第183話 最終回廊
先日は更新が出来ず、申し訳ありませんでしたぁ!!
もうほんとうにごめんなさい。言い訳なく、ただ純粋に疲れて忘れておりました……。
気づいた時にはもう日曜日でした……。
狭い通路の中で虹色の光が散った場所にはところどころ破壊された転移魔法陣のみが残されていた。命の灯を燃やすように明滅して紅く灯る魔法陣は、しばらくしてその光を消した。
「これで、本当に……?」
「おそらく、な。俺自身もあいつらを見たのは初めてだから確信は持てないが、少なくともあの妙な気配は消えた」
「妙な気配、ですか……」
「あぁ。屍人とも生者とも違うなんとも言えない気配だな」
俺は鳥肌の立った肌をさする。あの黒いモヤを纏った男たちが出てきてからずっと嫌な感じをしていた。奴らが俺の魔法で消えたからはその嫌な感じは無くなったが、原因は俺自身も分からなかった。
「でも、とりあえず急場は凌いだんだ。今は再会を喜ぼう」
「そうですね…!」
「うん!」
「・・・こくっ」
俺は集まってきた3人をひしと抱きしめる。少しツンとする汗の匂いも俺たちを必死に探してくれた証だろう。
「あたしもまぜてよ〜!」
抱き合っている俺たちの間にシルフィが割り込んでくる。そんな微笑ましい光景もここまで厳しい戦いを乗り越えてきたからこそだ。
俺は腕の中のぬくもりを改めて確かめていた。
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「ここですか……」
「あぁ、ここだろうな。さっきの黒いモヤの気配が感じられる」
「ま、禍々しい……」
あれから2日が経過した。一日を再会の喜びと休息に使い、次の一日で『オリジン』が示していた通路の先を探索したところ、通路の突き当たりにこの扉を見つけたのだ。
扉を見ると、確かに誰かが無理やりこじ開けたように封印していたであろう鍵とその周りの魔法陣が毀れていた。そして扉は数センチほど開いた状態になっており、その隙間からネィミヤたちも纏っていた黒いモヤが染み出していた。
名前:なし
特徴:神竜の体躯から漏れ出る瘴気。力の源であり、体躯を構成する要素の一つ。瘴気による他者の支配は可能だが、相手からの了承がなければ支配はできない。封印されていることで神竜の体躯に集まらないように拡散されている。
「このモヤ自体に触れても問題は無さそうだ。ただ、もしあいつから何か声をかけられたら無視しろよ」
「声……ですか?」
「あぁ、何やら瘴気を取り込むうえであいつの声に了承すると支配されるらしい」
「・・・もしかしてネィミヤたちみたいになるってこと?」
「おそらくな。他にもいろいろ条件はあるだろうが、無視しておくに越したことはない」
「分かったよ!」
俺はそう言って開きかけている扉に手をかける。扉は鋼鉄で出来ているかのように重く冷たい。ステータスが10万を超えている俺でも、全力で動かして数センチずつしか動かない。
「……くっ!」
「手伝うよ!」
それから数分後、全員で少しずつ開いてようやく5人が通れるほどの幅になった。
「はぁ、はぁ……、とんでもねぇな。重すぎだろ」
「ほんと、ですね。見た目、以上に」
扉の分厚さは10センチほど。扉としては厚い方だろうが、それでもここまて苦労するほどではないだろう。
「まぁ、いいや。とりあえず中には入れたが……暗いな」
「・・・何も見えない」
気を取り直して開いた扉から中へ入ると、もはやお馴染みなくらい真っ暗だった。“夜目”があるため、俺自身はそこまで暗さを感じないが、その上からでも分かるほど、奥には闇が広がっている。
獣の特性を引き継ぐサニアが何も見えないと言うのだ、相当な暗さだろう。さらに奥を見てみるにここは部屋ではなくまたしても一本道になっている。だが、ここには奴の瘴気がこれでもか、と籠っていた。
「また通路か……。くそ、いつになったら着くんだよ」
同じような景色が続いたせいで、思わず悪態をついてしまう。シルフィは空気が臭いと言って精霊界なる場所へ逃げてしまった。
「また、扉か……」
仕方なく通路を奥まで進んでいくと、見覚えのある扉が顔を出した。10メートルを超えるであろう高さの扉に手を当てると、一人でに開き中へと俺たちを誘う。
誘われるまま中へ入ると左右に備わった燭台に等間隔で蝋燭が灯っていく。ここまでに何度も見たボス部屋の通例儀式だ。
「ようやくおでましか!オリジン!」
「かえってきたぞ〜!かかってこ〜い!!」
いつどこから攻撃が来てもいいように全員が戦闘態勢を取る。しれっと逃げていた星霊も参加しているみたいだが、全員がやる気に溢れていた。
そうして徐々に敵の姿が浮き彫りになる。
——その姿は球体だった。
「は?」
「え?」
全く歪みの見当たらない、綺麗な球体だった。だが、だからこそその異様さは目立った。
ここまでのボスの例に漏れず、その大きさは俺たちの数倍はあろうかという大きさ。そして光すら飲み込んでしまうほど黒は、その球体丸ごと黒のインクに浸したようだった。
そんな見るものが見れば、美しいとすら感じられる球体が部屋のど真ん中に浮いていた。微動だにせずに浮いていたのだ。
「……これが……オリジン、か?」
「竜と名の付くものですよ?流石に……」
「“鑑定”で見てみたら?」
「そ、そうだな。通じるかは分からんが……」
俺はミユに言われるまま目の前の球体に“全鑑定”を行う。すると、今回の敵は今までとは違いすんなりと鑑定を行うことができた。
名前:可変式殲滅兵器MARKⅡ
種族:不明
Lv:-
スキル:スキル統合Lv.- 対守勢Lv.-
称号:なし
対守勢 相対するものの防御行動に対して、積極的攻撃性を獲得する。スキル保持者が防御行動と判断したものに対して絶対的な攻撃を可能とする。
「……いや、余計に意味が分からん」
「どうしたんですか?何か分かりました?」
「うーん、分かったが分からん」
「……え?」
全員俺の後ろにいるが、4人が惚けたような顔をしているのが目に浮かぶ。だが、俺自身もそうなのだ。とりあえず俺は、今見たものについて仲間と共有することにした。
「なるほど、殲滅兵器……ですか。何の殲滅兵器なんでしょう?」
「順当に考えるならこの先にオリジンがいるってことは……この世界ってことになるな」
「でも、ならなんでこんな地下にあるんだろうね。この兵器も封印されてるのかな?」
「確かにな。それに俺の目的のスキルはこいつが持っているわけだが、なぜこいつが持ってるんだろうな」
「……あたししってるよ」
「シルフィ?」
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「ちっ、声が聞こえなくなった。せっかくここまで大事に育てて来たのに!」
どこともしれない獣道を踏み荒らしながら歩く彼女は自らの怒りを発散するように、周りにいる魔物を殺していく。
彼の声が聞こえなくなったのは、つい最近のこと。それまでは手に取るように彼のことが分かった。楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと。そしてそれ以上にいい肥料となる『絶望』。
彼は度重なる絶望を抱え、摩耗しながらもよく育ってくれた。また、我らが主神が埋め込んだ種だけでなく、その他にも彼には種を蒔いていたのだ。
それはそれは綺麗に、そして歪に育ってくれたものだ。もはや我が子のように可愛がっていたくらいだ。
だが、それもあの落ちこぼれのせいで全て台無しになってしまった。
「ほんっとに信じらんない!!堕ちてからも生きてるとかあり得なくない?!……それに力は十分奪ってやったはずなんだけどなぁ!」
あの白髪野郎がやった証拠はないが、確信はあった。というよりもそんなことをできる者で、わざわざ世界への道標を故意にいじるやつなど、奴しかいない。
「せっかく、世界に対して憎しみを持ってくれたのにぃ……」
ドンッと憂さ晴らしをする様に数キロ先にいる魔物を破裂させる。しかし、こんなものでは憂さ晴らしにもならなかった。
「……えっ?!」
それからいじけて森の中を進んでいると、懐かしい感覚が蘇った。
『————を獲得しました。スキル:簒奪により取得経験値が半減します。スキル:簒奪の効果により、@&¥73¥:&&(@!,&————————を獲得しました』
「あぁぁぁ!!!やっぱり邪魔されてる!!!くそがぁぁ!!!」
久々に聞こえた彼の声。しかし、はっきりとは聞こえず、鮮明に見えていたはずの彼の心や表情は霧がかかったように覆われていて見ることが出来なかった。
それに神経を逆撫でされたアタシは上空を飛んでいる亜龍を破裂させ、その生温い血を浴びることでなんとか落ち着きを取り戻した。
「……はぁぁぁぁぁ。カイト君、君に会いたいよー。今ならカナディアの気持ちもわかる気がするぅ」
落ち込みながらも木々の合間から見える先には、吹雪吹き荒れる町と大きな城がある都市が広がっていた。




