絵美、もう行ってしまうの?」

「これから”役者”との打ち合わせがあるのよ、ちょうど川崎で待ち合わせなの」

「役者?」

「ええ、これからの仕事の関係のね」

「ほう、ゲームの関係の役者さんですか」

「少し違うけど、まぁそのようなものね、終わったらまた合流するかも」


絵美はそういうと何も注文する前に、早々に席を立った。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


気まずい、なんだか最近さよりは怖いのだ。育児が忙しくなると、事務所になかなか来なくなり、サブローと聞き込みを開始したぐらいから、よそよそしくなってここ最近は殆どしゃべっていない。


英子は恐る恐る話を切り出した


「さよりさん?」

「何よ」

「む、娘さんは今日はどうしたのかしら」

「ベビーシッターに預けてきたわ」

「そう、残念…、会えるかと思っていたのに」

「いやよ、こんな騒がしいところに私の可愛い娘を連れてくるなんて(英子もいるし)」

「そ、それもそうね」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


「ご注文は?」


いいタイミングで店員が注文を取りに来た。


「え…、あぁ、レ、レモンサワーで」

「あぁ、僕もそれで」

「っっ…ふん、私は中生」

「さよりん、当分お酒は控えるって…」

「何よ、いいじゃない」

「は、はい…」


どうやらサブローも怖いさよりにギスギスしているようだ。お互いそうであれば、まぁ二対一でなんとかなるかもしれない。英子はそう考えると仕事の話をすることにした。


「さ、さより、最近はアレね。三年前の爆破未遂事件でサブローさんを引っ張り回してしまって、ごめんねさいね、帰りも遅くなったりして」

「ああ、仕事なんでしょう?聞き込みは二人でやってるの?」

「あ、ああ、そうなんだよさよりん。英子さんが質問して、僕が記録係」

「ふん、そうなの。経過は順調なの?」

「それが、なかなか関係者や目撃者の見当がつかなくって、なかなかうまくいかないのよね」

「まぁでも、あの警察の方に聞けば少し洗い出せるかもしれません」

「そうね、あの男にまた会うのは嫌だけど、こうなったら背に腹は替えられない」

「ふーん、大変なのね…」


さよりは興味なさそうに二人のやりとりをジト目で見つめた。


「あのぉ…」


「そうそう、そういえば、サブローさん今までのメモは持っている?」

「ええ、全てを克明に記録してあります」

「あ、サブローくんのメモね」

「え?さよりは知ってるの?」

「ええ、私の夫なのよ。当然知ってるわよ、めちゃくちゃ細かいでしょう?」

「そう、そうなの目配せしたとか、左手でカップを持ったとかどうでもいいこともたくさん」


「ええっと…」


「どうでもいいねぇ、どうでもいいいなんて、ふふふ草生えるわ。英子、まだあなたはサブロー度が足りないと言わざるを得ないわね」

「なによ、そのサブロー度ってw」


「先程から聞いていると」


「そう、今はメモの細かさの話をしているところなの。あのメモに私の本もだいぶ助けられたわぁ、あの時なんだっけー?っていうと、全部サブローくんがまるで目の前に再現するように答えてくれるのよぉ」

「メモの細かさなら誰にも負けません」


あっはっはっは。そうなんだ、かわらないのか。


やっぱり共通の話題、サブローの話になると盛り上がる。少しさよりの機嫌も直ったようだ。ここはずっとこの話で引きずって。


「今、このままずっとこの話をしようと思ったでしょう!そうはいきません!」


「誰あんた?」


気がつくと、背の高い男が三人の前に立っていたのであった。

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