表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡希望しかし現実苦し  作者: 澤木弘志
第一章 優しき愚者 ~朱ノ篇~
18/56

治療

人、と云っても顔の輪郭がうっすらと見えただけだった。

他の部分は赤黒く汚れどこか歪な凹凸を纏っているようで形がはっきりと分からない。

辛うじて胴体部分の脹らみで呼吸しているのが確認できた。

どうやら死んではいないらしい。

少年はどうしたものかと途方にくれながらもその人(仮)の傍から離れずにいる。行き倒れている人を見捨てることはどうしてもできなかった。

かといってヘタに触ることも出来ずおろおろと辺りを見渡していた。


もちろんそこに助けを求める相手などある筈がなく浅い息を繰り返している瀕死の者を救えるのは少年以外いなかった。



身体の状態を知らなければ治療も出来ない。

少年は意を決して人(仮)に触れる。

べっとりとした赤黒い粘膜を脇差にかけていた手ぬぐいで拭いながら綺麗にしてゆく。ある程度汚れが落ちると抱え込んで近くにある水場へと移動した。


溜まり池に一緒に入り込んで大雑把に汚れを落としてゆく。

水が黒く淀んでくるほど汚れはひどかった。

水から引き上げるとほとんどの汚れが落ち漸く姿がはっきり分かった。


砂色の髪をした、少年と同い年か二、三歳年下ぐらいのあどけない容貌の少年だった。

少年の知る人間と大差ないものだったが決定的に違っていたのは耳だった。

彼の耳は鳥の羽根のような羽毛で出来ていたのだ。

コレは獣人だと本の知識から探り当てる。

ただ何の獣人かは分からなかった。

兎に角容体を見なければ。


傷が深ければ今持っている薬で間に合わない可能性がある。そうなれば少年にはどうすることも出来ない。



最も血が出ているであろう背中を見るためうつ伏せにして、最早服の原型を留めない汚れた布片を取り傷を見て呆然とする。

彼の傷は右肩から背中を通して左脇腹まで届く程の深い切り傷だった。

出血も多く、傷をおってから時間を経っているためか化膿して骨まで覗く場所まであった。

幸い内臓が外に出ていることはなかったが重症であることには変わりない。

持ち合わせの薬がどこまで効くのか…


少年自体深い傷を負ったことが無いため正直薬の効果がはっきり分からないでいた。

万病に効く黒い薬をこの場に持っていないことが得にいたかった。

今持ち合わせているのは赤と黄色の薬。薬草を煎じて液体状にしたものだった。

軟膏もあったが少量で今は使えそうにない。

兎に角傷口をふさがないことにはどうしようもない。

今持っている量で足りることを祈った。



外傷を治癒する黄色い薬は幾分か体力を使う。よって最初に体力回復の赤い薬を飲ませる。

幾分か口から零れてはいたが飲み込んだのを見て黄色の薬を傷口に直接かける。

するとみるみる傷口がふさがり始め、念入りにかけた御蔭か骨まで見えていた深い部分のところもどうにか血肉が再生されたようだ。

ただ量が少なかったのかその他の部分は完全に塞がっているわけではないようで薄皮がはっている状態だ。

服の端を切って包帯代わりにする。


なんとか治療できたようだ。これ以上薬を使わなくても二、三日安静にしていれば傷口も完全に塞がるだろう。体力も傷の再生で体力を使ったが瀕死と云う訳でもないしコレで大丈夫だ。

薬は全部使い果たしてしまったがなんとか間に合ってほっとした。

少年は一息吐いて力が抜ける。

ずいぶん緊張していたようでその場に座り込んでしまった。

倒れこんでいる少年の方もまだ意識は無いがさっきより穏やかな顔をしている。



治療は済んだがこの少年をどうしたらいいだろう?

少年の傷は切り傷だ。誰かに襲われない限り背中に傷を負うこともないことから何かしらの騒動に巻き込まれて負ったものと推測できる。

このまま森の奥にある自宅まで運ぶべきか迷っている。



少年はまだ眠り続ける少年の横顔を眺め深いため息を吐いた。






未だ主人公の名前が出てないことに気付いた( ̄△ ̄;)

次話ぐらいで出せたらいいなぁ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ