第三十九話 始まりはいつも儚くて-3
「まだ足掻くかピンクアホ毛と愉快なテロリスト共!」
ラプンツェルタワーはもう目と鼻の先というところで、街頭のモニターに白剛の姿が映し出される。
白剛はしびれを切らした様子で眉間にしわを寄せて苛立ちを露わにしていた。
「この日まで生き残るとはなんというしぶとさ! まるで黒光りするあの虫のようで身の毛がよだつ! だが、お主たちではラプンツェルタワーに辿り着けない! 見るが良い!」
白剛が手を挙げて合図すると、ラプンツェルタワーの四方が高い隔壁に囲まれる。
「これがWIG最大のセキュリティ『三十一枚の絶対防壁』! 戦車の砲撃にも耐えるこの隔壁は一日一枚破壊出来たとしても全て突破するには丸一か月は時間を稼げる! 二時間後の爆破までお主らは指を咥えて待っているしかないということだ!」
「こんなものまで用意していたのか! 一体どうすれば……」
「安心するんだNA! セニングボーイ! お前の道は俺様たちが切り開いてやる!」
突然、ハサミの通信機からアフロスの声が聞こえる。
その直後、流星のように空中で線を描いた何かが隔壁に向かって飛んでいく。
「あれは!?」
流星は一度で前後合わせて六十二枚の隔壁を全て貫き、ハサミたちの前に大きな風穴を開けた。
「な、何が起こったというのだ!?」
「長官! 緊急事態です! 何者かに最終防衛ラインを突破されました!」
放送の途中で白剛の部下が事態の報告に来る。
「それはわかっている! 私が聞きたいのは何が隔壁を破ったのかという情報だ! この隔壁を易々と貫ける砲弾など、この街に存在しないだろう!」
「それが……砲弾と思われる物からは何故か生体反応が検出されておりまして……」
「なんだと!? まさかあのテロリスト共――『人間を撃った』のか!?」
×××
「ぷはっ! 死ぬかと思いましたわ!」
瓦礫の山からラセンが起き上がる。
「成功だ。ラセン、隔壁に突破口が開いたぞ」
「わかっていますわ、オール。これでカミキリ様たちがラプンツェルタワーに入れますわね」
「エクステンドの肉体は普通の人間よりも頑丈に出来ているとはいえ、今回はかなり無茶をしましたけどね。下手すればラセンの身体が爆発四散でしたよ」
ラセンの通信機からはオルバークの声に続いてローゲンの声も聞こえてくる。
「だけど、EXスタイルのドリルで貫通力があるラセンをレールガンで発射するというのは良い作戦だったZE!」
「そうですわね。でも、レールガンなんていつ用意したんですの?」
「アタシがCOMBのアジトで以前からコツコツと開発していたのよ。発射テストも出来なかったし、そもそもアフロスのEXスタイルがないと外に運び出せないくらいの大きさだったから、今まで使うことがなかったのよね」
「まあ、本当は爆撃までに間に合わなかった場合、これでスカルプリズンを囲んでいる壁を突破するって計画だったが結果オーライ! さあ、やっちまYEAH!」




