ツリーの装飾
「サンタさん、大丈夫ですか?」
「ああ、もう大丈夫」
大きな雪だるまを出したことによる疲れも取れ、膝をついて立ち上がる。
「それじゃあ、もう一回、疲れることを」
「え?」
だるそうに中庭の真ん中のあたりを目指して歩き、そこで手をついて、大きく息を吐く。
「知らないだろうが、聖なる夜には、モミの木がつきものなんだよ」
地面が一瞬光って、それが収まると、大きなモミの木が地面を割ってそびえ立つ。
「わっ!」
その高さは孤児院よりも高く、外から見たら建物の中から木が突き抜けているように見えるだろう。
「なんでかはわからないけど、クリスマスツリーって言ってな。これが一本立ってるだけでもう『あっ、クリスマスだな』って思えるほどの、クリスマスのシンボルなんだよ」
驚くマイに地面にへたりこんで声をかける。
「そうなんですか、、それにしても、ずいぶん大きいですね」
「ああ、おかげでまた、動けなくなっちまった」
10メートル以上の木を出したおかげで、思いの他疲れてしまい、立ち上がるのもやっとだ。
「大丈夫、ですか?」
「大丈夫じゃない」
「そう言えるなら大丈夫ですね」
隣でくすりと笑うマイが手を差し伸べてくれたので、それを借りて立ち上がる。
「んで、今からこの木に装飾をしないといけないんだけど、、」
袋をわざとらしく漁る素振りを見せて、肩をすくめる。
「装飾品がない」
「えっ」
短い静寂。
「どうするんですか」
「どうしようね」
「・・・」
そーりぃ、普通に忘れてました。
そんなふざけた謝罪などできるはずもなく、隣の鬼のような形相の少女を横目でしか見ることができない。
「おーい、こっち終わったぞー」
絶妙なタイミングで、準備が終わったラストがこちらに歩み寄ってくる。
ラスト、お前、最高だよ。
「うわー、でっけーなあ!木なんか出してどうすんだ?」
「これはクリスマスのシンボル的存在だ。今からこれに装飾をしないといけないんだが、装飾品がなくて、人生初の大ピンチを迎えている」
「大ピンチねえ。お」
上を見上げて数秒、ラストが何かをひらめいたような声を出す。
なんでもいい、隣の殺気が静まりさえすれば、、!
「あったじゃねえか、装飾品」
「え?」
そういってラストは僕をそりに乗せて、自信は後ろに座る。
「ちょっと家に戻るわ。マイ、今のうちにリィナのとこ行って、あっちの手伝いしてやれ」
「家、、?あっ!あれですね!」
マイもなんだかわかっているのか、すぐに表情がパッと明るくなる。
「ああ、あれだ」
あれってなんだ。
「ほら、行くぞ」
「早く戻ってきてくださいよ?」
何が何だかわからないうちに、ルドルフは勝手に舞い上がり家へと急ぐ。
「ここはひとつ、うちの自慢の商品をお見せしましょう、ってか?」
家へ着くのに、そう長くはかからなかった。
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