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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第2章

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第21話 窮地と後悔

「やはり監視はやられたか...」

「はい、それにおそらく私も気づかれたでしょう。的確に私の位置を睨んでいました」

「何っ?!お前でも気づかれるか...いよいよ実力が読めんな...」

「次は万全を期し、監視をいたします」

「そうだな。だが、無理はするな。お前の枠はなかなかいない」

「かしこまりました、頭」


 俺の右腕が部屋から出ていくと、俺は頬杖をつき、対策を考える。


 彼らは1日をかけてダンジョンに潜っていたようだ。クリアしたかどうかは分からないが、1日でクリア出来るものでもないだろう。


 なので明日はおそらく、ダンジョンで得たものをギルドに換金しに訪れるはずだ。そこでやつと会わせて何か掴めることができるといいが。


「嫌な予感がするな...」


 名前:サイタス・レルトアート

 種族:人間

 Lv:81

 スキル:闘聖術Lv.7 謀略Lv.6 罠感知Lv.7 直感Lv.6 覇轟Lv.5 統制Lv.5 支配Lv.4






「おはよう、サニア」

「おはよ...主さま...」


 俺たちは起きてご飯を食べた後、昨日のダンジョンで得た鉱物や素材を換金しにギルドへ行くつもりだ。


 そしてもうダンジョンもクリアしたし、やつらがこれ以上手を出してこないなら、俺たちも何もする気は無い。


 だが、次何か仕掛けてきたら容赦はしない。視界の端をうろつくハエは鬱陶しいものだ。


 それにすでに敵対はされている。あれから直接的な被害がないから無視していたが、監視されるのもわかっていれば気持ち悪いのだ。




 俺たちはギルドに着いて換金してもらった後、そのまま出ようとしたところ、この間ギルドにいた“鑑定”ができるダンディなおじさんに話しかけられた。


「もし、少しよろしいかな?この間は恐れず悪人を捕まえる手助けをしていただきどうもありがとう」

「いえ、目障りだったので指摘したまでです」

「そうであったか。少しこの間の件で話したいことがあるのですが、お時間はよろしいかな?」

「えぇ、構いませんけど」

「私はこのギルドで少々の権限を頂いております。奥の部屋を借りてあるのでそちらにどうぞ」


 言われるがままおじさんについて行き、奥の部屋に入る。


 すると少し違和感がしたが、中にはすでにもう1人女性がおり、そちらに気を取られてしまった。


「ではそちらのソファにお座りくだされ。あぁこちらの女性は私の秘書でして、気にすることはありませんよ」

「はぁ...それで、聞きたいこととは何ですか?」

「えぇ、それはですね...。あなたは嘘を見破るスキルを持っていますか?」


 その質問をされた瞬間、俺の“予知”が働くと同時に猛烈に嫌な予感がした。そこで俺は2人を“鑑定”する。


 名前:ナバス・フォーティー

 種族:人間

 Lv:64

 スキル:宣実強制Lv.- 虚言Lv.6 鑑定Lv.8 気配感知Lv.8 剣術Lv.4


 名前:ミトル・フォーティー

 種族:人間

 Lv.57

 スキル:領域選定Lv.- 秘書Lv.6 交渉Lv.5 隠密Lv.8 闘聖術Lv.3


 スキル 宣実強制 このスキルを保持しているものの目を見ると、質問されたことに対して嘘をつけなくなる。精神耐性でも防ぐことはできない。またこのスキルは他同系統スキルよりも上位に位置する。


 スキル 領域選定 このスキルを保持しているものの認識内において、スキル保持者の望むように空間と対象を設定できる。しかし、直接身体に危害を加える設定は行えない。


 なっ?!厄介すぎる...!


 なるほどっ!この2人で嘘を確実につけないエリアを作っている!この部屋に入った時の違和感は偽物ではなかった!


「ぐっ...い、いや...持って...いない...。貴様...!」

「ありがとうございます。ではあなたは“鑑定”を持っていますか?」


 俺がカラクリに気づいたことを悟ったのか、少々驚きつつも嫌らしいニヤニヤ笑いを抑えなくなった。


 また、黙ってやり過ごすこともできないようで喋らされてしまう。


 そして、身体に直接危害を加えていないため、俺がこの場を離れたくないと思わせることはできるようだ。


 なので、この場から離れることも出来なかった。


「あ、あぁ...持って、いる」

(サニアは喋るな、今注意は俺に向いている。余計なことを気取られないようにしろ)

(わかったわ...)

「ふふっ、ありがとうございます。いやに素直ですねぇ。こちらも助かりますよ」

「貴様らがやっているんだろうが...!」


 ギルドだから騒動を起こしてはならないなど、今まで大して思ってもいなかったのだが、この場ではそう思わされている。これも“領域選定”のスキルなのだろう。


 なまじ、知能を持っているものがこういったレベル表記の無いスキルを持っているとここまで厄介なことになることを知らなかった。


 それは俺がキュレイやギルドマスターにみだりに“鑑定”するなと言われていたことや、今まで“気配感知”等で読まれるからと“鑑定”を怠ってきたことが仇となっていた。


「はやくここから出せ!」

「いえいえ、まだ質問は終わってませんよ。まぁ出たければ出ていただいて構いませんよ?出られたらの話ですが」

「クソがっ!これ以上話すことなどない!はやくここから出せ!」

「まだ終わっていないと言ったでしょう?あなたは私たちの邪魔をしました。まぁ、といってもあの程度の存在はいくらでもいるので構いませんが」

「やはりグルか!お前は最初にあった時、俺に“鑑定”をぶつけてきたもんな!」

「おや、気付かれていましたか。はい、それであなたに嘘を見破るスキルなどないことを知りましたが、監視の報告などを聞いていると表示されているスキルも正しくはないのではないかという意見がありましてね」

「はっ!それで監視を殺した俺たちに復讐ってわけか?!いくらでもかかってこいよ!」

「そんなに急がないでくださいよ。まだまだ話したいことはあるのですから。では、次の質問を...」


 そこで、ナバスがまたも質問を紡ごうとしたあたりから声が聞こえなくなった。



 うまくいった。



 一か八かだったが、“雷嵐魔法”でこの部屋の空気を遮断し、音を消した。当然、息が出来なくなる。それは俺もサニアもだったが、俺たちはあらかじめ空気を肺に含んでいた。


 対して、彼らは突然のことだったため息も吸えず、パニックになり、そのうち2人とも倒れて、しばらくするとそのまま動かなくなった。


「...ぷはぁっ、はぁ、はぁ、うまくいった...」


 どうやら秘書の“領域選定”は彼女が敵対行動と認識しなければ邪魔はされないらしい。


 今回俺がやった方法は空気を操るという目に見えない方法だったから上手くいったようだ。


『経験値を獲得しました。スキル:簒奪により取得経験値が半減します。スキル:簒奪の効果により、スキル:宣実強制 虚言 鑑定 気配感知 剣術 領域選定 秘書 交渉 隠密 闘聖術を獲得しました』


 名前:日向 海斗

 種族:人間

 年齢:18

 Lv:194

 スキル:

 《特》New宣実強制Lv.- New領域選定Lv.-

 《常》Up虚言Lv.8 Up交渉Lv.8 New秘書Lv.6

 《能》鑑定Lv.5→New全鑑定Lv.1 Up偽装Lv.3


 称号:宣実者 域選者



 無事、スキルも取れてたか。これで確実に死んだことを確認できた。


「厄介だったが、いい勉強になった。それに“鑑定”を持っていてくれたのはありがたい。お陰で上位スキルに変わった」


 また、ここに死体を放置しておくのはまずいと思い、初めて使う死霊作製を使ってみる。すると今回は素材が欠損なく揃っていたからか生前の記憶を保持していた。


「な、何が起こった?私は一体...」

「私は何をしていたのかしら...あら、おじいさま?それと...」

「よう、さっきはずいぶんなことをしてくれたな。その礼だ、お前らを存分に使ってやる」

「な、何を!何を言っているのです?!一体、私は...私たちはどうなった?!」

「...な!?おじいさま!私のスキルが...ステータスがありません!それに...称号にカイトの死霊と...そんな...」

「な、なんだと!あなた...!」

「そういうことだ。お前らには罰を受けてもらう。領主と繋がっていようがどうだろうが、俺に敵対したんだ。後悔させてやるよ」





 そのまま、俺たちはじじいと孫に大人しく自分たちのアジトまで案内させた。


 その際、アジトの検問のような場所にいた部下たちにはじじぃが俺を連行しに来たと伝え、そのまま通った。


 どうやら俺を連れてくるのは元から決まっていたようであまり疑われることもなく、最深部までたどり着くことが出来た。


 そうして辿り着いた最深部の地下には、身長が高く体の引き締まった1人の武人が立っていた。


「よく連れてきましたね。下がっていいですよ」

「はい、わかりました」

「よく来てくださいました、カイト・ヒュウガくん。私はナガトと申します。会うのは2度目ですね」

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