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平凡希望しかし現実苦し  作者: 澤木弘志
第一章 優しき愚者 ~朱ノ篇~
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捜索

遅れましたけど復活です。

待たせてしまった方申し訳ないです。

「スウェン!!」


ソルは失踪したスウェンを探した。

深夜何気なしに除いたスウェンの部屋は蛻のからだった。寝具も丁寧に折りたたまれており、自分の意思で家を飛び出したのが分かる。


おそらくスウェンは独りで同胞を助けようとバ―レシア王国に向かったのだろう。


(無茶だ!一人で国と対峙するっていうのか?そんなの嬲り殺されて終わりだ)


ソルは焦った。

早くスウェンを見つけなければと闇雲に森の中を突き進む。

整備されていない獣道を縫って進むのには骨が折れる。滅多に森の奥へと進むこともないため動きにくいし、自分の創った森のはずなのに土地勘もない。

それはスウェンにも言えることだが痩せた森でも森に生きていた経験はあちらの方が上だ。ソルの森の中で過ごしているのはこの世界に来てからで、元の世界では快適な都会生活しかおくってこなかった。


森を探検したのもスウェンを見つけたあの時だけで森の中を歩くのはともかく走り抜ける芸当などソルにはできなかった。



深夜の帳の中を突き進む。

今自分がどこに進んでいるのかも分かりずらい状況下で心境も徐々に悪化してゆくのが分かる。

焦りと不安。

なぜそこまでスウェンという獣人に拘るのかソル自身分からない。

初めて接触した異世界人だからか。

自分が保護したが故の義務感からなのか。

おそらくその両方だろう。だけれどもそれ以外にも何かあるようでならない。

ソル自身も分からない感情で突き動かされた行動にソルは戸惑いと妙な使命感を抱いていた。


灯華を入れたランタンを右手に持って道なき道を行く。

どこかにスウェンの通った跡でも見つかれば探す手掛かりになりそうなのに未だ見つからない。

スウェンがどの道を辿ったのか広すぎる森で捜索するには不利すぎる。手掛かりというのも“おそらくバーレシア王国に向かっただろう”という確証もないもの。

しかしそれ以外の捜索の手がかりもないく、バーレシア王国がある方角へと足を進めるほかなかった。



スウェンが元々持っていた小型のナイフ以外で部屋のランタンとリビングに置いてあった予備の薬が数種類が無かった。

おそらくスウェンが持ち出したのだ推測できるがはっきり言ってそれだけの装備で国を相手取るなど自殺行為以外の何物でもない。

特攻でも仕掛けるとでもいうのか。そんな事をしてもバーレシア王国にとって蟻をつぶすようなものでしか感じないだろう。同族の解放どころか余計に奴隷狩りが厳しくなるのではないか。


ソルは焦りの中でスウェンを案じながらも無茶な行動に出たスウェンに憤りを感じた。



家を出てから六時間ほど経った。

バーレシア王国に出る森の西側の入り口まで約半分といったところだろうか、スウェンを見つけた地点まであともう少しだ。

夜も明けだし空は次第に明るみを帯びている。

悪路ながら一気に此処まで駆けだしたソルはすでに疲労困憊。以前よりも早く到着できたことに自分自身を褒める。

しかし目的のスウェンは見つけられていない。



ようやくスウェンの手がかりが見つかったのはそこから三十分ほど進んだ小川での事だった。

小川の傍らに経つ周りの木より幾分か太い幹を持った木の根元付近に獣がつけたとは思えない奇妙な傷を発見したのだ。

矢印にまるく囲いをした形のものだ。何かの記号だろうか?

獣がつけたものとは違うため必然的にスウェンがつけたものだとソルは思った。

この森に入っている自分以外の“人”はスウェン以外いない。感知しづらいがまだ森の中にいるスウェンが目印代わりにつけたものだろう。

拠点地よりも離れた森では感知の精度もたかが知れている。

森に入った時点で感知を使えばよかったのだが動揺したソルがそれに気付いたのは精度が著しく低くなった地点に来てからだった。


この印をつけたということはこの道をスウェンが通ったということになる。

まだ森にスウェンがいるのならまだ間にあるはずだ。




ソルは疲労困憊でフラフラになる体に鞭打って森を進んでゆく






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