第34話 ドラゴン戦『後編』
「クスネェェェェ!!!!!」
クスネは風の爆発の勢いに押され、数回跳ねた後地面に叩きつけられた。かろうじて息はあるようだが、気を失っているのか立ち上がってこない。
「クスネッ!!ぁああぁ!!!」
その時、パニックになったミネルヴァがドラゴンも捨て置き前線を離れる。
「おいっ!ミネルヴァ!...くそっ!カイト!オレ一人じゃ持たせられんっ!」
ダンテがここぞとばかりに指示を飛ばす。
俺もクスネが吹き飛ばされたことでパニックになりかけたが、他の者がパニックになると逆に自分は冷静になるというのは本当のようだ。
「...あ、あぁ!すぐ行く!」
そして駆けつけたミネルヴァと軽傷で済んだミア、衝撃で目を覚ましたサニアがクスネの安否確認に急ぐ。
「フォーメーションはぐちゃぐちゃだ。カイト、行けるか?」
「...あぁ。というよりもう行くしか無いだろ」
「そうだな。死ぬ気で行くぞ」
俺はダンテの言葉に無言で頷く。そしてダンテがドラゴンに向かって走り出すと同時に、俺はクスネのアドバイス通りに従って“大地魔法”でドラゴンの下から鉄の槍を突き出す。
ドラゴンはダンテの斧と俺の鉄の槍を同時に躱すためか大きな翼と風を操って空へとはばたく。
「ハッ!やっぱそうするよなっ!だが、空はお前だけのテリトリーだとでも思ってるのか!」
それを読んでいた俺も“空歩”と“飛行”を使って空へと飛び上がる。さしものこれにはドラゴンも驚いたのか地上に向けた攻撃の手が止まる。
俺はドラゴンの背中に乗るために後ろに回り込もうとする。
しかし、やはり知能が高いためかその思惑はすぐさま気取られてしまい、見えない風の刃が大量に放たれる。
「グッ!!」
ギリギリで躱そうとしたもののやはり空でのアドバンテージは向こうにある。
“飛行”スキルに慣れていないこともあって完全に躱し切ることが出来ず、肩を少し切ってしまった。
「グルルルルゥゥアアア!!!」
味を占めたのかさらに風の刃を連打してくる。
「ちっ!!クソがっ!!」
なんとか“予知”をフル稼働させながら刀で弾こうとするが、そもそもこの風の刃が重すぎてだんだん手に力が入らなくなってくる。
「下がお留守だっ!!」
「ガァアアッッ!!」
その時、真下にいたダンテが自分の得物である斧を投げつけそれがまともにドラゴン腹下へと刺さった。
「今だっ!!」
俺はすぐさま飛び乗り“槍術”の武技である“閃雷”を放つ。本来は槍で使う技だが、剣と槍のレベルがMAXになったことで他武術の武技を使えるようになったのだ。
「フッ!!!!」
背中の上で刀を円状に振り抜く。すると数瞬もしないうちに両翼が斬り落とされた。
「グギャアアァアァアアアアァァ!!!」
ドラゴンは今までで一番苦しそうな声を上げる。
「堕ちろっ!“覇墜”!!」
俺はサニアやクスネ、ミアたちを傷つけられた仕返しを込めて思い切り叩き込む。
「ガギャグギヤァア!!!!」
ドラゴンは運悪く俺が最初に放った鉄の槍の真上に落ちた。そしてそのまま重力とドラゴンの自重で槍に刺さっていく。
まだ息があるのかもがいているが、体を動かせないからか、はたまた喉が潰されているからか声も出せず魔法を紡げないようだ。
トドメとばかりに空から降りてきた俺は落下速度も利用してドラゴンの首を斬り落とした。
「クスネ!大丈夫かーー」
俺はクスネの容体を確認するために振り向こうとした。だが、なぜか思う通りに体が動かせない。
なぜ?
それを考えるよりも先に聞き慣れた声が聞き慣れない声音で聞こえた。
「や、やめ...!なんでっ...がふっ」
「やめて!離して!ミアっ!」
何が起きている。俺は改めて体が動かないことに焦りを覚えた。そうして気づく。足が地面に着いていなかった。
なぜならどこかの空間から不自然に飛び出た闇色の鎖で磔にされて浮かんでいたからだった。そしてそのすぐ横にサニアが同じような形で並ぶ。
「ふうっやっと終わった。これで虫酸の走る仲良しごっこをしないで済むよ。目的の物も手に入れたしね」
俺は何が起こっているのか理解できなかった。俺とサニアは横並びで磔にされ、ミアはミネルヴァに担がれている。
「おい、クスネ。これはどういうことだ?」
「アハハ!!クスネって誰〜?」
「おいっ!どういうことだ!」
「君お得意の“鑑定”で見てみれば?」
俺はその言葉通りに“鑑定”を使う。
名前:ナバス・サゲスト
種族:淫王魔人
Lv:697
ステータス:軀力69531
咒力71637
剛撃67380
堅禦67312
閃煌68954
賢智72136
スキル:第3の目Lv.- 魔法創造Lv.- 眷属創絆Lv.- 混沌魔法Lv.- 豪炎魔法Lv.10 極氷魔法Lv.10 雷嵐魔法Lv.10 大地魔法Lv.10 自然魔法Lv.10 神聖魔法Lv.10 賜与魔法Lv.7 魅了魔法Lv.7 槍聖術Lv.4 偽装Lv10 看破Lv10 咒力特自動回復Lv.10 鼓舞Lv.10 博識Lv.10
称号 限界突破者 超越者 全視者 魔創者 眷主者 傲慢の臣下 炎の寵愛 氷の寵愛 嵐の寵愛 地の寵愛 然の寵愛 聖の寵愛 闇の寵愛 魔の極致 闇覚醒 偽欺者 観看者 咒の寵愛 舞上者 博の寵愛
「...は?どういうことだ?!なんだこれ...。意味がわからない」
「うんうん、いい表情してるよ!カイトく〜ん」
俺はクスネ、いやナバスのステータスが理解出来なかった。
まずレベルが桁違い、ステータスも表記からして違うし数字もおかしい。スキルもレベル無しが4つ。“第3の目”については使えないなどとんでもない。
「もう一つ絶望させてあげようか。おいで『ナターリア』」
そうナバスが何かの名前らしきものを言うと空間が割れ、中から見覚えのある翡翠色のドラゴンが出てきた。
「そ...んな。なんでこいつが...?!」
そう。出てきたのは先ほど倒したと思っていたエメラルドドラゴンだった。クスネの安否を確認しようとしてそれどころではなかったが、考えてみれば経験値のアナウンスが無かった。
「この子も僕も普通に戦ったらカイトくんじゃ絶対勝てないよ〜。残念でした〜!アハハ!!痛かったよね、ナターリア。辛い役目をさせてごめんね」
そうドラゴンを労わる姿は今まで見てきたクスネのようだったが、こちらに向ける顔はどこまでも俺たちを蔑むものだった。
「クスネ...、いや、ナバス!...ちっ、お前らもか!ミネルヴァ!ダンテ!その娘を...ミアを返せっ!」
「それは出来ない相談だねぇ。僕らの主人がこの子を欲しがってるからね〜。そのためにわざわざここまで連れてきたんだよ〜。まぁここの魔物がナターリアを追い出そうとしてたのにはびっくりしたけどね〜。ま、君もこの子と一緒にいたならこの子のスキルは知ってるでしょ〜?」
「...まさか!星を詠み取る...!」
「そ。そして再現させる。主人の計画に必要だからね〜」
「ナバス様、喋りすぎです」
「ごめんごめん、ミネルヴァ。てことで君たちは殺すね。君たちといた数日間、ほんっっっっとうに......つまんなかったよ」
その言葉を最後に俺はダンテの斧で体を肩から引き裂かれた...。
「それじゃサニアちゃんも...ダンテ避けろ!」
「っ!」
「おい、カイトくん。なんで生きてる?」
俺は肩から引き裂かれた、はずだった。いや、実際に引き裂かれた。痛みは覚えている。
だが、初めて発動した。
そのスキルの名は“身代わり”。
即死でない限りスキルレベルの数だけ無かったことにできるスキル。それのおかげで助かった。
そしてそのスキルが発動した際になぜか闇色の鎖の外に弾き出された。
「...ふざけるな。ミアを...返せっ!!」
俺はダンテに向かって走る。そして刀を振り下ろす。だが、体は先のドラゴン戦で限界なのか力が入らない。
「ダンテ!そいつはもういい!先にサニアちゃんを殺せ!」
「...!」
ダンテは俺を無視してサニアへと向かう。
「それだけは...させるかぁ!!」
俺は限界など押し切ってサニアを守る。今度は背中を切り裂かれた。だが、また“身代わり”で無かったことになる。
「ちっ!またか。ダンテ!さっさと...わかりました。すぐ戻ります」
「どうかされましたか?」
「あぁ、主人がすぐ戻って来いってさ。ダンテ!戻るぞ!」
「...了解」
「命拾いしたね。殺せないのは残念だけど目的のモノはもらった。どこかの英雄譚のように僕たちがどこにいるかなんてのは教えない。ただ“鑑定”した君ならわかると思うけど、唯一の情報は僕が【傲慢】の魔王の臣下ってことだけ。それじゃ後は頑張ってね〜」
「っおい!待てっ!ミアを返せ!返せぇぇぇぇ!!」
俺の言葉など意にも介さず、突如空間に現れた黒い渦の中に彼らは消えていった。
「...アァァァァァ!!!!」
俺は怒りのぶつけどころが分からず、ひたすら地面を殴る。
怒りはまだ鎮まらない。でもその前にサニアを助けないと。
俺は“神聖魔法”で少しずつ闇色の鎖を壊しながら約30分ほどかけてようやく壊すことができた。
「主さま...」
「....わかってる。大丈夫だよ、サニア」
大丈夫なわけがない。でも、いつまでも悔しがっているだけじゃ意味がない。
考えるんだ、まずはここから脱出しないと。でもあまり悠長にもしていられない。
ナバスはミアを連れ去る時、ミアを誰の所へ連れて行くかは言っていたが、どうするのかを言っていなかった。
「なるべく早く探し出さないと。あいつは【傲慢】の臣下って言っていた。てことは【傲慢】の魔王がどこにいるがだけど...」
「魔王は情報があるやつとないやつがいるんだったっけ...?」
「うん。それで情報のある魔王はたった2人。それも【色欲】と【怠惰】だけ。【傲慢】はなかった」
そして、存在が確認されている魔王はあと【強欲】と【暴食】だ。
だが、これはおそらく地球の7つの大罪が関わっているはずだ。そして、その俺の知識が正しければあと3人、【傲慢】と【嫉妬】と【憤怒】がいるはずだ。
その中の【傲慢】は俺たちの敵。だが、この確認すらされていない魔王を俺たちは探して倒さなければならない。
今は考えていても仕方がない。おそらくここからなら来た道を戻るよりも下に潜った方が早いだろう。その辺も考えてここまでナバスたちは連れてきたのかもしれない。
俺たちはドラゴンのおかげと言っていいのかは分からないが、魔物がいなくなった平野を抜け次のエリアへと階段を下っていった。
俺の拳に薄く黒いナニカが纏わり付いていることなど誰も気づかずに...。
名前:日向 海斗
種族:人間
年齢:18
Lv195
ステータス:体力2016
魔力2004
攻撃2132
防御2063
敏捷2124
知力2365
スキル:
《特》簒奪Lv.- 透破の魔眼Lv.-宣実強制Lv.- 領域選定Lv.- &¥:@¥?(“/Lv.-
《武》剣聖術Lv.10 槍聖術Lv.10 弓聖術Lv.10 闘聖術Lv.10 斧聖術Lv.8 槌聖術Lv.6 棒聖術Lv.8
《魔》豪炎魔法Lv.6 極氷魔法Lv.7 雷嵐魔法Lv.10 大地魔法Lv.5 自然魔法Lv.3 神聖魔法Lv.5 暗黒魔法Lv.6 錬成術Lv.8 奴隷術Lv.7 付与魔法Lv.3
《耐》豪炎耐性Lv.7 極氷耐性Lv.5 雷嵐耐性Lv.10 大地耐性Lv.6 自然耐性Lv.4 神聖耐性Lv.5 暗黒耐性Lv.6 猛毒耐性Lv.4 特麻痺耐性Lv.5 昏睡耐性Lv.4 硬化耐性Lv.4 遮断耐性Lv.3 神気耐性Lv.4 畏怖耐性Lv.5 状態異常耐性Lv.2
《常》体力特自動回復Lv.2 魔力特自動回復Lv.3 看破Lv.5 統制Lv.5 剛力Lv.10 頑丈Lv.7 瞬動Lv.10 博識Lv.4 精密Lv.5 超嗅覚Lv.10 閃爪Lv.4 身代わりLv.3 夜目Lv.6 繁栄Lv.10 深化Lv.3 心眼Lv.8 虚言Lv.8 交渉Lv.8 予知Lv.4 罠看破Lv.2 暗殺Lv.1 遠投Lv.3 統糸Lv.2 秘書Lv.6 突破Lv.4 覇轟Lv.5 震空Lv.4 覇墜Lv.5 謀略Lv.6 環境適応Lv.5 思考分割Lv.8 水泳Lv.6 骨再生Lv.6 砂泳Lv.6
《能》全鑑定Lv.2 偽装Lv.6 集団行動Lv.7 顎壊Lv.8 体臭操作Lv.1 妖幻Lv.3 融体Lv.9 千里眼Lv.6 自己再生Lv.6 物理透過Lv.6 死霊作製Lv.8 威圧Lv.6 念話Lv.6 無限倉庫Lv.1 罠創造Lv.3 罠無効Lv.4 異種伝心Lv.10 空歩Lv.6 狙撃Lv.2 水吐息Lv.4 火吐息Lv.4 風吐息Lv.6 同化Lv.9 魔炎糸Lv.6 炎纏糸Lv.5 魔氷糸Lv.5 魔嵐糸Lv.4 闇無Lv.7 狂化Lv.9 壊震波Lv.6 支配Lv.4 咆波Lv.4 飛裂Lv.7 精力増強Lv.4 飛行Lv.8 水砲Lv.6 水刃Lv.5 骨眷生成Lv.5 刹那Lv.5 見切Lv.6 風車Lv.4 砂砲Lv.7 地震Lv.5 閃雷Lv.5
《補》採取Lv.8 伐採Lv.7 農業Lv.9 採掘Lv.6 解体Lv.8 運搬Lv.4
称号:簒奪者 強者食い 限界突破者 透破者 y&:”,&jf 武を知るもの 魔を知るもの 嗅知者 槍の寵愛 剣の寵愛 嵐の寵愛 弓の寵愛 速の寵愛 嵐の加護 闘の寵愛 栄える者 力の寵愛 通ずる者 宣実者 域選者 /&”ョ@?)-
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「主人、お求めのものを持ってきましたよ」
ナバスはそう言いながら主人、【傲慢】の魔王の元へとレイミアを投げ捨てる。
「よくやりました。それで?カイト・ヒュウガは殺しましたか?」
「いえ、殺そうとしたんですが、なかなか粘り強くて。あと少し主人からの連絡が遅ければ殺せていましたね」
「おや、それは申し訳ないことをしました。少し他の魔王の動きが気になったものでね。...それで?彼は私たちの障害になり得ますか?」
「今のままなら天地がひっくり返っても大丈夫です。ただ彼が進化...いえ、『超越』してしまえば話は別かもしれません」
「...それほどですか。具体的には?」
「はい。うちのミネルヴァが調べたところ、レベルは195と人間にしては高いですが、超越者ではなかったため、僕たちからすると大したことはありません。ただスキルの数が異常です。ユニークスキルの他に武術、魔法、その他耐性や武技、通常スキルまで100個以上のスキルを保有しておりました」
「...なんと。それは確かに異常ですね」
「おそらく“簒奪”というスキルが関係していると思われます。調べたところ、殺した相手のスキルを全て奪うスキルの様ですので」
「そうですか、いい情報です。ただスキルを数多く持っていてもあまり有用ではありません。手札を増やしても使いこなせなければ意味がない。特に『再現』する必要のないスキルですね」
「はい。僕もそう思います。それで他の魔王の動向とは?」
「あぁ、大したことではありませんよ。【怠惰】の臣下、ミキスを見かけたとリアトから報告がありましてね」
「...あぁ、あのゴリラですか。まぁ事なかれ主義ですもんね、あそこは」
「そういうことです。それでは早速計画の最終段階へと歩を進めましょうか」
そう言って【傲慢】の魔王リトレア・オルデスはレイミアを自ら触ることなく、宙に浮かせて移動させていく。
その後ろについていくとそこにはいくつもの巨大なガラスの筒のようなものがあり、その中には大量の液体と管が繋がった獣人やエルフのような人間以外の種族が何人もいた。
「これでようやくピースが揃った。待っていなさい、魔王たちよ!」
名前:リトレア・オルデス
種族:坡魔王
Lv:1296
ステータス:軀力113645
咒力128534
剛撃124520
堅禦125731
閃煌125630
賢智125496
スキル:智慧完在Lv.- 呪詩刻印Lv.- 傲慢Lv.- 獄炎魔法Lv.- 混沌魔法Lv.- 完全感知Lv.- 極氷魔法Lv.10 雷嵐魔法Lv.10 大地魔法Lv.10 棒聖術Lv.10 軀力特自動回復Lv.10 咒力特自動回復Lv.10 博識Lv.10 剛力Lv.10 破突Lv.10 無身Lv.10 瞬破Lv.10 居落Lv.10 絶打Lv.10
称号 限界突破者 超越者 智慧者 呪刻者 七罪一者 炎の寵愛 氷の寵愛 嵐の寵愛 地の寵愛 闇の寵愛 炎覚醒 闇覚醒 棒の寵愛 偽欺者 観看者 咒の寵愛 博の寵愛 力の寵愛
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