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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第5章
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第71話 神創武具

今話に即しまして言い回しを少し改良しました!中身に変更は無いのでそのまま読み進めて頂いて大丈夫です!


創世級→創星級

神創武器→神創武具

【強欲】の魔王が恨み節を残して消えたこの部屋には俺たちを含め、重苦しい沈黙が広がっていた。


 もし、キノのいうように俺たちをアンバスにある城などに呼びたいのだとしたら、恐らく罠が大量にあるだろう。


 だがまぁ、その時のことはその時に考えるか。とりあえず今はーー


「あんまり情報掻っ攫えなかったな...」

「突然だったもんね...」

「はぁ、帰るか」


 最後に思い切り【強欲】には恨みの視線をぶつけられたが、俺たちには特に因縁がない。まさしく一方通行の愛というわけだ。


 だが、目的地を今更変えるのもなんだか癪なのでとりあえずアンバスには行くことになった。


 ということで、善は急げと言うしそれにこの街でやることもないし、出発する用意が出来たらアンバスへと向かうことが決定した。


「ま、待て待て待て!!お前たちは一応重要参考人だぞ?!勝手に帰せるわけないだろう!?」

「一応なんだろ?それに俺と合わせようとしてたガイロももういないじゃないか」

「ぐ、それはそうなのだが...」

「この町を治めてたのもそいつなんだろ?なら、今はガイロがいなくなった穴埋めの方が大事だろうが。それにまで俺たちを付き合わせようなんて思ってはないだろうな?」

「貴様、ガイロ様に向かってなんたる口をーー」

「黙れユノイ!!今は俺が話している!..お前たちはガイロ様の遺体を運べ...」


 隊長は俺に楯突こうとした部下を一喝し、この部屋に数人残っていた者や使用人を動員させ、ガイロの遺体を運ばせた。


 部下により閉め切られていたカーテンが開かれ陽の光が俺たちのいる部屋を明るく染める。しばらくするとその部屋には俺たちと隊長以外はいなくなった。


「それで?これ以上何もないなら俺たちは帰らせてもらうぞ?まぁ何かあっても帰らせてもらうが」

「...ガイロ様はお前たち、いや【黒隻】であるお前に対し、並々ならぬ恨みと怒りを抱えていらっしゃった」

「らしいな。だが、それはお互い様だ。俺だってガイロのせいで俺たちがいた町を滅ぼされそうだったんだ。全力で止めて何が悪い」


 実際にはそれほどガイロに対し恨みはないのだが、なんとなく話を合わせておく。


「あぁ、それ自体は構わない。だが、ガイロ様はその作戦の失敗のせいで先ほど姿をお見せになった魔王様から罰を下された。右半身は焼け爛れ皮膚を無くし、左半身は壊死して動かせず。...余りにも、余りにも理不尽ではないか?!たかが1度の失敗で、我らが主は2度とまともに体を動かせなくなった!!治そうにも我らにそのような力は無く、そもそもガイロ様がそれを求めていらっしゃらなかった。失敗した自分が悪いのだ、と決して魔王様を恨んではいらっしゃらなかった。それならば我らが恨むことなど出来ようか!!我らが忠誠を誓っていたのは魔王様ではない...、ガイロ様なのだ...。私がこのようなことを言うのは不遜にもほどがあるだろう。お前たちに頼むのは筋違いも甚だしいであろう。だが、どうか私の願いを聞いてはくれぬだろうか?あの傲岸不遜なる魔王めを降してはくれぬか?!」


 ガイロとやらはそれなりに部下からは慕われていたようだ。以前、キノが教えてくれたようにガイロが1人になることは少なく、ほぼ常に部下がいたらしい。


 確かにこいつの言うように俺に頼むのはお門違いだ。何しろ俺はガイロに恨みがあっておかしくないのだし、隊長も自分たちの主の作戦を失敗に追い込んだ相手である俺は殺したいほど憎いかもしれない。


 だが、そんなことより敬愛する主が殺されたことの方が彼らにとっては大きかったのだと思う。


 そして現状、俺に頼む以外にあの【強欲】を倒せる見込みのある者はいないのだろう。現にこの隊長率いる組織は隊長以外は正直雑魚だし、その隊長もミユやサニアとそう変わらない。


 結果ーー


「その依頼を俺が受けるとは言わない。そこまでの義理は無いし、なんなら元はほとんど敵対していたようなものだしな。だがまぁ、俺たちの次の目的地はアンバスだ。何かの間違いでやつに会うことはあるかも知れんな」


 俺はそう言って彼女たちを引き連れ、主無き書斎を後にした。後ろでは男の泣き笑いのような声がこだましていた。








 ーーーーーーーーーーーーー








「我らが忠誠を誓っていたのは魔王様ではない...、ガイロ様なのだ...。私がこのようなことを言うのは不遜にもほどがあるだろう。お前たちに頼むのは筋違いも甚だしいであろう。だが、どうか私の願いを聞いてはくれぬだろうか?あの傲岸不遜なる魔王めを降してはくれぬか?!」


 あぁ、私は何を言っているのか...。私の真の主はセキアル様だ。ならばあの魔王様に叛逆するようなことを言ってはならないのに...。


 ...そうか、ガイロ様に仕えて30余年。私はあの方も、ガイロ様も真の主として忠誠を誓っていたのだな。


 今私はこの男【黒隻】に対して頼んでいることは不遜以外の何者でもない。おそらく近いうちに私は魔王様への叛逆者としてセキアル様に消されるであろう。


 あの方はスパイ1人を送り込んだ程度で満足されるお方ではない。おそらくどこかで私も監視されているだろう。


 そんなことはつゆ知らず、ここに来るまで詳細も伝えず半ば騙したように連れてきてしまったこの男は依然として敵である私の願いを聞いてくれようとしている。




 彼らが部屋から出て行った瞬間、私の目から滝のような涙が溢れ出す。きっとこれでガイロ様も報われる。それを行なったのが【黒隻】であることにはブチ切れそうだが、それは後で私自ら謝りましょう。


 ...それと、すまない。我が妻よ、我が娘よ。私はここまでのようだ。仕事ばかりで彼女たちには何もしてやれなかった。最後にもう一度会いたかったが...。それでも、君たちのこれからが明るいことを祈っているよ。愛してる。


 膝をつき、涙を流す私の視界の端には銀閃が煌めいていた。






 ーーーーーーーーーーーーーーーー






 引き止められつつも、次の日ナヤバの町を半ば無理やり脱出した俺たちは次なる街、最終目的地であるアンバスを目指して歩いていた。


「ねぇ、アンバスに【強欲】がいるって分かってるなら、アンバスに入る必要無いんじゃないの?」

「そうなんだよな、確かにそうなんだよ」


 そう、向こうには俺たち、特に俺に対して恨みがあるのだろうが、正直俺はどうでもいい。


 サテュラを襲ったガイロに一言文句を言ってやろうくらいにしか考えていなかったが、当の本人も【強欲】に殺されてしまった。


 なら【強欲】に言えばいいではないかと言われればそれまでなのだが、俺としてはやった本人に言いたかったのだ。今となっては叶わなくなってしまったが。


「ただ、行かないとダメなんだよなぁ」


 というのは、もちろん昨日の隊長の件もある。だが本題は、帝国の件や【憤怒】などがあって俺もついさっきまで忘れていたのだが、俺はカイニスと一応、同盟を組んでいるのだ。


 カイニスの性格やら過去やらを知った今としては本当に早計だったと後悔するばかりだが、魔王を先んじて倒しておくという同盟を組んでしまった以上、今更やりたくありませんとは言えない。


 そういったこともあって個人的には出来るならこのままスルーしたいのだが、同盟を結んでいる者としては向こうから喧嘩を売ってくるのは渡りに船だったりするのだ。


「【怠惰】の魔王って人とそんなことしてたんだね。え、でもそれだとキノさんは...」

「いや、同盟内容は敵対する魔王を倒せってことだからキノは入らないよ。それに俺と一緒にキノが行動してることはカイニスも知ってるから」

「あ、そうなんだ!よかった!キノさんと戦うなんて嫌だもん!」

「キノもヤダー!ミユともっとおしゃべりしたい!」

「大丈夫だよ、そんなこと起こさせないから」


 嫌なことを想像したせいかキノとミユが互いに抱き合う。なんか最近ミユもキノらしくなってきたな...。


 まぁ、仲が悪いよりは全然いいからな。


 とりあえずまたしばらくは舗道を抜け、小さい山道を越えて行くだけだ。


 キノの話だとアンバスに着くまでは歩きだと一週間ほどかかるらしい。基本的にこういう時の移動は馬車だったりするから歩きでの移動は考えられていないんだろうな...。


「皆さーん、空から魔物が来ますよー」

「そしたら今日の昼飯はあれに決まりだな」

「鳥肉はパサパサしてるからあんまり好きじゃない...」


 最近おしゃべりをする仲間が増えたからか、元々口数が少ないのもあってサニアがほとんど喋らなくなってしまった。


 ただこうしてお肉の話題になると喋り出すし、必ずと言っていいほど俺の隣にいる。ちなみにサニアの好きなお肉は牛系だそうだ。...贅沢だからあんまり食べさせてあげられないけど...。


 そんなことを話しているうちにカラス系の魔物が襲いかかってくる。数は全部で7匹。1人一体+αで充分倒せる。


 名前:ウロストバード

 種族:集黒鳥

 Lv:42

 スキル:飛行Lv.4 集団行動Lv.5 風魔法Lv.6


 特に目新しいスキルも無いので俺は襲ってくる端から倒す。サニアとテミスは魔法で、ミユは自前の劔で真っ二つに、キノはというと襲ってきたカラスを掴んでは地面に叩きつけて倒して、あっさり終わった。


「そういや今更だけどミユのその劔ってなんかすごいオーラ放ってるけどどうしたんだ?」


 これまでにも何度か見ていたので本当に今更なのだが、胸から出しているところは初めてみたので気になったのだ。


「あ、やっと聞いてきた...。なかなか聞いてこないからいっそのこと自分から話そうかと思っちゃったよ...。これはね、【天劔】アメノムラクモって言って帝国のAランクダンジョンに潜った時にたまたま見つけたんだよね。でも、これと同じようなものをアサヒも持ってるよ!アサヒの武器は【嵐槍】ロンゴミニアドって言うんだ!カイトくんなら分かるってアサヒ言ってたけど、分かる?」

「何が分かるのか分からんが分かる」

「?どういうこと?」

「まぁ男のロマンってやつだ。それにしてもAランクダンジョンではそういうのが手に入るのか」


 俺はミユに頼んで【天劔】アメノムラクモと呼ばれる武器を“鑑定”してみた。


 名前:天劔

 真名:アメノムラクモ

 Gr:創星級


 持ち主を選ぶと言われる【神創武具】。武具自体もしくは持ち主が許可した者にしか真名は明かせない。その刀は空を裂き地を割ると言われる。


 思った以上にとんでもない代物だった。持ち主を武器自体が選ぶというのか?これはあれか、俗に言うと知性(インテリジェンス)武器(ウェポン)いうやつなのか?


「なぁミユ、その劔すごいやつだぞ。なんかその劍から話しかけてきたりとかはないのか?」

「うーん、この武器をゲットする時になんか惹かれる感じはあったけど何か話しかけられたっていうのはないなぁ。何々?話しかけてくるって書いてあったの?」

「いや、そういうわけじゃないけど、武器が持ち主を選ぶみたいだからさ。話したり出来るのかなと思って」

「なるほど、確かにそれはあるかも。私もアサヒも惹かれるようにこの武器ゲットしたって言ったんだけど、そのどれもが普通に見たら単なる壁のところだったんだよね。それもどっかの行き止まりとかじゃなくて、普通の道の壁」

「なるほどなぁ、そしたら普通の冒険者はまず見つけられないってことか」

「うん、それにその壁の中は呼ばれた人しか行けないんだよね。実際、アサヒのときはアサヒだけで、私の時は私だけしかそこに入れなかったの」


 これはいいこと聞いたな。今まではスキル集めくらいにしか考えていなかったダンジョンだが、これからはそういったものを目当てに潜るのも良いかもしれないな。


 ただ、問題は俺を持ち主として認めてくれる武器があるかどうかなんだが、剣はもうミユが持っているしなぁ。


 槍はアサヒだと言うし、後使うとすれば格闘?格闘だとどんな武器になるんだろうか。メリケンサック?


「主さま、お腹すいた...」

「あぁ、そうだったな。それじゃあ昼飯食べるか」


 考えはまとまらなかったが、まずは腹ごしらえだと言い聞かせて、手頃な場所で俺たちは昼飯を取った。

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