表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/95

復活

「とりあえず入り口を見つけねえと、、!」


外周を探ろうと、裏側に回ると、入り口はすぐにみつかった。


「あ、ここね、、」


少しあっさり見つかって拍子抜けだったが、今は気にすることではない。


「それにしても、これは小さすぎるな、、」


入り口と思われる穴は小さく、四つん這いにならないと入ることはできない。


「そうか、入り口を小さくしてるから、一人ずつしか入ることはできない。だから入り口をくぐって文字通り丸腰の状態で攻撃を食らって、それでやられたんだな」


道理で中には計算上2体しかいないはずなのに3体かかってもやられたわけだ。

しかしそれさえわかれば対策のしようはある。

簡単なことだ。


「入り口を壊して、全員で入れるようにしろ!」


「ノオオオオ!」


雪だるまたちは全員で壁を殴る、掘るなどを繰り返して横幅を大きくする。

壁は頑丈で壊すのは困難だったが、それでも全員が一斉に通れるだけの穴ができた。


「これで一斉に行けるな。お前ら、突撃だあ!」


全員で入り口をくぐって中へ入る。





しかし入り口をくぐった矢先、俺はそこで目の当たりにする。

目の前に立ちはだかる無数の赤い軍勢を。





「ようこそ、私たちのお城へ♪」





声のした方を見上げるとマイが城壁から降りてきて、腰に手を当ててドンと構える。


「流石はラストです。入り口を壊して一斉に入ってくるとは、なかなかやりますね」


「マイ、、なんだ、これは、、?」


城の内部には赤い雪だるまが何体もいて、それらすべてがこちらをにらんでいる。


「ふふっ、驚きましたか?これは私たちの作戦です」


「ヌウウ!」


突然、大勢の中の1体がこちらに雪玉を投げてきた。

その不意打ちに反応しきれず、こっちの1体の頭に命中して頭を飛ばされる。


「くそ、どうなってやがる!」


焦って手当たり次第に雪玉を投げつけるこちらの雪だるまたち。

しかし全く手ごたえはなく、所々から雪玉を投げつけられ、早くも俺の軍は崩れはじめる。


そして4体いた雪だるまはついに半分の2体にまで減ってしまっていた。


焦る俺を見て、マイが微笑みながら声をかける。


「それじゃあヒントです♪冷静に、よく見てみたらどうですか、、?」


「冷静に、、見る、、?」


じっと目を凝らして、観察する。


「!」


そして気づく。

ほとんどすべての雪だるまが行動をしていないということに。


「これは、、ただの雪だるまか!」


「その通り♪でも、動けるユキちゃんが中に紛れていますよ」



―――そう、このたくさんの雪だるまは意思を持たないただの雪だるま。

反撃の準備中、サンタが防いでいる間に、壁を築きながらマイが作り上げたものだったのだ。

雪だるまを作り、サンタに手渡された袋からポーションを出して色を付ければ本物同様だ。



「私の腕にかかれば、どれも本物同然に作ることができます。だからよけようとしても、どれが本物か、わからないんじゃないんですか?」


確かにマイの腕は本物だ。

手作業なら何でも完璧にこなせるあいつなら、こんな二頭身どもを作ることなんて造作もない。

一目見て本物と思ってしまうほどに、できすぎた造りだった。


本物に近い偽物に紛れて、本物たちの攻撃が飛んでくる。

目で追おうとしても、雪玉をよけるたびに途中で見失ってしまう。


「さあ、どうですか!このままじゃやられるのも時間の問題ですよ?降参するなら今のうち―――」


「くそ、こいつらの相手をするのはやめだ!お前ら、マイを狙うぞ!」


「え?」


「ノーウ!」


雪玉をよけながら、マイのいる一番奥めがけて走り出す。


「わわっ、そういえば忘れてました!私を守る人が誰もいないじゃないですか~!」


よく考えたら全滅が勝ちじゃない。

王様を倒せば、それで終わりだったんだ。


「お前の偽物はいない!王女を討ち取ったら戦は終わりだ!この勝負、もらったあ!」


マイを取り囲み、俺は思わず勝利を確信する。


「お前を倒すだけなら、ここにいる2体がいれば十分だ」


「ノ――ウ!」


「サンタさん、どうしましょう!?・・・あれ?サンタさんは?」


鋭い二つの直球が、マイに向かって吸い込まれるようにして飛んでいく。



「きゃあ!」



勝った。

少し予想外の出来事があったが、これで終わりだ。

俺の、勝ちだ。



「はっはっはっは!これが冬将軍の実力よ!」





「マイ、言ったよな。お前には一発も当てさせないって」




「え、、?」




「ん?」




バシィ。


二つの雪玉はマイに当たることは無く、突然壁を飛び越えてマイの前にやってきた男によって遮られる。


「んな、、、!お前、、なんで、、!」


目の前の男は、その赤い帽子をかぶりなおして、こちらを見据える。

たまに見せる、片方の口角を釣り上げた笑みを浮かべながら。



「お前、さっき倒したはずだろ、、?なんでぴんぴんしてんだよ?サンタ!」




俺が王様と間違い、大勢で囲んで倒した男、サンタクロースが、そこにいた。


ご覧いただきありがとうございます。

もうすぐ雪合戦も終わりそうです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ