神は時として残酷だ
とても久しぶりな気がします。
2人の背中を押しながらなんとか生徒会室の前まで来た。ここは人があまり来ないところにあるから少し落ち着く。
2人を押してきたせいか少し息が上がる。
「そんなに急いでどうしたん?そんなに他のみんな待たせるのが嫌だったん?」
こいつはいつもいつも本当にわかってないな!わざとかっていうくらい自分に対しての他からの目を気にしないぐぬぬ。
「それもあるけどそれだけじゃないよ」
説明するのも面倒臭いし多分私達以外はもう集まっているであろう。今日の事について報告と今後の事について話し合うかもしれないし早く中に入らなければ。もしかしたら私達が来る前に話しをしているかもしれないけど。
「まぁ、大した理由じゃないから早く中に入ろう?」
片瀬君は少し不思議そうな顔をしたけどそれ以上追求することもなく「せやね」と言ってドアを開けた。
思っていた通り私達以外の生徒会メンバーは揃っていた。そして副会長様の不機嫌オーラもマックスである。
ふっ、これも予想済みだったよ…。
なんとも入りにくいけど自業自得なので仕方ない。
「遅れてすみません…」
副会長が私を見る。かと思いきや私の後ろにいる2人を睨みつけている。
どういうこっちゃ。
「片瀬、恭介なんで遅れた」
いつも以上にドスの効いた声で身震いする。
「だいたい想像つくでしょ?」
後ろにいるから顔は見えないけど一条先輩の声もいつもより冷気をまとっている気がする。
「想像は出来るが事実ではない」
片瀬君といい一条先輩といい副会長といいなんで今日はこんなにどんぱちしてるの。意味がわかないよ。しかも蔵内先輩は何が面白いのかニヤニヤと2人のやりとりを見ている。
わんこ先輩は我関せずでソファーで寝転んでるし雫ちゃんは「あの2人どうしたの?」みたいな目線を送ってくるし。あの2人がなんでどんぱちしてるかなんて私が知りたいよまったく…。間に挟まれてる私の気持ちにもなってよー!
「まぁ、簡単に言うたら俺たち柚木ちゃんのこと待ってたんですわ。今日の事もあったし心配やったから。俺ら副会長さんみたいに呑気と違うんで」
片瀬君お前えええええええええ!火に油注いでるやん!最後の!なんで最後の余計なこと言ったかなー!ほら!副会長様のお顔がどんどん険しくなって行くじゃない!しかも私待ってたとか言ったら結局私が悪いみたいになるじゃん!いや、悪いんだけどね!でも軽減していた可能性も…!
「それはお前らがアホなだけじゃないのか?今日来て今日また来るやつなんていないと容易に考えられる。ただでさえ今日は満月だから早めに切り上げようとメールで言ってやったのに…」
「それはそうですけど…」
副会長と片瀬君が何かごちゃごちゃ言い始めたけど今はその事よりも副会長の「今日は満月」という単語が頭に引っかかった。
なんだっけ、もやもやする。なにか、なにか大切な事なんだけだ上手く思い出せない。
もしかしたらゲームのシナリオについてなのかもしれない。蜜柑が「思い出しにくくした。」みたいな事を夢で言っていた気がする。
んー。こう、あと少しだと思うんだけど出てこないスッキリしないー。
私が2人の口喧嘩?を無視して頭を捻らせていると一条先輩がとんとんと肩を叩いてきた。
「大丈夫?何か困りごと?」
「あ、いえ、大丈夫です。忘れていることがあるはずなんですけど思い出せないだけなので」
「それって大丈夫なの?」
くすっと笑ってから一条先輩が尋ねる。天使の笑顔ごちそうさまです。
て、そうじゃなくてー。
「思い出せないってことはそんなに重要なことじゃないんですよきっとー。あはは…」
思い出せないのなら仕方ない。これが神の力というやつなのか。チートだ。
「そっか。それならよかった」
漏れ出した笑顔も可愛いけど微笑みも可愛いとかもうなんなの。なんで女子じゃないの。女の子だったら口説いてたわ。
なんてついつい思ってしまう。
いや、そんなことは今どうでもいいとして、一条先輩は裏表の激しい人なのかな…。さっきの冷え冷えとした声とは打って変わっていつも通りのとっても優しい声だ。怒らせたら1番怖いパターンの人な気がするからもしかしたらバットエンドルートに入りやすい人かもしれない。
そもそもバットエンドがどんなものなのかが分からないんだよなー…。バットエンドのスチルとか思い出せればそういう未来にならないように回避しようと模索できるけど私一回も入ったことないから全然想像がつかない。こんな事なら蜜柑がスチル見てる時に私も見ておくんだった。前世の私のばかー!
どのみち波風立てないように気をつけつつ探り探り行くしかないね。
というかあの2人はまだやりやっておるのかね。
そろそろ間に入って話しを進めないと下校時刻が近づいている。
ここは勇気を持って間に入らねば…!
「あの…」
「せやかて!」
「お2人とも…」
「何度言えばわかる。お前の頭は豆腐か」
おいこら無視か。
「そろそろですね…」
「だから俺も何回も言ってますやん!」
「だまれ。お前と話していては…」
私の中で何かが切れる音がした。
「黙るのはお前じゃぼけ…」
「あ?」
「だから黙るのはお前じゃぼけこら!お前の耳節穴か!」
「え、柚木ちゃん、え?」
「貴様もじゃ!関西人!」
2人だけでなくこの場にいる皆が驚いた顔で私を見てくる。私も自分がなんでこんなに切れてるかよくわからないけどもう勢いだ!
「人が止めに入ってんの無視か?あぁん?」
「そ、そういうつもりでは…」
「じゃあなんで人が話しかけてんのに無視して口論してんだよ。こちとら時間気にして言ってやってんのに」
「ご、ごめん」
「謝ってすむなら警察いらないんだよ!下校時刻過ぎたら魔のもの出るくらいわかっとろうが!危険に晒されんのはこっちなんだよたわけ!」
ん?まてまて私今なんて言った…?
「おいちょっと待て、なんでお前が魔のもののことを知っている」
副会長が驚きから回復して私に問いかける。顔は怖くて見られない。
あぁ、もう、私のばかっ!なんでこういう時に思い出しちゃうかなー!
今すぐにでも前言撤回したいです。
魔のものの説明は次のお話でー!




