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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第五章 : 神代再編・枢復活編】

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第471話「天井破りの野生児!新風の薬草師と三焦の爆辞」

酸・風・凍水の三重凶気で往診チームを分断せんとする、闇の医療ギルド最高幹部「三神医」。

絶体絶命の包囲網の中、枢先生は三本の銀鍼を手に、時空をも置き去りにする神速の跳躍を敢行します。

しかし、その激突の瞬間、深層回廊の天井を派手に突き破り、戦場へ強烈な風と共に乱入してきた「謎の影」が一つ――!


「おやおや……これはまた、非常に賑やかで型破りな『飛び込み患者』の到来ですね。ハクさん、彼女の持つ特殊な薬草の波動、そちらの調合眼にはどう映りますか? ――ふふ、闇の三神医の皆さん、どうやら『地獄のトリアージ』を邪魔されたのは、我々だけではないようですよ!」


21時、日曜夜の更新。最終決戦大長編「ギルド本部総力決戦編」、予測不能の第471話!

一日の終わりを迎える夜のひとときに、大迫力の新キャラクターが電撃参入! 聖鍼と新薬、そして未知の野生の医術が交錯する、新たな伝説の幕が上がります!

 三神医が放った酸・風・凍水の三重の絶望が、ハクの放った白銀の吸引波動によって、回廊の中央で巨大な「毒素の核」へと無理やり凝縮されていく。

 そこへ向かって、枢の持つ三本の銀鍼が、黄金の陽気を纏って神速の軌跡を描きながら突き刺さろうとした――まさにその刹那だった。


 バリィィィィン!!!


 凄まじい破壊音とともに、赤黒い深層回廊の天井が、文字通り木っ端微塵に爆砕した。

 降り注ぐ破片と、もうもうと立ち込める野生の土の香りが混ざった緑の煙。その中から、ドサリと派手な着地音を立てて現れたのは、これまでのギルドの洗練された近代兵器とは対極に位置する、どこか primitive な、しかし圧倒的な生命力を放つ一人の少女だった。


「げほっ、ごほっ! ……あいたたた、また高度の計算を間違えたかー!? ……って、うわあ! 何このドス黒い空気! 最悪に気の巡りが悪いじゃん!」


 ボサボサの栗色の髪を跳ね上げ、巨大な、それこそ自身の背丈ほどもある「木製の巨大なすり鉢」を背負った少女が、鼻をつまみながら周囲を見回す。

 その腰には、地上でも滅多に見られない、大自然の超希少な霊草がぎっしりと詰まった、今にもはち切れそうな薬草袋が揺れていた。


「な、何だ、あの小娘は……!? 天空総本部の最高防壁を物理的に突き破って乱入してきたというのか!?」

 『暴食の疫病』を操る巨漢の神医が、あまりの想定外の事態に毒霧を吐き出すのを忘れて呆然と叫ぶ。


「おやおや、実に型破りな飛び込み患者ですね。……いや、その腰の袋を見るに、同業者・・ですか」

 空中での跳躍から、猫のように軽やかにハクの隣へと着地した枢が、白銀の瞳を瞬かせてその少女を見つめた。


「えっ? 同業者……? あ、あんた、もしかして噂の『聖鍼師』!? ちょうどよかった! ウチの名前はネネ! 地上の『ルミナリア大樹海』って秘境の出身で、世界中の大自然の霊草を研究してる『野生の薬草師』だよ! ギルドのバカどもが世界の薬草の流通を独占して利権で囲い込んじゃったから、直接殴り込みに来たんだ!」


 ネネと名乗った少女は、人懐っこい八重歯を見せてニカッと笑うと、背負っていた巨大なすり鉢を床へドスンと叩きつけた。


「ハッ、面白い! 地上の野生児が、利権の総本山へ直訴しに来たわけか! 枢、あの娘の薬草……ただの草じゃないぞ。ギルドのナノ毒素を外側から中和するどころか、分子構造そのものを『肥料』に変える、とんでもない野生の生命力が宿っている!」

 ハクが調合眼の片眼鏡をキラリと光らせ、ネネの薬草袋から放たれる緑のオーラを見抜いて不敵に笑う。


「ク、クク……! どこの馬の骨か知らぬが、三人同時に我らの『三焦の結界』に踏み込んだのだ、まとめて消し飛ぶがいいわ!」

 上空の女神医が機械の翼を羽ばたかせ、肺を癒着させる『絶息の風』の出力を限界まで高めてネネへと照射した。


「うわっ、息が詰まる! だったらこれだ! ウチの特製『百草活気散ひゃくそうかっきさん』を受け取りなー!」

 ネネが巨大なすり鉢から、凄まじい速度でエメラルドグリーンに輝く薬草の粉末を両手で掴み、大気へと豪快にぶちまけた!

 その粉末が、ハクの先ほどの中和波動と空中で完璧に融合し、絶息の風を青々とした大自然の涼風へと一瞬で上書きしていく。


「今です、ハクさん、ネネさん! お二人の最高峰の『薬』の力が、三焦の邪気じゃきを完全に一箇所へと縛り付けました。――私の鍼で、そのすべての暴走を根底から解体(瀉法)します!」


 枢の身体から、回廊全体を黄金に染め上げるほどの、圧倒的な「陽気」の爆発が起こった。

 彼は両指に挟んだ三本の銀鍼を構え、三神医の放つ酸、風、凍水のエネルギーが最も濃密に交差する、空間の「三焦の交差点」へと、電光石火の速度で突進した。


 シュシュシュッ!!!


 空間を切り裂く三本の閃光。

 枢の放った銀鍼は、三神医それぞれの足元、そして頭上の魔導回路の、エネルギーの配給源である最大の要穴へと、完璧な深度で同時に刺入された。


「三焦経の原穴――陽池ようち、そして全身の水分を統括する水分穴すいぶんけつを同時に穿ちます! これによって、あなたがたが無理やり弄んでいた上・中・下、すべての歪んだ水分代謝とエネルギーの通り道を、大自然の正常な循環へと強制還流アースさせます!」


 ドゴォォォン!!! という、結界そのものが悲鳴を上げるような大爆発が回廊に響き渡った。


「ぎゃああああっ!? わ、我が中焦の酸が……、私自身の肉体を潤すただの健やかな胃液に戻っていく……!?」

「上焦の風が……! 肺が、まるでお日様の光を吸い込んだみたいに、暖かくて……動けない……!」

「下焦の凍水が……融ける……。これが、本物の陽気の温もりというのか……!」


 枢の一刺し、そしてハクとネネの薬学の融合によって、三神医が誇った三重の凶気は、内側から完全に解体された。

 巨漢も、女神医も、老人の神医も、すべての禁忌の術式を失い、一人の無力な患者として、白亜の床へとバタバタと倒れ込み、穏やかな眠りへと落ちていったのだった。


「ふぅ……。お見事でした、ネネさん。あなたの野生の薬草の力がなければ、三焦の熱量をこれほど綺麗に中和しきることはできませんでしたよ」

 枢は銀鍼を鮮やかに往診鞄へ収め、新しく加わった頼もしい「飛び込みの相棒」へと、優雅に微笑みかけた。


「へへっ、ウチの薬草をそこまで使いこなすなんて、やっぱりあんた、ただの聖鍼師じゃないね! ハクの兄ちゃんの中和理論も最高だったし、これならギルドのトップの鼻を明かすのも夢じゃないじゃん!」

 ネネがハクの肩をバンバンと叩き、ハクは「痛てっ、おい、野生児、少しは手加減しろ」と呆れつつも、その口元には、かつてないほど戦いを楽しむ不敵な笑みが浮かんでいた。


 一気に三人の四神医を撃破し、新たな仲間・ネネを迎えて、往診チームの戦力はこれまでにないほど最高潮に達した。


 しかし、彼らが勝利の拳を合わせたその瞬間、深層回廊の最奥から、パチ……パチ……パチ……と、一人分の、しかしこれまでの幹部全員を足しても遠く及ばない、絶対的な「絶望の支配者」の拍手の音が、冷酷に響き渡った。


 ゆっくりと闇の向こうから歩み出てくる、白い白衣を纏った、ギルドの最高権力者――最高総帥。

 その背後には、全人類の全病院の、すべての患者の命のバイタルデータが、リアルタイムで激しく明滅する巨大な壁面モニターが鎮座していた。


「実に見事だ、聖鍼師・枢。そして裏切り者の薬師・ハク、野生のネネ。……だが、四神医をすべて倒したところで、世界の医療利権という名の『究極の病巣』は、すでに全人類の肉体の深部へと転移を完了しているのだよ」


 最高総帥の不気味な笑みとともに、モニターのバイタルデータが一斉に、ドス黒い赤色へと変色を始める。


 ついに姿を現した、世界を支配せし闇の巨悪の頂点。

 全人類の命を人質に取った最高総帥の「最終計画ラスト・パンデミック」を前に、枢先生とハクさん、 そしてネネの三人のプロフェッショナルによる、人類の未来を懸けた本当の最後の往診劇、究極の最終決戦の幕が、今、完全なるクライマックスへと突入していくのである。

 第471話「天井破りの野生児!新風の薬草師と三焦の爆辞」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


 三神医の完璧なる分断結界を、天井からド派手に突き破って乱入してきた新キャラクター・野生の薬草師「ネネ」の圧倒的な生命力、そして彼女の独自の霊草とハクさんの新薬、そして聖鍼師・枢先生の「陽池ようち」を起点とする三焦の完全解体連携という、大迫力の共闘描写お楽しみいただけましたでしょうか!


 近代科学の利権に縛られず、ただ純粋に大自然の命の力を信じるネネという新たな風が加わったことで、往診チームの絆と戦術がさらにドラマチックに限界突破していく姿には、日曜の夜のひとときに読んでいて本当に胸が躍りましたね。


 今回は、枢先生が三神医の複合結界を内側から完全に融解・排泄するために用いた、手首の非常に高名な経穴、陽池ようちの効能について解説させていただきます。


 東洋医学において「陽池」は、手の少陽三焦経しょうようさんしょうけいの原穴であり、文字通り「体内のあらゆる陽気(生命の温熱エネルギー)が集まる池」とされる最大の要所です。


 前話で解説した、全身の水分とエネルギーのネットワークである「三焦」のスイッチを司るのがこの陽池であり、ここを完璧に穿つことで、上・中・下焦のすべての滞りを一瞬で貫通させ、冷えきった五臓六腑を温め、異常な水分代謝(浮腫みや毒素の停滞)を爆発的に正常化させることができます。


 現代における極度の冷え性の改善、手の過度の痺れや疲労、自律神経の乱れによるホルモンバランスの不調解消などにも極めて劇的な効果を発揮するこの素晴らしい名穴を、要塞規模の三焦結界のリセットへと応用してみせる枢先生の職人としての視座の高さには、深く感動させられましたね。


 見事に四神医のすべてを「治療」し、ネネという心強い仲間と共に最高総帥の目の前へと到達した往診チームですが、そんな彼らの前に現れたのは、全世界の患者の命を人質に取る最高総帥の最終計画という、これまた一日の終わりを迎える夜に相応しい息をもつかせぬ衝撃の最終決戦の引きとなりました。


次なる決戦の舞台は、総本部の最深部「中央命脈管理室」。世界全体の命の利権を握る最高総帥の禁忌の医術に対し、聖鍼師・枢先生とハクさん、ネネの最強トリオが、どのような「命の最終治療劇」を魅せるのでしょうか。


次回の第472話は、明日【12:00】に更新予定です。

平日の月曜お昼休みのひとときに、ついに開始される最高総帥との一騎打ちと、往診チームの新たなる伝説のフィナーレを、ぜひお楽しみに!

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