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あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いします。
食事を食べ終え一心地していた。
ソルは静かに食後の茶をすすり、スウェンは久しぶりにとれた満足な食事と安息感でうつらうつらと眠気がやってくるのを感じていた。
ソルはその様子のスウェンを見て提案する。
「少し横になるか?」
「え?で、でも…」
「眠そうだぞ?」
スウェンは恥ずかしげに顔を背けてしまうが、本当の事なので反論することが出来ない。
ソルはスウェンを立たせて二階へと向かう。
二階の階段から見て右側の部屋をスウェンを押し込む。
「ここがとりあえずお前の部屋だ。最低限の家具なんかはあるが何か必要なら言ってくれ」
「…!?」
スウェンは突然の事に動揺する。まさかこんな立派な部屋が与えられるとは思わなかったのだ。
部屋を呆然と見渡すと彼が知っている家具よりも上等で精巧な作りのものばかりが置かれている。ベットには清潔なシーツが被せられ、カーペットも真新しい。
開けられた窓によって風が入り込み真白いカーテンが揺ら揺らと靡いている。換気が行き届いているのかからっとしたさわやかな部屋だ。
本来は片手間程度に作り上げた部屋で家具やシーツ、カーペットなんか僅か数分足らずで出来上がったものだ。すごいのはソルというよりも能力で作り上げた材料を生む木そのものだろう。
そのためソルがこの部屋をスウェンに与えたとしても何の違和感もなく、むしろ簡単に出来たもので不都合が出来る前提なのだ。
スウェンは勘違いして破格の待遇だと思っている。それはスウェンの以前の生活が困窮だったのも仕方ないのかもしれないが両者の間ではますます価値観の溝が深まってゆく。
めちゃくちゃに感謝の言葉を言われ若干疲弊気味に去るソル。
ドアを閉めた奥から泣き声が聞こえてきてちょっと引いた。
階段を上りながら今後の事について考えていく。
ひとまず新たな住人が増えた。コレは喜ばしいことだ。長い間一人だったせいで人見知りが強くなっていたことによる弊害の口下手も改善されることを祈る。
本人は気が付いていないが身体が男になっていると自然と口調や態度も男らしくなっているらしい。命令口調なのは能力と一緒にキャラクターの性格も多少入ってきているからだろう。
依然一人称が“私”なのは女性時代の事も含まれるがキャラクターの一人称が元々“私”だったため違和感はさほどなかった。
三階に付くと書斎室兼書庫(以降書斎)へと入る。
流し読み程度しか見ていなかった世界情勢の書籍を見るためだった。
この本は全書籍の中でも分厚い本の数冊で、内容も見るからにほぼ毎日といっていいくらい情報の変更、最新が行われる目まぐるしい程の膨大な情報量である。
もちろんそんな膨大な内容を一冊ごときで補えるわけもなく数十冊ほどに分割されている。
その中の一冊を手に取る。
国ごとに文化や情勢が書かれたものだ。
もくじからスウェンの母国『バーレシア王国』を探し、該当ページを開く。
『バーレシア王国』
――中央大陸の中央よりやや北東に位置するヴァーリア公国とイノン国に挟まれた内陸国。
三方を険しい山脈で囲まれ、国内では鉱山が豊富で鉄鋼などの輸出物は全体の70%を占める。
首都はシード。現国王はシャルル・ノード・バーレシア。王妃及び側室28名の妻を持ち、王子、王女は現在22名に上る。
現王が高齢で皇太子レディナスは病弱なため第二王子であるオーエン含めた以下上位継承者は後継者争いを水面下で続けており政策の一部及び勢力拡大の駒として奴隷狩りが盛んに行われている。
山森で囲まれた国土であるため異種族の住む集落が近い。
人間至上主義を掲げており異種族間での抗争が絶えない…――
…最初の数行だけで心折られそうだ。
スウェンの言った通り人間至上主義だって書かれている。しかも政策で奴隷狩りって…
ソルは文字通り頭を抱えた。
厄介なことにならなければいいが…
緩やかにソルの日常は変化してゆく。
静かにそして確実にソルを巻き込む渦が泡立ち始めていた。
3/5 子供の数及び第二王子の名前変更




