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メテオモンスター  作者: ナムアニクラウド
第1章 メテオモンスター参上
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第2話 宇宙のエージェント

 こぢんまりとしたアパートの真っ暗な玄関が、扉の向こうから溢れだした月の光に照らしだされた。その日の夜、人間は新しい住人を家へ入れることになった。

「ここがおれの家。人を招く準備なんかしてないけど……」

「ありがとー!今日は適当に雑魚寝でもするからお構いなく。」

 ニグニは、人間が玄関に踏み込むなり元気よく上がり込んできた。人間は6畳の居間へニグニを案内した。宙に浮いていた体をカーペットに落ち着けたので、人間はニグニに何か話しかけようと思った。

「気になることがあるんだけど……」

「あ、ちょっとお仕事のメールをするから待ってて。」

 そういうとニグニは携帯電話を取り出して、メールを打ち始めた。気になることとは彼が何をしに人間星に来たのかということだったが、今彼は仕事と言った。一体なんの仕事を?侵略とかだろうか。それとも人間と同じような職につくのだろうか。人間はあまりメテモンのことを知らなかった。メテモンが3年前から人間星に来るようになったとはいえ、彗星の町に来たのはつい昨日のことだからだ。

 とりあえずニグニがメールを打ち終わるのを待たないといけなさそうなので、夕食の用意をとカップラーメンを2つ、お湯を注いで持ってきた。それから3分待っている間にニグニはメールを打ち終わった。

「送信!とう!」

 そんな気合の入ったメール送信を終えると、ニグニは顔を上げて人間とラーメンを見た。

「ラーメンありがとう!それで、なんか気になることがあるんだよね?」

「そうそう。何か仕事をしにこっちへ来たんだよね?何の仕事?」

 人間がそう聞くと、ニグニは待っていましたと言わんばかりに胸を張った。

「驚かないでよ?ボクは人間星の平和のために王より下される任務を遂行するエージェント!その名も『ウチュージェント』の一人なのだ!」

「そんなわけないでしょ。」

「えーっ」

 ニグニの発言はあまりに突飛だったので、人間は思わず否定してしまった。戦争をけしかけてきたという宇宙人が人間星を守るというのもおかしいと思った。本当はもっと別の目的があるに決まっている。ラーメンをすすっているニグニに人間は聞き返した。

「ホントは別の目的があるんでしょ?」

「な、ないよお。なにか理由があってそんなに疑ってるの?」

 ニグニは首をかしげた。人間は星間戦争のことを話そうとしたが、危機を救ってくれた人にそんな話をするのは失礼かと思い、少し発言に悩んでから話を続けた。

「いや、エージェントとか映画の中の話みたいでつい。」

「あー、人間星だとそんな感じなんだね。メテモン星では人間星で王からの任務なんて冒険みたいだってみんなの憧れの的なんだよ。」

「ふーん……」

 このようなことはきっと誰が聞いても胡散臭いと感じるだろう。しかし、これ以上ニグニを問い詰めても、本当かどうかを確かめることはできなさそうだ。人間は諦めて話を切り上げることにした。

「まあとにかく、早いうちに住むところ探してね。」

「分かってるって。」

 そのあと、二人はラーメンを食べ終わると一日の終わりに備え、人間は寝室で、ニグニは居間に座布団を敷いて眠ったのだった。夜が明けるまで、人間は宇宙人の言うことを信用していなかった。


 そうして今日も日が昇った。一晩眠ってみると、人間は昨日の出来事は夢だったのではないかと感じ、ベッドから起きるとまず居間の様子を見に行った。そこにはやはりピンク色のメテモンがいた。そいつは仰向けになって爆睡していた。昨日の出来事が嘘ではなかったことが分かると同時に、こいつが昨日の白いドラゴンと同じメテモンであるとは思いがたく感じた。

 そんなことを考えていると、テーブルの上に置かれた携帯電話が鳴り始めた。人間はこんなところに携帯電話は置いていない。きっとニグニのものだろう。画面には発信してきた相手の名前が表示されている。「綾小路太郎」?どこかで聞いたことがある気がした。とにかく自分が出るわけにも行かないので、ニグニを起こすことにした。

「電話だよ。起きろー。」

「うーん……今起きようと思ってたのに……ぐずぐず」

「綾小路太郎さんだってさ。」

「はっ!」

 ニグニは発信者の名前を聞くと慌てて飛び起き、携帯電話を見つけると急いで電話に出た。

「もしもし!ウチュージェントのニグニです!……はい!そうです!え?テレビ電話に?了解です!」

 彼はそう言うと携帯電話を人間にも見えるようテーブルに置き、電話をテレビ電話モードに切り替えた。発信者の姿が画面に映し出される。人間は驚いた。発信者はスーツに緑色のネクタイ姿、そして角切り頭に王冠をかぶっている。人間はその姿を知っている。

「お、王!?」

「はあーい」

挿絵(By みてみん)

 画面の向こうで人間に手を振っているのは、かなの国の政治を担う王だった。王は明るい口調で話し始めた。

「君がニグニくんの保護者の人間くんだね?ニグニくんの報告で聞いているよ。」

「ま、待ってください!なんで王がニグニに電話なんて……!?」

「ん?ニグニくんに聞いてなかった?彼の仕事……ウチュージェントとしての雇い主が僕なんだけど」

 ウチュージェント!まさか王の口から直接聞くことになろうとは思わなかった。ということは、昨夜ニグニが言っていたことは本当だったというのだろうか。ニグニのほうを見やると、そいつは自慢気に胸を張っていた。人間が画面に向き直ると、王は話を続けた。

「ニグニくんの報告メールによると、昨日は暴れるメテモンに襲われた人間くんを彼が助けてあげて、そのお礼に人間くんの家に泊まらせてもらってるんだよね?」

 まさか、昨日ニグニが打っていたメールは王への報告書だったのか。

「ニグニくん、昨日こっちに来たばかりで仕事でもないのに人間を助けてくれて偉いね。できれば捕獲してほしかったけど、ひとまずその件はこちらでなんとかするよ。」

「はい!よろしくお願いします!」ニグニは元気よく答えた。

王は続ける。「それから、住むところを確保し忘れたうっかりなニグニくんには、こちらで安そうなアパートを探しておくので、人間くん、しばらくニグニくんを居候させてあげられないかな?」

「ていうか、その人間くんって呼び方曖昧すぎませんか?」人間は返した。

「まあまあいいじゃん。ニグニくんの報告には人間としか書かれていなかったのでね。」

 確かに、昨日ニグニは人間の名前を聞かないままだったから、報告メールにも人間とだけ書かれていたのだろう。報告メールに書くなら名前を聞いてくれてもよかったのに……。

「えーとですね、私の名前は

「で、どう?ニグニくんを住まわせてくれるかな?」

 またしても人間の自己紹介は遮られてしまった。名前ってそんなにどうでもいい要素だったかしら。人間は諦めて、王の頼みについて考えることにした。

 ニグニを居候させて欲しいと言われて、人間はメテモンに対する不信感と、メテモンがどういった性質の者たちなのか気になる気持ちとを戦わせることになった。人間は昨日のテレビのニュース番組を思い出した。自分は王のことは信頼しているが、メテモンに対する国民の感情について王はどう思っているのだろう。人間は尋ねてみた。

「この国の人類にはメテモンのことを信用していない人も多いですが、王はどう思っていますか?」

 すると、王は口調をはきはきとした感じから落ち着いた感じに変え、人間に答えた。

「そうだね。かつての星間戦争の言い伝えから人間たちはメテモンに対して不安を感じている。でも、メテモンの多くは人間にとっても面白い、いい人たちだよ。僕はメテモンたちを信じているから、彼にこの仕事を頼んでいるんだ。」

 王の声は自信に満ち溢れており、もともと王を信頼している人類にはこの言葉を疑うことはできなかった。メテモンたちが本当に信頼できる者たちであるか、王がだまされているかのどちらかだろうと人間は思った。そして王は重ねて頼んできた。

「僕に免じて彼を助けてくれないかな。うちの部下たちも結構忙しいから住むところを手配するのに時間がかかるのです。頼みます。」

 王の口調も急に丁寧になり、王がメテモンを信頼している様子が伝わってきて、人間は気持ちを揺さぶられる。メテモンのことを知りたい気持ちも後押しして、少なくともニグニのことは信用してもいいんじゃないだろうかと思えた人間は要求に応えることにした。

「分かりましたよ。必要な資金は援助してくれるのでしょうね?」

「もちろん!ありがとう人間くん!」

「イエーイ人間くんばんざい!」ニグニも喜んだ。

「だから僕の名前は

「それで、ここからが本題なんだけど」

「はい。」

 二人はまたしても自己紹介をスルーした。せっかく助けてあげるのだから名前くらい聞いてくれてもいいのでは?


 王は画面の向こう側でパソコンを開いた。パソコンの画面をニグニたちに向けると、そこには町の中の空き地の写真が映し出されていた。

「ニグニくんに初仕事を頼むことにしたんだ。」

「マジで!?イエエエエエエエア!」ニグニは嬉しそうに叫んだ。会った時から思っていたが、だいぶ調子のいいメテモンだな、と人間は考えていた。まあ落ち着いて、と王は彼をしずめて、仕事の内容について彼らに伝えた。

「ニグニくんには、最近発見された遺跡の調査をお願いしたいんだ。」

初回投稿ということで2話分を一気に公開しました。今後の更新はのんびり不定期になっていくと思いますが、どうぞよろしくお願いしますね。

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