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「何やってんですか? 2人とも、もう、いい成体竜人(おとな)でしょ?」

 クロちゃん達が落下した山の頂上まで辿り着くと……そこでは、珍しい聖女騎士サマの不機嫌そうな声。

「……ごめんなさい……」

「……ごめんなさい……なのだ……」

 クロちゃんと、その許婚のシュンとした声……。これまた初めて聴いた……。

「謝るのは、私にですか?」

「えっ……あ……ごめん、あんた達みたいな小さか子()、ウチらの喧嘩に巻き込んでしもうて……」

「ごめんなさいなのだ……」

「ぎゃう……」

「ぎゃう……」

「ぎゃう……」

「ぎゃう……」

 謝られた4匹のドラゴンは……いいよ、いいよ……って感じだが……。

 小さいって何だ?

 クロちゃん達より遥かにデカいだろ、この4匹。

 子供とは言え、町の1区画ぐらい1匹で壊滅させる事が出来るんじゃね〜のか?

「で……そもそも、クロさんが結婚式から逃げ出したのは、どうしてですか?」

「この子()見て判らんとねッ?」

 クロちゃんは、そう言って、自分の許婚を指差すが……ごめん、さっぱり判らない。

 聖女騎士サマもポカ〜ン。

 俺、含めた他の連中もポカ〜ン。

「ウチみたいなのは……こぎゃん(こんなに)可愛くて素敵な子には……絶対に釣り合わんッ‼ 絶対に、この子()不幸せにしてしまうけん……」

「そんな事ないのだッ‼ ボクだって、お姉ちゃんにふさわしい竜人(ひと)である自信なんて無いのだッ‼ でも、お姉ちゃんと結婚したいのだッ‼ 死ぬまで何百年もお姉ちゃんと一緒に居たいのだッ‼」

「でも……ウチなんか……」

「だから、そんな事無いのだ。お姉ちゃんは、ボクにとって、世界一可愛くて素敵な竜人(ひと)なのだッ‼」

「違うッ‼ あんたこそ、世界一素敵な竜人(ひと)たいッ‼」

「そうじゃないのだッ‼ お姉ちゃんが世界一なのだッ‼」

「そんな(こつ)無かッ‼ あんたこそ……」

 え……えっと……俺達……何に付き合わされてるんだ?

 気付いた時には……2人の会話は竜人の言葉になっていったが……。

「あ……あの……さ……あの2人……何言ってんの?」

 ラビット・パンダの爺さんに、そう訊いてみたはいいが……。

「さっきから、ずっと同じ会話を延々と……」

「あ……そ……やっぱり……」

 そして……。

 時だけが過ぎ去っていく。

 太陽は、いつの間にか、ずいぶんと高く……早い話が、クロちゃんと許婚の言い争い(なのか?)が始まったのは、まだ、朝方だったのに……そろそろ……。

 ぐぅ……。

 腹が鳴ってるのは、俺1人じゃない……。

 ガキのドラゴンたちも困った表情(かお)になってる。

 ドラゴンの困った表情(かお)ってのが、どんなモノか説明しにくいが……ともかく、困ってるように見える表情(かお)だ。

「あ……あのさ……その話は、あとでゆっくり話し合ってもらうとして……そろそろ、腹が減ってない? 昼飯に……」

「ここは……大地の霊力が集中してる場所なので……」

 俺の提案に対して、聖女騎士サマが訳の判らない事を言い出した……。

「どゆこと?」

「ドラゴンさん達や竜人さん達は、この辺りにある膨大な霊力のほんの一部を吸収してさえいれば……体力は消耗しません」

「え? わかんない、わかんない、俺馬鹿だから、ど〜ゆ〜事か、さっぱりわかんない」

「えっと……何って言ったらいいのかな……ああ、そうだ……ここに居る限り……少なくとも、あと何日間かは……あの2人は、不眠不休で、延々と、あの話が同じ所を堂々巡りしてる口喧嘩を続けられるって事……」

 アイーシャが……そう説明するが……。

 ありがとう……。

 解説ありがとう……。

 それが本当なら……余りにも絶望的だけど……ともかく、ありがとう……。

 で、結局、この馬鹿馬鹿しい口喧嘩……いつ終るの?

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