第四十一話 始まりはいつも儚くて-5
「これは罠か!? くっ、抜け出せない!」
「白剛、謀ったな貴様ァ!」
「フハハハハハッ! 騙されるお主らが悪い! 私はまだ諦める気などないぞ!」
白剛は高笑いをして、彼の車椅子は巨大なロボットに変形する。
「私の秘密兵器その二! 『戦闘用散髪台・デストロイバーバー』! このマシンには四つの装備がある! ドライヤー型火炎放射器『セットアップ・ファン』、ヘアスプレー型ライオットガン『スタイリング・エアロゾル』、ヘアアイロン型スチームプレッサー『ヒート・ディネイチュレーション』、バリカン型トラバサミ『クリップ・バレッタ』! どれも我々WIGが開発した自慢の対エクステンド兵器!」
デストロイバーバーの背部から四本のアームが展開され、四つの装備をそれぞれの手に持つ。
「セットアップ・ファン! 炎を風に乗せて焼き尽くせ!」
「火を噴くドライヤーってどう考えても不良品だろ!」
バーナーのように炎を吐き出すドライヤーがハサミの周囲を炎で囲む。
「スタイリング・エアロゾル! EXスタイルを封じてしまえ!」
「こっちはローゲンの時に断髪式が使っていた武器か!」
霧状のスタイリング剤が散布され、ハサミは霧に当たらない場所まで後退しようとする。
だが、ハサミが進もうとした鉄骨の通路は蒸気を噴き出すヘアアイロンに潰されて道を閉ざされる。
更に振り返った先には手動式バリカンがじわじわと迫ってくる。
「フハハハッ! 貴様一人を相手にするのならばこのデストロイバーバーで充分! 詰めの甘さが仇となったな右左原ハサミ! 死ねえっ!」
巨大バリカンが逃げ場を失ったハサミに喰らいかかる。
「ハサミを殺すことはこの僕が許しませんよ」
しかし、次の瞬間、バリカンを持ったアームは謎の光線に焼き切られていた。
「このビームは――桂ァ! 私を裏切ったのかァッ!」
ヘッド・ギアの傍には白いタキシードに身を包んだ桂の姿があった。
「――【エンゼルヘイロー×レンブラント】」
桂の頭から光輪が浮かび上がり、光輪から一筋の光線が放たれる。
光線はデストロイバーバーの手足を一本ずつ切り落としていく。
「くっ! ぐおっ! おのれぇ! 私の最高傑作が!」
全ての手足を失ったデストロイバーバーは転倒して、コックピットから白剛が這いずって出てくる。
桂はエンゼルヘイローの光線で白剛の頭を狙い撃つ。
「ひいっ!」
光線は白剛の頬をかすめただけで直撃はしなかったが、白剛はすっかり委縮してしまっていた。
「止めろ桂! 白剛はお前の家族だろう!」
ハサミが桂と白剛の間に割って入る。
「おや、お父様を庇うのかい? ハサミ、君は優しい子だね」
桂は微笑み、旋風とフモウを捕えていたアームを光線で破壊する。
「貴様、私たちを助けたのか?」
「とんでもない。ただ、僕は敵を庇おうというハサミの行動に少しばかり感動しただけだよ」
「……桂、私のことはわかるか?」
「ああ。旋風、警察署の一件の報告で君がカミキリだったと聞いた時は驚いたよ。ずっと憎んでいた愛しい人の仇が、まさかその愛しい人だったなんて」
「ずっと黙っていてすまない。だが、これで君が復讐をする理由もなくなった。 白剛も倒されたことだし、戦いは止めて――」
「だけど、僕の復讐はまだ終わっていないんだ」
桂はデストロイバーバーの残骸から拾い上げた装置を操作する。
すると、天井が開いてヘッド・ギアの周囲に柵が張り巡らされ、桂とハサミたちは柵の中に閉じ込められる。




