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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第5章

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第91話 風と雷のエレメンタル

つ、ついに100部分目行きましたー!

いつも読んでくださる皆様本当にありがとうございます!!


ゆーちゅーぶもみにきてね...?!

「...シルフィ、サニアは助かるってどういうことなのか教えてくれ」


 ひとまず状況をある程度把握した俺は先ほどシルフィがサラッと言っていたサニアが助かる、と言っていたことについて聞くことにした。


「うーん、たすかるっていうかもうだいしょうぶっていうか。なんていえばいいんだろ?....あっ!あたしがみえるようになったからあのこはたすかるっていえばいいのかっ!」

「ん?どういうことだ?尚更意味が分からなくなったぞ。そもそもなんで急に俺の前に君が、シルフィが現れたのかも分かってないんだ」

「えぇー?!そうなの?!あたしをよぼうとしてたんじゃないの?!」


 どうやらシルフィは俺が彼女を呼び出そうとしていたと思っていたようだ。そしてそれに応えて姿を現してくれたらしい。...というかずっと俺の側にはいたらしいのだが、声は届いていなかったそうだ。


 だから、ミアからの頼みとはいえあまり期待はしていなかったらしい。しかし、今さっきまでシルフィはサニアを助けるために俺に声をかけてくれていたそうだ。


 そしてその声の従うままに俺は何かをして今に至るようだ。


「あたしにたすけてもらうためにアレをぶっこわしたんだとおもったのに〜!そしたらどうやってアレこわしたのさ?!」

「アレ?アレって何のことだよ?」

「それもわかってなかったの〜?!もうむちゃくちゃだよ...」

「とにかくっ、サニアを助けるにはどうしたらいいんだよ!」

「わかった、わかった!あたしがみえるようになったのもあのこがたすかるほうほうもぜんぶいっしょだから!」


 それからシルフィのちょっと舌ったらずな説明を簡潔にすると、まずシルフィの言う『アレ』とは正式な名称はないらしいのだが、一種の壁を突破したのと同じらしい。


 あの俺の魔力を邪魔していた何かはこれのことだったのかもしれない。というのも説明の中でシルフィに言われて確認して初めて知ったのだが、一部スキルが変化していた。



 スキル 熾天魔法 神聖魔法を超越し覚醒を果たした。あらゆる傷や状態異常を癒し、天使にも匹敵する魔法を放つことが可能。


 スキル 魄雷魔法 熾天魔法の影響を受け、さらなる境地に至った魔法。放つ風は白く魔を切り裂き、鳴る雷は白く天をも焦がす。



 どうやらこれのおかげでシルフィを見ることが出来る様になったし、さらにこの“熾天魔法”を使えばミイラ化したサニアの腕やあの忌まわしい華も取り去ることが可能というのだ。


「これを使えば...サニアが助かるのか?」

「そうだよー!てかもうあたしをよぶためにつかってるから、たぶんだいじょうぶだとおもうんだけどねー」


 彼女がいうにはそもそもシルフィを呼ぶために“熾天魔法”を使っているためもう治っているのだとか。だが、今俺のいるこの不思議な空間は地平線の果てまで白く染まっている。


 そのためどこまで続いているかも分からず、外の様子も一切わからないのだ。そのことが余計に俺の不安を増長させるのだが、シルフィはしきりに大丈夫だと言ってくる。


「だからこれからはあたしのことみえるようになるよ!いままでむしされたぶん、こきつかってやるんだからっ!」


 シルフィは小さい胸を思い切り逸らせて俺を見上げる。そして咳を切ったように俺の周りを飛び回っていた。


「あぁ、頼むよ。そういえば時間軸が違うと言ってもどれくらい違うんだ?」

「んー、これくらいだとあっちのせかいは10びょうくらいしかたってないとおもうよー!」

「分かった。ただ、今は1分1秒が惜しい。助けられる方法が分かったんだ、あっちに戻せるか?」

「わかった!あと、あのおねえちゃんもなんかめがふういんされてるみたいだからかいじょしとくね!」

「ん?何のことを...「えいっ!」あ、おいっ!」


 シルフィが俺の制止も聞かず、何処かに向けて何かをした。...封印?一体何のことだろうか?


「それじゃあもどるよー!」

「あ、待て!さっきの封印ってーー」


 俺の言葉は最後まで続かずまたも視界が白く染まっていく。目の前の光量に耐えきれなくなった俺は反射的に目を閉じてしまった。


「くっ!...収まったか?」


 目蓋越しに感じる光が弱くなったのを確認して目を恐る恐る開くと目の前には気を失ったサニアが壁に寄りかかって座っていた。


「サニア!大丈夫っ....みたいだな。よかった...」


 シルフィの言う通りサニアの腕や足、そして顔を全て元どおりになっていた。そして肩から体を巡るように広がっていた根も一切なく、華も欠片すら見当たらなかった。


 確認してもサニアは規則的に息をしている。だが、どうやら今までの痛みが全て無かったことになったわけではないからか、耐えきれない痛みによってか気を失っているだけだった。


『ね?だいじょうぶだったでしょ?』

『シルフィか?』

『うんっ!きこえてるみたいだね!あとはあいつらたおすだけだぁー!』


(そうだな)


 ここまでコケにしてくれたのだ。彼女たちの勇気を努力を踏みにじろうとした報いは受けてもらわなければ。


 俺はシルフィにサニアを見ていてもらうよう伝えて振り向く。いつのまにか剣戟の音は途絶えていた。振り向くと全員が俺の方を見ている。だが、なぜか1人だけ、【強欲】だけが地面に倒れ伏していた。


「カイトくんっ!」


 真っ先にミユが走り寄ってくる。その顔は喜色に彩られており、俺とサニアを交互に見て状況は察したようだ。


「サニアは大丈夫なんだよね?」

「あぁ、心配かけたな。今は疲れて眠っているだけだよ」

「良かったぁ」

「そういうミユは大丈夫か?」

「うん!ただ、怪我したとかじゃないんだけど、テミスさんの様子が突然変わっちゃって...。あ、何か悪くなったとかじゃないんだよ?」

「ん?どういう...」

「カイトさん、ご心配なさらず。私は大丈夫ですよ。ただ、詳しい話は後から致しますので、今はこの場を切り抜けることの方が先かと」

「そうだな、まずはこいつらをどうにかしないとな。訳のわからん能力でサニアを傷つけた報いを与えてやるよ」


 俺はテミスとキノを呼び戻し、4人で後ろのサニアを守る形で立つ。対して魔王どもは小柄な男が【強欲】に肩を貸して起こしていた。


「ちょっと何どんくさいことしてんのさー。僕が君を助けるなんて後にも先にもこれっきりだよー?」

「うるさいっ!さっさと我(わたくし)を起こせ!」

「はいはい、それにしてもまさかあの華が消えちゃうとはねー。吸うことも出来なかったよ、これっぽっちも」

「ふんっ、貴様弱くなったのではないか?あの国にいる者どもから吸いすぎたせいだな。あの華は咲けば誰にも防がれることはないと豪語していたのはどこのどいつだ?」


【強欲】は肩を借りながら小柄な男をしきりに嘲る。だが、言われる男も対して気にしていないようだ。


「うーん、そうなのかなぁ?華を引きちぎろうとした奴はいっぱい居たけど完全に消去させるやつはいなかったからなぁ」

「ふん、使えん。それにしてもあの子娘、我(わたくし)の“雷嵐魔法”を...」

「そうだねー、あれも不思議だねー。突然だったもんねー」


【強欲】はもう立ち直したのか小柄な男から離れ、自前の服の埃を払う。と言っても下半身にしかもう履いていないため、それにも不満そうな顔をしていたが。


 対して小柄な男は相も変わらず貼り付けたようなニヤニヤ笑いを崩すことはなかった。


「カイトさん、あの小柄な男は【暴食】の魔王です。どうやら【強欲】の救援要請に応じてここに来たようです」

「なに?あいつも魔王なのか。なら尚更気を引き締めないとな」

「一応【暴食】の魔王ならある程度スキルは把握しています。彼はとある国の王であり、その際に全てではないかもしれませんが、ある程度の能力は提示していますので」

「これまた馬鹿なのかなんなのか...。分かった、ありがとう。後で聞くよ。ただ、今は自分で視る。テミスには奴らの戦い方や癖について聞きたい」

「分かりました。彼はーー」


 それからテミスによって新たに現れた【暴食】の魔王がサニアに華を生やしたことが確定した。さらにキノはすんでのところではあったが、無理やり戦おうとしたと聞き、ちょっと説教しながら効果的だと思う戦い方を教えた。


「よし、それじゃ最後の掃討戦だ」

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