第585話「溶けた氷と、封印されしカビ病魔の狂宴」
教皇ゼノが倒れ、氷が溶けたことでノース・ヴェイルの港町に突如として巻き起こる「予期せぬ超変幻展開」。バトルの形式も、キャラクターたちの掛け合いも、今までとは全く異なる「予測不能のサスペンス&コメディ混じりのパニック」へと突入します。
――教皇ゼノは倒れた。
数百年の凍結から解き放たれ、ノース・ヴェイルの港町にはあたたかな春の陽光が降り注ぎ、誰もが「これでハッピーエンドだ」と信疑の余地なく歓喜に沸いていた。
……そう、ほんの「数分間」だけは。
「――おい相棒……。なんか……臭わねぇか?」
大聖堂から港町へ戻ってきた往診チームの足が、ぴたりと止まった。
鼻をひくひくさせているのは、いつも冷静な隠密・哭である。彼の手には、いつもの格好いい短剣ではなく、なぜか道端で拾った「竹ボウキ」が握られていた。
「臭う……って、哭さん。春が来て雪が溶けたんだから、土の匂いなんじゃ……」
ネネが言いかけた瞬間――。
ドゴォォォォォォォンッ!!!!!
「ギャァァァァァァァッ!? 助けてくれぇぇぇッ! 氷の下から『緑色のモヤモヤしたバケモノ』が湧き出してきたぞぉぉぉッ!?」
町の中央広場から、解凍されたばかりの住民たちが悲鳴を上げて逃げ惑ってきた。
彼らの全身には、なぜか鮮やかな「緑色と紫色の斑点」がびっしりと浮かび上がり、鼻水とくしゃみを激しく連発しながら、まるでゾンビのようにダンスを踊り狂っているではないか!
「な、なんだぁぁぁッ!? 邪悪な氷の騎士でもなけりゃ、教皇の残党でもねぇぞ!?」
ガストンが戦斧を構えるが、相手は目に見える敵ではない。
町中に充満していたのは、数百年もの間、厚い氷床の下に封印され、春の暖かさと湿気によって**一気に爆発的繁殖を起こした「古代の極悪カビ胞子(湿熱の邪気)」の雲海であった!
ポコッ……ポコポコポコッ!!
「ヒハハハハハハハッ! 自由だ! 数百年ぶりのぬくもりだぁぁぁッ! 湿気サイコー! 暖気サイコーッ!」
カビ胞子が凝縮し、まるで意思を持った「陽気なプルプルした緑のキノコ人間(湿熱病魔・ポコ)」へと形を変え、町中のパンや魚、そして住人の服に飛び移っては超スピードで腐敗させていく!
「『寒邪』の次は……まさかの『湿熱の急激な爆発』ですか……ッ!?」
枢もこれには思わず白銀の帽子をのけぞらせ、目を見開いた。
そう、これまでの「寒気で冷えて体が動かなくなる」という静かな病理とは打たない変わって、今回は「暖かくなった途端に湿気と熱が腐敗を引き起こし、痒みとくしゃみとカビ菌が町中を襲う」**という、完全なカビパニック・コメディホラーへと変貌を遂げたのだ!
「 clinical に見て、おい相棒! いつもの『ツボに針を打つ』なんて悠長なこと言ってる場合じゃねえぞ! あいつら、針で刺したら破裂して胞子をまき散らしやがるッ!」
哭が竹ボウキを振り回して胞子を払おうとするが、胞子は空中を舞って哭の鼻孔へダイレクトアタック!
「ハックショイッ!! ……く、くそっ、鼻水が止まらねぇ……ッ! 目が痒ぇぇぇッ!」
あのクールな哭が、目を真っ赤にしてズビズビと鼻をすすり、派手にくしゃみを連発し始めた!
「わわわっ! 枢先生、お薬の調合釜にもカビが生えちゃいそうですぅぅっ!」
ハクとリナが悲鳴を上げ、ネネは「えいっ! えいっ!」とお玉で跳ね回るキノコ人間を叩こうとするが、プルンと弾き返されて顔面に緑の粉を被ってしまう。
「ふふふ……ハハハハハ! 刺してもダメ、斬っても胞子が舞う! どうだ東方の医者ども! 寒さが消えた後の『湿気の恐怖』を味わうが良いッ!」
キノコ人間ポコが調子に乗って踊り狂い、ガストンの股間へダイビング!
「うおっ!? 股間が……股間が猛烈に痒いぃぃぃぃッ!? 助けてくれ枢先生ぇぇぇッ!」
豪傑ガストンが、恥ずかしさのあまり股間を押さえてのたうち回る!
「全員、慌ててはいけません! 敵が『寒邪』から『湿熱』へシフトしたのなら、こちらの戦術も180度転換します!」
枢は冷静さを取り戻すと、往診鞄からいつもの「細い刺鍼用の針」ではなく、巨大な竹製のポンプと、特注の「生薬乾燥噴射砲」を取り出した!
「今回は針で刺す戦いではありません! 体内と空間の余分な『湿気』を吸い上げ、熱をサッと吹き散らす『利湿清熱』の大掃除戦です!」
「ハク、リナ! 湿気を強力に追い出し、お腹と皮膚のカビ菌を撃退する最高峰の利湿生薬――『白朮』『茯苓』『澤瀉』を『五苓散』の超乾燥ドライパウダーとして大噴射砲にセットしなさい!」
「り、了解です枢先生! カビ撃退・ドライバズーカ、充填完了ッ!!」
「哭さん、ガストンさん! 逃げ回るカビ菌たちを、町の中央の井戸(湿気の集積地)へ追い込んでください!」
「ハックショイ! 了解だ相棒ッ! 竹ボウキの威力を思い知りやがれッ!」
「股間の痒みに負けてたまるかぁぁぁッ!」
哭とガストンが、ドタバタとコミカルな大立ち回りでキノコ人間たちを井戸の広場へと追い詰め、ネネが特製デンプンノリで地面に足止めする!
「今です! 人体の『湿気抜きのメインスイッチ』――足の内側にある脾経の名穴『陰陵泉』へ、超高速の吸湿温灸パッチを貼付!」
シュパパパパッ!!
枢の手から飛ばされた温感パッチが、哭、ガストン、住民たちの足のツボ『陰陵泉』へ寸分違わず貼り付いた!
「――うおっ!? 足の裏からお腹の湿気が、掃除機で吸い上げられるみたいに抜けていくぅぅぅッ!?」
ガストンの股間の痒みと、哭の鼻水がピタリと止まる!
「仕上げです! ドライバズーカ、全弾発射ッ!!」
ドゴォォォォォォンッ!!
乾燥生薬パウダーの白煙が広場を包み込み、踊り狂っていたカビ病魔たちは「干からびるぅぅぅ〜!」と叫びながら、ただの美味しい乾燥キノコとなって転がり落ちたのだった!
◇
「ふぅ……なんとか静まりましたね」
白煙が晴れた広場で、枢が汗を拭う。
町は救われた……が、住民たちの手には、なぜか宝の地図のような古文書が握られていた。
「す、枢先生……! カビの胞子が消えた地面から、教皇ゼノすら知らなかった『ガルフレイド地下の真の迷宮』への扉が現れました……!」
ガイルが扉を指さす。そこには、まだ見ぬ未知の病魔と、さらなるカビと湿気の怪異が蠢く気配が漂っていた。
「…… clinical に見て、どうやら俺たちの『本当の往診』は、ここから始まりそうだな相棒」
哭がニヤリと不敵に笑う。
寒さを超えた先にある「湿気とカビと謎の地下迷宮」を舞台に、往診チームの全く新しいハチャメチャ救命バトルが、今幕を開けるのだった!
第585話をお読みいただき、ありがとうございました!
さて、今回は作中でガストンさんの痒みや哭の鼻水を劇的に解消した「湿熱(体内に溜まった湿気と余分な熱によるカビ・痒み・だるさ・重痛)」の病理に基づき、「梅雨時期や夏の湿気、またはお酒や甘いものの摂りすぎによって、体が重だるい、むくみがひどい、皮膚が痒い、お腹がタポタポして食欲がない時」に、体内の余分な水分と湿気をジャバジャバと体外へ排泄してくれる最高峰の利湿(水抜き)名穴をお届けします。
今回ご紹介するのは、足の内側(すねの骨のキワ)にある、体内の水分の巡りを劇的に整える名穴『陰陵泉』です。
場所は、足の内側にあり、すねの骨(脛骨)の内縁を足首から膝に向かって指でさすり上げていった時に、膝の下あたりで骨のカーブにぶつかって指が止まる凹みにあります。
東洋医学において『陰陵泉』は、水分の代謝を司る「脾経」の合水穴であり、体内に溜まった不要な「湿(不快な水分やむくみ)」をドカンと外へ追い出す最高峰の水抜きスイッチです。体内に湿気が溜まっている時、この『陰陵泉』を押すとズーンと強い痛みや重い響きを感じます。ここを適切に刺激することで、作中の枢先生が吸湿パッチを貼ったように、体内の水はけが一気に良くなり、重だるさや痒みがスーッと解消していきます。
ケアする場合は、親指の腹を『陰陵泉』の凹みに当て、骨のキワに向かってじわーっと5秒間押し込むのを左右5回ずつおこなってみてください。湿気に負けないスッキリと軽い身体を取り戻すことができますよ!
次なる第586話は、本日**7月30日(木曜日)の夜【21:00】**に更新を予定しております。
地下迷宮へ突入した往診チームを待つ、さらなる変幻自在のドタバタ展開とは!? ぜひご期待ください!




