サンタの提案(プロポーズ)
『リィナ選手の棄権により、試合終了!勝者、サンタクロース選手!!』
「「「わあああああああああ」」」
「ふう、やっと終わった」
「ノ――!」
「ははは、お前ら、まだ遊びたりないのか?」
雪だるまどもは雪玉を作って、雪合戦を始めている。
その様子を見ていると、リィナが口を開く。
「・・・とりあえず、おろしてもらっていい?」
「ん?ああ、これって、今気づいたけどお姫様だっこってやつじゃん」
始めてやったということに感動を覚えてしばらくそのままでいると、リィナが真っ赤になってぽかぽかとこちらを叩いてくる。
「だから!恥ずかしいんだって!早く!おろしてってばあ!」
「あ、ごめん」
「まったく、、決勝、応援してるから。頑張ってね」
降りたリィナは一度だけ僕を見てそういってから、背を向けて歩き出す。
「あ、待って」
思わず呼びとめて手を握る。
「何?」
悲しそうな顔をして、今にも泣きだしそうだ。
「その、ごめん。絶対にかなえようって言った夢を、僕がつぶすようなことになって」
「・・・仕方がないよ。だって私たち、対戦相手だもん」
泣き笑いのような顔をする。
その顔を見て胸にぐさりと刺さるような感覚を覚える。
「それだけ?じゃあ、私、帰るよ」
振りほどこうとする手を、握って離さないでいると、不思議そうな顔をして僕を見つめる。
「まだ何かあるの?」
「ああ、確かに今回、僕は君の夢をつぶしてしまった」
「そんな何回も言わなくても分かるよ」
「だからさ、僕、考えたんだ」
「・・・何を?」
「それは、、、」
その次が言い出せない。
心臓がバクバクと鳴りやまない。
もしかしたら断られるかもしれないという不安が、次の言葉を言うのをためらわせる。
ええい、どうせこの世界、僕のこと知ってるやつはほとんどいないんだ!
黒歴史の一つや二つ、作ってやれ!
「リィナ、僕と―――」
そこまで言って、言葉が詰まる。
しまった。
緊張しすぎてなんていうのかを忘れてしまった。
何だっけ、、あ、そうだ!
「―――僕と、家族になりませんか?」
「・・・え?」
一瞬、時が止まったような気がした。
ん?今なんて言ったんだ?
リィナが目を見開いて、僕を見つめる。
そして直後、ボンッ!と赤くなって、黙ってうつむく。
「それって、、もしかして、、」
『おおっとお!こぉれはこれはあ!?サンタクロース選手、リィナ選手にまさかのプロポーズ!?なんだあ、この大会、気づかないうちに愛が芽生えていたんでしょうか!』
『サンタそういえばかわいいとか言ってたもんなー。それにしてもこんなところで告白なんて、あいつ結構男らしいんだなあ』
「え、告白?違う違う、そんなんじゃ、、」
『くうー!私も大会に出ていれば、、あんな風に手を握ってくれる殿方が現れるのでしょうか、、!うらやましい、、!』
会場もざわつき始める。
祝福の声だったり、うらやましいという怨念がこもったものであったり、普通に僕の勝利を祝うものだったり。
「ちょ、ちょっと待てって!」
説得しようと声を上げるが、どうにもならない。
「幸せになー!」
「男だなサンタクロース!」
「お似合いだぜー!」
観客の暴走で、いつの間にか結構式場のような雰囲気になりつつある。
なんだこれ。
「サンタ、、」
リィナが僕の名前を呼ぶ。
「り、リィナ、、?」
「いきなり家族だなんて、、」
もじもじとして赤くなっているリィナ。
おい、なんでこいつ、まんざらじゃないような雰囲気出してるんだよ。
とにかくこの場は逃げなければ、、!
「リィナ、乗れ!」
「え?きゃあ!」
『おおっと、これはまさか駆け落ち!?サンタ、自己満足なプレゼントをリィナにしてあげるとか言ってたけど、まさかこれだったのかあ?』
さらっと恥ずかしいことを言ってくるラスト。
「ぐあああああ!らすとおおおおお!」
実況席まで飛ばして、ラストを掴んで、無理矢理乗せようとする。
『お、おい!サンタ、そんな引っ張るなっつの!さあさあ、今日の試合はここいらで幕切れだ!赤い帽子と赤い髪の女の子。その二人の恋の行方はいかに!それではまたお会いしましょう!じゃーな!』
最後の最後まで次回予告のような置き土産を残していったラストをのせて、僕たち3人は逃げるように空へと飛び出した。
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