第45話 新たな出会いと再会
第42話のスキル“モンスターテイマー”を“眷属創絆”に変更し忘れておりました。
現在は第42話も今回も“眷属創絆”に変更しております。
よろしくおねがいします!
ラミーたちと別れた俺たちはキュケの森の中ほどまで来ていた。この辺りは俺がサテュラに着く寸前のトロールを倒した場所だ。
「うん、やっぱりもうこの辺だと相手にならないな。明日からは少しスピードを上げていこうか」
「そうね...。物足りないわ」
当時は苦労した相手でも、今の俺たちでは余所見していても勝てるレベルだった。
「よし!もう暗くなってきたし、そろそろテントを張るか。魔物が来ないかまた見ててくれ」
「わかったわ、お肉はいる...?」
「あぁ、美味しそうなのがあれば頼むよ」
そうして俺は“無限倉庫”からテントと、調理道具や食器、風呂桶を取り出す。そして、全部出し終わり並べた頃に、サニアが鹿の魔物を狩って持ってきた。
「持ってきたわ...。美味しそうなのがいた...」
「おお!大きいな!それなら数日分は作れそうだ。最近またシチューばかりだったからシンプルに焼いて食べようか」
「それがいいわ...!.........主さま、食器は3つもいらないわ...、わたしたちは2人だもの..........」
「...あぁ、そうだった、そうだったな。...もう、3人でご飯を囲むことは無いんだな...」
俺は知らず、震える手を押さえながら、無意識に出してしまった3つ目の食器をしまう。
もう自分の感情がわからなくなっていた。この数ヶ月で、唐突に色々なことが起こった。それも自分にとって辛い方向に。
見ていられなかったのか、サニアも俺から目を逸らしている。
俺は気分を変えるため努めて明るく振る舞う。
「さぁ、その鹿を貸して!解体するからさ!」
「うん...ご飯だものね...!」
俺たちが悲しめばミアも悲しんでしまうとどこかで思ったのだろう。2人ともぎこちないほど明るく夜を過ごした。
そんな日々も1週間もすれば慣れてしまうのか、ミアが合流する前のような2人に戻っていた。いや、2人ともただ考えたくなかっただけなのかもしれない。
ミアがいないことに慣れたのではなく、わざと明るく振る舞うことに慣れてしまったのだ。
しかし、2人ともその話題を口に出すことは無くなっていた。
「あの奥に魔物の群れがいるわ...でもなんだか様子がおかしい...」
「あぁ、明らかにこちらに気づいているのに襲ってくる様子がない。それどころか仲間割れ?をしているのか?」
今、俺たちがいるのは俺がシャドウウルフたちと戦った平地よりさらに奥に進んだところだった。
「ちょっと行ってみるか」
気になった俺たちは気づかれていることはわかっているが、一応木に隠れつつ奴らの様子を伺う。
「なんだあれ...。銀色のスライム?が4本腕の猿に襲われてる...」
目の前ではまるで取り憑かれたように4匹の猿が銀色のスライムをリンチしていた。
本来、魔物同士の争いが無いわけではない。魔物同士が戦うことなどむしろ日常茶飯事と言ってもいい。だが、目の前のそれは少し様子が違った。
まるで猿たちは親の仇でも見つけたかのように一心不乱にスライムを殴り続けている。
しかし、スライムもただやられているわけではなく、なんとかスライムの体で棘を作り、身を守っていた。
そして猿はその棘で身体中傷だらけになりながらも癒すことなく狂ったように攻撃していた。
「どういう状況だ?これ...」
「とりあえずスライムを助けよう...?」
「そうだな、それじゃあ行くぞ?」
合図をして一斉に飛び出す。サニアは自慢の速度を使って一体に突っ込んでいく。俺は気配を消し、周りと同化し、一気に二体を倒す。
そこでようやく我に帰った(?)一体は慌てて逃げようとするが、最後の反撃なのかスライムが尋常では無い速度で棘を伸ばし猿の頭を貫いた。
「実は強いの...?」
「なんかそんな感じだな。まぁ助かったのならいいのか?魔物だけど」
ふと俺は足元に目をやるといつのまにか銀色のスライムが俺の足元に近寄ってきていた。
『スキル 眷属創絆を使いますか?』
なるほど、このスキルは初めて使ったが、要するにテイムされたがっているのか?ならせっかくだしやってみるか。
とりあえずこの魔物のスキルはどんなものを持っているんだろう?
名前:ヘテロシルバースライム
種族:異銀妖
Lv:89
スキル:銀棘焉貫Lv.- 完全再生Lv.- 異排全拒Lv.-
スキル 銀棘焉貫 体から全方位に棘を出せる。自分の認識内であればどこまでも伸ばすことができる。
スキル 完全再生 体の修復だけでなく、魔力や体力も徐々に回復する。全て自動で発動する。
スキル 異排全拒 全ての種族に疎まれ排斥される。そしてまるで自分からも拒むかのように全ての攻撃を拒絶する。相手とのステータス差が大きいほど拒絶度が下がる。
こいつもなかなか特殊だな...。スライムにしてはレベルが高いし、スライムの代名詞である再生もユニークスキルとして持っている。
まぁはじめてのテイムだし、興味もあったししてみるか。
『スライム種 ヘテロシルバースライムをテイムしました。名前を与えますか?』
名前か...。
「じゃあお前の名前はテロルだ。よろしくな」
ヘテロシルバースライムことテロルは気に入ってくれたのか、俺の足にじゃれついてまとわりつく。
「なんでテロル...?」
「ヘテロのテロとシルバーのルから取ってみた。まぁ安直だと自分でも思うけどね」
それでも気に入ってくれたのならいいだろう。
テロルは俺の肩によじ登り、そこを定位置としたいようだ。
俺の肩の上で脱力しているテロルを見て、サニアが羨ましそうな目をしていた。
「わたしじゃそこ乗れないのに...」
そうして俺たちのパーティに新しくスライムが加わった。...今度は失わない、俺はそう心に誓って更なる森の奥へと進んでいった。
出てくる魔物はレベルがほとんど100以下で、見かける魔物もダンジョンなどで見たことある魔物だったり、その系統や上位個体なだけであった。
そのため特に物珍しいスキルも無かったので、いわゆるパワーレベリングのような形でサニアのレベルを上げていく。
そんな風にもはや半ばピクニック気分で森を歩いていた時、このエリアとはあからさまにレベルの違う殺気が俺たちに向けて炸裂した。
「な、何...?!」
「なんだ?!」
俺たちは体に染み付いたそれぞれの戦闘態勢を取る。俺は素早く刀を抜き刃先を下げ、刀身を体で隠すように半身になる。サニアは爪を氷で覆い伸ばし、ボクサーのように構えて体を揺らす。
「うん!成長してるわね!オネエサン嬉しい!」
そう甲高い声で現れたのは、俺が初めてこの森に落とされた時、俺を観察していたあの真っ白いゴリラだった。
「お前は...あの時の...」
「あら?アタシのこと知ってるの?」
「いや、あれで隠れていたつもりだったのか...?」
「ええーー!!ワタシが見つかってたなんて!それならあの時言ってくれても良かったじゃなーーい!!」
「あの時は敵か味方かわからなかったんだから当たり前だろ...」
「それもそうねー」
調子狂うな...。だが、このタイミングでこいつが出てきた意味がわからない。
この辺りにこいつより強い魔物がいないことから、先程の殺気はこいつが放ったのだろう。しかし、俺たちの前に姿を現した今のこいつに敵対意思はなさそうだ。
そうして考え事をしていると、何やらサニアが俺の裾を引っ張ってくる。
「どうした?サニア」
「この人誰...?わたし知らないわ...」
「そうだったな、こいつは「初めましてー!!かわいいわねー!お名前なんて言うの?サニアって言うのね!名前まで可愛いなんて罪なオ・ン・ナ!キャーー!」」
「ねぇ主さま...、この人ウザい...」
「まぁ分かるけどな、そう言うな。こいつは俺がまだこの森にいた時、俺のことを監視?観察?していたやつだ」
「監視だなんてー!ひどい言い草ねぇ」
「それで?なんで俺たちの前に?そろそろ理由を教えて欲しいんだが」
「そうだったわね!オホンッ!では改めて!あなたたちカイト・ヒュウガ一行を我らが主が招待しているわ!ぜひ我が城に来て欲しいと!」
俺はこのゴリラが俺の名前を知っている事に警戒する。
「心配しなくていいわぁ。敵対する意思はないから。それくらいはあなたもわかってるでしょう?ただそれでも警戒はしちゃうわよねー。だからあなたの言う通りにするわー」
「言う通りだと?ハッ!なら死ねといえば死ぬのか?」
「そこまで極端だと困るけど、それを本気だと言うのなら従うわ」
「........」
そこにいたゴリラの顔は先程までのおちゃらけていた顔ではなく、本当に俺の言葉に従うという至極真剣な顔をしていた。
「...わかった。そこまで言うなら信用しよう。それで?その君の主はどこの誰なんだ?」
「それは着いてからのお楽しみ!遅くなったけどまずはワタシの自己紹介からね!ワタシは白猿族のミキス、ステータスを見せてもいいんだけど、それだと我が主の正体までバレちゃうからやめとくわ」
「そんな風に言うってことは魔王の配下ってことなんだな?」
「..........そ、それじゃあ城までレッツらゴーー!!」
嘘下手か...押し切られるままに真っ白ゴリラ、もとい白猿族のミキスの“転移”で強制的に連れさられた。
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