装飾をとりに
「んで、装飾って、本当にあるのかよ」
「あるよ。まあちょっと待ってな」
家までつくとラストは中へ入っていった。
なんとなく気になったので中に入ると、ラストは商品棚を漁っている。
「そういや商品とか言ってたけど、うちにそんなもんないだろ。ポーションくらいしかないんじゃねえの?」
「そうか、サンタはいつも外にいるもんな」
その一言に、少しだけ疎外感を覚えながらも、それを顔に出さないように努める。
「リィナが来てから、うちはポーションだけじゃなくて、魔法道具も売ることができるようになった。まあこれは知ってるだろ?魔法道具ってのは便利なもんでな。いつでも使えるような便利なものから、使い道が限定された局所的なものまで、いろいろある。それで今回に限って使えそうなものってのが、、お、あった」
並べられた商品をかき分けて、お目当ての品を見つけると、いつものどや顔を決めてくる。
「これだ」
差し出された小さな箱。
青く染められたそれは、夜空に浮かぶ星のように、所々がきらきらと輝いていた。
「きれいな箱だな」
「ああ。こいつはリィナの特製らしくてな、高いうえに戦闘には全く役に立たないから、売れることなく残っていたんだが、、まさかこんな時に役に立つとは」
その箱をもって、僕たちは再びそりに乗り、孤児院へと戻る。
「んで、それを開けるとどうなるんだ?」
「一個しかないから俺も使い方はわからないんだよな。開ければわかるって言われたんだけど、、一応飾りつけに使えるとか聞いたけどな」
「まあ、リィナを呼んで来ればわかるだろ。今頃はみんなで遊んでるんじゃないか?」
「おう、それで行くか」
そこで一匹の友人のことを思い出し、ラストに尋ねる。
「あ、そういえばコメットが、連れていこうと思ったら道も教えてないのに勝手にどっか言っちゃったんだけど、大丈夫なのか?」
「ああ、どうりでいないわけだ。大丈夫、カラアレオンは、鼻が利くんだ。お前のにおいを覚えているはずだから、大丈夫だと思うぜ」
「へー、そうなんだ」
勉強になったと思っていると、いつの間にか中庭の真上までついていた。
ルドルフはゆっくりと降下して、雪の上に着陸する。
「っと、もうついたか。それじゃあ、俺がリィナを呼んでくるから、後はお前とリィナで二人で準備をしといてくれ。ちび共は俺たちが相手しとくからよ!」
「おお、ごめんね」
そりから飛び出してラストは中庭を後にし、僕は残された小さな箱を手にもてあそんでいると、少ししてリィナが駆け足気味に中庭に入ってきた。
「よう、悪いね、急に呼び出して。そっちはどう?」
「サンタ。ううん、大丈夫だよ。あっちはみんな楽しくやってるよ。やっぱり夜に何かするって言うのが楽しいみたい。今はプレゼント交換をやっているから、私もうまく抜け出せたよ」
いつものように笑うリィナは中庭の明かりが照らしてドラマの演出のようだ。
物語の世界から切り取ったようなその姿に少しだけ見とれてしまうが、別に惚れたわけじゃない、と必死に言い聞かせる。
「それで、サンタから大事な話があるって聞いて来たんだけど、どうしたの?」
「ん、ああ、それはね」
箱を見せようとした瞬間、リィナははっとして僕をまっすぐ見つめて、顔を赤らめる。
「も、もしかして、、大事な話って、、!」
んー、なんかよくわかりませんが嫌な予感がします。
「こ、告白!?」
「はあ?」
予感的中です。
「ダメだよサンタ!こんな時に、、時と場合ってものが、、」
「落ち着けって。僕はただこれを」
「その箱!もしかして指輪!?はわわ、、」
取り乱したリィナは興奮しきって話を聞いてくれない。
ラストの野郎、大事な話とか、ぼかすんじゃねえよ。
いや、確かにクリスマスにモミの木の下でプロポーズなんて場面は腐るほどあるけどさ。
「おい、リィナ。話を、、」
「ダメだって!でも、サンタがどうしてもって言うなら、、、」
「いやだからさあ、、、」
リィナを説得するのに、おそらく向こうのプレゼント交換は終わったんじゃないかといえるくらいの時間を要した。
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