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炎の女の子

『さあさあ、ついにきました準決勝!この戦いに勝った時点で、入賞が決定、そして、決勝への片道切符を手に入れられます!それでは参りましょう!』


まだ選手紹介もしていないというのに、会場から熱い声援が飛んでくる。

準決勝からか、これまでよりも客の入りは多く、立ってみなければならないものもいるほどに、観客席は人でごった返していた。


『まずはこちらの女の子!華奢な体に、纏うは強烈炎魔法!生きる炎、リィナ選手!』


会場から黄色い声が上がる。

女の子に人気がある様だ。

野太い声も結構前の席から聞こえてくるが、きっと親衛隊みたいなもんだろうな。


そして説明がいつもよりも短い。

多分前の試合で言いすぎてネタがなくなってきたんだな。


『続いてはこの男!真っ赤な帽子と白い袋、そこから飛び出す数多の戦術!今日は私たちに、どんな夢を見せてくれるのか!サンタクロース選手!』


黄色い声はないが歓声が上がる。

ファンサービスが功をなしたか?


『それでは参りましょう!試合、スタートです!』


―――――――


『おおっと、リィナ選手。宙を舞った!お得意の空からの攻撃かあ!』


「手加減しないよ」


「ま、大会だし、気にすんな」


僕も指を鳴らしてスキルを念じる。


やがていつもの見慣れた雪景色が会場を真っ白に染め上げる。


『こちらも動きだしました。いつ見てもきれいですねえ』


『ああ、そうだな』


『しかし今回、私はリィナ選手を応援しています。サンタクロース選手にはここで負けて欲しいところです!』


公平な立場であるはずの実況がいきなり僕を否定し始めた。


「ええ、、?」


『さすがにそれはひどいだろ、、そんなにリィナが好きなのか?』


『いいえ、先日、飛んでもない味の飲み物を飲まされましてね。あんな苦いもの。人に渡せるものじゃありません!それを渡すなんて、まさに鬼畜!私は絶対許しませんよ!』


『・・・』


「ああ、忘れてた、、」


昨日、普通のポーションと間違えて、ラスト特製死ねるポーションビリジアンという劇薬を渡してしまったんだった。


「ずいぶんと嫌われたものね」


リィナがくすりと笑ってこちらを見る。


『お、俺は応援してるぞ!サンタ、頑張れ!』


ラストの応援につづいて、そうだといわんばかりの声援が飛んできて、少し鳴きそうになる。


「全員に嫌われたわけじゃないさ。まだましだよ」


「そう。それじゃあ、そろそろいくよ!」


気づくとリィナの周りを炎が渦巻いている。

さっきのやり取りの間に準備していたのか。


「来るか、、!」


「ええい!」


突如、リィナの体を隠すくらいの火の玉が現れた。


「ええ、技名は!?」


動揺して、よけきれずに、火の玉を全身で受ける。


「どう、私の炎は?前の試合なんかとは比べ物にならないんじゃないかしら?」



「あっついなあ、、氷タイプに炎は弱点って感じか?」



「・・・やっぱりおじさんの言った通り、魔法は効かないのかな、、」


少しだけうつむいて気弱になるリィナ。

なんだよその仕草。

かわいすぎるだろ。


「い、いや。効かないってことは無いぞ!一応受けてるしな!どんどん撃てよ!」


なんだ今の発言。ドMじゃねえか、、!


「本当?じゃあ、もっと強いのうつよ!えい!」


「またノーディレイかよ、、、!」


レーザーのような一直線に来る炎は、先ほどよりもスピードが速くて、反応しきれない。

両手で覆ってダメージを防ぐ。


「うううう、あっつ、、」


「それでも耐えるんだ」


『あいつ、本当にどうなってるんだろうな』


『ええ、一応、今まではこの攻撃でリィナ選手は勝ち上がってきたのですが、、』


「一応ソロ充ともなると、一人で一つのパーティを形成しないといけないからな。特に防御に関しては徹底しないと」


「そろじゅう?よくわかんないけど、まあ強いってことね。もっと強い魔法で攻撃しなくちゃね!」


再び炎が渦巻きだす。


「あの子、技名無しで呪文が打てるのか?」


レディオや昨日のクソガキはいちいち技名を言っていた気がするが、言わなくても打てるのだろうか。

確かに僕も、言わずにいろいろやってるが。


「っと、こっちもやられてばっかじゃいけねえな。友達を呼ぶぜ!」


地面に手を当てて念じる。

来い、スノウマン。



しかしどれだけ待ってもスノウマンがやってくることはない。


「なんでだ、、?」


ふと地面を見つめる。

そして気づく。


「雪がねえ、、!」


先ほどの炎のおかげで、僕の周りの雪はすべて溶けてみずになっていた。おかげでこの周辺にいるかぎり、雪だるまを出すことも、モミの木を出すこともできない。


「もしかして、雪がないと何もできないの?」


「そ、そんなことない。雪が無くても、僕、普通に戦える」


見え見えの嘘をつく。


「そう、じゃあ、雪はいらないね」


リィナの周りを渦巻いていた炎が突然はじけて雨のように降り注ぐ。


僕にも飛んでくるが先ほどのような塊ではないので、せいぜい熱風が来たようなものだ。


「これは、、痛くはないな。でも、、、」


『何ということでしょう!フィールドが水たまりでいっぱいです!』


「雨上がりの水たまりってやっぱりいいものよね?」


「火の雨の後なのになあ、、」


僕が呼び出した雪はすべて溶かされて、すべて水たまりになってしまった。

ご覧いただきありがとうございます。

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