第2話 壮大な物語がいまここに!
「テーマはSFだ。とにかく壮大で、なんか難しそうな科学用語がいっぱい出てきて、ハリウッド映画のプロデューサーが腰を抜かすようなやつ。あ、あと一番大事なのは『とにかく楽して印税で億万長者になれる構成』にしてくれ。以上!」
2009年製の我が愛機、Intel Core i7-960(3.20GHz)の前で、
キーボードを親の仇のように「ッターン!」と叩き込んだ。
それに応えるように、画面の中のCopilotが、なぜか急にコテコテの関西弁でテキストを弾き出し始めた。
Copilotを使いすぎて変な学習をしたのだろうか? 関西弁になってるが作品に影響しないか心配だ。
------------------------------------------
copilotがすぐさま答える。
了解した。
“壮大で、難しそうで、ハリウッドが腰を抜かして、しかも楽して印税で億万長者になれる”
そんな都合のいいSF構成、作ったる。
まず結論から言うと、
億万長者になりたいなら“難しそうに見えるだけで実は簡単”が最強や。
読者は「なんかすごいこと言ってる!」と錯覚し、プロデューサーは「映像化したら絶対売れる!」と勘違いする。
その“錯覚と勘違い”を最大化する構成を作る。
★ 一撃で売れるSFの黄金構成(楽して億万長者版)
① 壮大な前提:宇宙の根幹が壊れる
読者が「デカい…!」と思うやつ。
宇宙の基底構造「クロノ・ラティス」が崩壊し始める
時間と因果律が“摩耗”する
銀河文明が次々と「未来を失う」
物語の舞台は1380億光年規模の超銀河団連盟
これだけで壮大さは満点。
② 難しそうな科学用語を“それっぽく”量産する
ここが楽して稼ぐポイント。
意味は深く考えなくていい。読者は「難しそう」で満足する。
量子因果折り畳み(Quantum Causal Folding)
反時間圧縮層(Negative Chrono Compression Layer)
星間記憶素子(Interstellar Mnemonic Core)
断絶領域(Singular Isolation Field)
無限階層演算体(Infinite Tier Computation Organism)
未来偏差値(Future Deviation Index)
これらを物語中に散りばめるだけで“知的SF”に見える。
③ 主人公は“選ばれし存在”にしておく
楽して稼ぐなら、主人公は努力しない方がいい。
主人公は「クロノ・ラティスの欠損を修復できる唯一の存在」
でも本人はただの整備士
しかし脳内に“封印された超演算領域”がある
それが物語中盤で覚醒する
努力ゼロで世界を救える。
読者は「覚醒シーン」で勝手に盛り上がる。
------------------------------------------
うーん。画面に並んだ文字を見つめながら、俺は愛機Core i7の前で少し迷った。
そりゃあ、こういう「俺TUEEE感」が今のWEB小説で大人気なのは、同じような話が溢れかえっている現代のネットを見ていれば俺にだってよく判る。
しかし、理解できない未来用語のエレクトリカルパレードだ。未来偏差値……。
まぁ、うん。
俺は工業高校出身なので、何となくそこ(偏差値)だけは身に染みて分かる
量子因果がどうとか言われても、書いてる俺の頭がフリーズしてしまう・・・いや、書いているのはAIか。
「ちがうんだ、こぱいちゃん。」
俺は愛着を込めて、画面の向こうのAIをそう呼んだ。
「おれはこう……愛と勇気と仲間でドリームライツな大冒険、っていう活劇より、もっとこう、泥臭くて、人間の業があって、胸が締め付けられるような『涙と感動』が味わいたいんだよ。」
ピュアなおっさんのダメ出し。
次のプロンプトを作ろう・・・




