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戦闘員だって考える、だって人間だもの  作者: 流離流留
第1歩「学生だって必死です、人生を変えてみたいんです」
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『ああ、本当に後悔しかない人生だよ』



 季節は春。生命息吹くこの季節。

 うららかな日の光を浴びて若者たちは楽しそうに騒いでいる。

 何がそんなに面白いのか、その顔から笑みが絶えることはない。



 俺はそんな新入生どもを睨みつけながら大学を後にした。  

 何だあいつら、イキイキしやがってこの野郎。




 どうせな、入学してからな、3週間ぐらいで自分の進路を後悔すんだよ。

 サークルとかもな、何でもっと慎重に選ばなかったのかって後悔すんだよ。

 講義もな、何であの日でなかったんだろうってな、後悔すんだよ。

 合コンもな、何であの時好きな体位の話題出したんだろってな、後悔すんだよ。

 


 要するに何が言いたいかっつーと、人生は後悔でできてんだよ。俺は少なくともそう信じて生きている。



 何であんな家庭に生まれちまったんだろうなぁ?

 両親は文句ばっかり言うし、妹は可愛くねーくせにいちいち鬱陶しいし、貧乏で家は狭いし、生まれも育ちも田舎町って、どんだけ輝きがないんだよ俺の人生!



 学校生活も輝いてたわけでもなし。

 休み時間はたいてい一人で本読んで過ごしてたし。

 部活も・・・、モテたいからってだけで高い金払って道具揃えてテニス部入部したけど、結局3ヶ月もたなかったからなぁ・・・。




 そんな現状を変えたくて一念発起、親の反対を強引に押し切り必死で勉強して東京の大学へ進学したことを、俺はすでに後悔している。


 あれだけ親と派手にもめて出てきたからな、今さらすごすご帰るわけにもいかない。何より、そんなこと俺のプライドがゆるさねぇ。家帰るのはな、この街で成功した時だけって決めてるんだよ。


 だが、就職活動は上手くいかず、手当たり次第に書類を送っても1次審査すら通ったためしもない。

 履歴書ももう何回書いたか分からないし、机にはパッケージのカスが散乱している。



 おまけにダラダラ過ごし過ぎたせいで、卒業間際に単位が足りないときた。

 お陰でこんな気持ちのいい日に朝から大学構内にカンヅメだ。



 このペースで1年続けて間に合うかってところだからな、全く反吐が出る。




 ――――ああ、本当に後悔しかない人生だよ。



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