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第3話 とんがり帽子は友情のしるし 前編

      


 その日は朝から大忙しでした。アイナが独り暮らしをすると言い出したからです。


「子供のあんたに独り暮らしなんて出来るわけないじゃない。そんなに私たちといっしょに暮らすのがいやなわけ?」


 フェリシアが言いました。


「遠慮しているのなら気にしなくてもいいのよ。私たちは迷惑だなんて思っていないんだから」


 アニーも言いました。


「そうじゃないの。1人で何でも挑戦してみたいのよ。どうせ向こうでは1人で暮らすはずだったんだもの。何も心配することはないわ。いつもおばあちゃんのお手伝いをしていたから1人でもだいじょうぶよ」


 アイナがどうしてもというので、食事はフェリシアの家で食べるということと、時々ルーシーたちが様子を見に行くということで独り暮らしを認めることになりました。そのため、アニーたちはもう何10年も空き家だった家を住めるように掃除をしていたのです。



 半日かかってようやく人が住めるようなきれいな家になりました。アイナは自分の荷物を何も持っていなかったので、必要なものは村の人たちがそろえてくれました。洋服はフェリシアの服を貸してもらいました。掃除が終わるとアニーとビリーは、他に用事があるからと言って帰っていきました。


「さぁ、アイナ。私たちはこれから長老さんの家にいくのよ。あなたがこの村の住人になったことをちゃんと報告するの」


 フェリシアがそう言いました。



 こうしてアイナたちはフェリシアたちといっしょに、長老の家に向かいました。その途中でアイナは、何かをしている村の人たちを見つけました。そこでは、村の広場で村人たちがたくさんの机を並べたり、飾り付けをしたりといそがしそうにしています。



「ねぇ、あの人たちは何をしているの?」


「アイナには関係ないことよ。それよりも早く長老さんの家にいそぎましょ」


「フェリシアったらケチねぇ、教えてくれてもいいじゃない」


「つまらないことは気にしないの。それよりほら、あそこが長老さんの家よ」


 そう言ってフェリシアが指差しました。


 長老の家は、少し小高い丘の上にありました。その家はほかの家よりも大きくてりっぱでした。その家は長老に選ばれた人が住む家で、今の長老は20代目の長老でした。


「ねぇ、アイナ。この前も話したと思うけど、長老さんはとても元気なおじいさんで自分のことをまだ若いと思っているの。だからおじいさん扱いしてはだめよ。いいわね」


 ルーシーが言いました。


「ええ、わかったわ。長老さんってとてもやさしそうなおじいさんよね。元気なおじいさんって私は好きよ」


「あんまり元気すぎるのも迷惑だけどね」


 リックスがつぶやきました。


「こんにちは」


 フェリシアがノックをすると、部屋の中から元気な声がかえってきました。


「誰か知らんが用があるならかってに入って来ておくれ。カギはかかっておらんよ」


 フェリシアたちは部屋の中に入りました。部屋の中はとても豪華で、壁には歴代の長老のりっぱな肖像画が飾ってありました。


「おや、お前さんたちかい。よく来たね。さぁ、そこにお座り。」


「長老さん、ちょっと・・・」


 フェリシアが長老を呼んで隣の書斎でなにやら話しています。


「約束どおりアイナを連れて来たわよ。あとはお願いね。アイナが広場に行かないようにルーシーと2人でちゃんと見張っていてちょうだい」


「ああ、任せておくれ。これがわしの役目じゃからな。フェリシアたちも準備のほうは頼んだよ」


 長老は白いヒゲをさわりながらうれしそうに言いました。


「ねぇ、ルーシー、フェリシアは何をこそこそ話してるの?何だか私だけが仲間はずれみたいで変な気持ちだわ」


「あとで全部わかるわ。でも今はまだ言えないのよ」

 

 アイナをなぐさめるようにルーシーが言いました。


「じゃあ、私とリックスは帰るわ。いろいろ手伝いをしないといけないの。アイナとルーシーはここにいなさいよ。あとで迎えに行くからそれまでここを動いてはだめよ。いいわね」


 そう言ってフェリシアとリックスは帰っていきました。



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