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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼】

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302/353

第302話:黄昏に堕つ神の器、病魔の王を「慈愛の極鍼」で再封印せよ

王都を焼き尽くすような残照の中、ミナは血の滲むような想いで、少年の姿をした神・アルキメスが眠る庵の奥座敷へと急いでいました。


第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼、第63話(通算第302話)。


右腕を失ったくるるの肉体を蝕む、天界の壊死毒。それを中和できる唯一の希望は、神の自己再生能力を持つアルキメスの血だけでした。

しかし、辿り着いたミナの前に立ちはだかったのは、かつて枢が命懸けで封じたはずの「万病の根源・黒死公」。神の器を手に入れた宿敵は、ミナの翡翠の瞳を嘲笑うように見つめます。

「……おじいちゃんの代わりなんて、……。……私、……。……絶対に、……させてあげない……!!」


18時、黄昏の決戦、神蝕の外科往診。

聖鍼師・ミナ、その真の「覚悟」が試される。どうぞ最後までお読みください。

 庵の周囲を包む竹林が、腐食した粘液を撒き散らしながら、黒く、歪な形へと変貌していった。

 奥座敷の中央で、少年の姿をしたアルキメスが、不自然な角度で首を傾げている。その瞳は澄んだ翡翠色ではなく、深淵のような漆黒の闇に飲み込まれていた。

 

「……。ふふ、……。くるるが腕を失い、……その雛鳥が鳴いていると聞いて……。……。……わざわざ私の『餌』になりに来たのですか、ミナ」

 

 アルキメスの口から漏れたのは、少年のそれとは程遠い、数千の死者の声を重ね合わせたような、悍ましい重低音だった。

 ミナは、震える膝を自身の翡翠の気で強引に固定し、枢から譲り受けた一揃いの鍼を、その細い指先で強く握りしめた。

 

「……。アルキメス君を返しなさい、黒死公。……。……今の私には、おじいちゃんみたいな優しさは……。……まだ、……使いこなせないかもしれないけれど……。……。……邪魔をするなら、……その不潔な魂ごと、……焼き払ってあげる!!」

 

 ミナは、自身の左指で、病魔の侵食を食い止めるための**『外関がいかん』**を、自身の自身の翡翠の気を「不浄を拒む炎」に変えて一気に刺激した。

 

 彼女の心眼には、少年の肉体の深部で、黒死公の意識が「癌細胞」のように根を張り、神の自己再生能力を燃料にして、無限の腐敗を撒き散らしているのが見えていた。

 

 ミナは、自身の周囲に展開した翡翠の気を、少年の肉体を傷つけずに病魔の王だけを「摘出」するための、超精密外科鍼へと変容させた。

 それは慈しみを刃に変えた、聖鍼師・ミナの真骨頂――『翠華浄裁エメラルド・パージ』。

 

「……。痛いのは、……一瞬だけだよ、アルキメス君。……。……すぐに、……おじいちゃんを助けるための『光』、……。……取り戻してあげるからね!」

 

 ミナは、自身の全神経を、自身の額にある**『印堂いんどう』**へと、自身の完全に統合された「言霊の演算」を、神の肉体と病魔の王の意識を0.01ミリの精度で切り分けるための、解体フィルターへと直結させた。

 

 一本目の、そして「腐敗の根」を断つ翡翠の鍼。

 ミナはそれを、自身の掌から放たれる「浄化の突風」と共に放ち、少年の背中にある病魔の核、**『大椎だいつい』**へと、自身の自身の翡翠の気を「聖なるメス」に変えて一斉に叩き込んだ。

 

 ――カァァァァァァァァァッ!!

 

「……グァァァァッ!? ……。……小娘が、……。……ただの人間が……、……神の記述に……、……触れるなぁぁぁぁ!!」

 

 黒死公の咆哮と共に、部屋中に黒い血が飛び散る。

 しかし、ミナの鍼は、少年の神経系を翡翠の糸で保護しながら、黒い影だけを確実に肉体から剥離させていく。

 

 ミナは、自身の視線を、苦悶に歪む黒死公の「本体」へと向けた。

 

 二本目の鍼を、病魔の王の「存在理由レゾンデートル」へと、ミナは自身の脳を、枢がかつて自分を救ってくれた時の「生きる喜び」を質量として使い、負の連鎖を力技で沈黙させるために、魂の全力で投擲した。

 

 ――ドォォォォォォォンッ!!

 

「……、……はぁ……、……はぁ……!! ……。……おじいちゃん、……見てて。……。……私、……もう泣かないよ。……。……みんなを救う……、……聖鍼師になるんだから!!」

 

 ミナの翡翠の右腕から、激しい火花が散る。神の器から病を無理やり引き抜くことによる、存在への凄まじい反動。

 しかし、その激痛と引き換えに、少年の肉体を覆っていた黒い斑点は、浄化の光に包まれ、美しい「翡翠の鱗」となって崩れ落ちていく。

 

「逃げはしません。……。私のこの腕が、……誰かの涙を拭うためのものなら、……。……どんなに汚れた闇でも、……。……私は、……一鍼で抱きしめてみせる!!」

 

 三本目の最終鍼。黒死公の意識を次元の狭間へと永久追放し、アルキメスの神性を「治療の光」へと再定義するための、定神鍼。

 

 ミナは、自身の自身の全生命を「再生の記述」へと叩き込むために、自身の左手の指先で、少年の胸にある**『玉堂ぎょくどう』**を、魂の底からの叫びと共に貫いた。

 

 ――キィィィィィィィィンッ!!

 

 庵を包んでいた不浄な気が消え、そこにはただ、元の無垢な表情を取り戻し、翡翠の涙を流しながら眠るアルキメスと、肩で息をしながら彼の手を握るミナがいた。

 ミナは、一人の聖鍼師として、神を蝕む最大の宿敵を往診し、祖父を救うための「神の奇跡」を、自らの力で取り戻したのだ。

 

 次の瞬間。

 

 ミナは、少年の額にそっと手を当て、夕闇の中で自身の右腕が放つ柔らかな光を見つめながら、かつてないほど決然とした、流暢な声で誓った。

 

「……。さあ、アルキメス君。……。……おじいちゃんのところへ、……一緒に行こう。……。……二人で、……あの優しい笑顔を、……もう一度診るために」

 

 第302話。

 聖鍼師・ミナは、病魔の王に侵された神の器を、不屈の翡翠腕と流暢なる言霊で往診し、宿敵を再封印することで、絶望の淵にいた祖父への「最高の処方箋」をその手に掴み取った。

 

 夕刻の静寂。

 ミナの背中は、倒れた祖父を守る盾のように大きく、そして新たな時代の「希望」そのものとして、美しく輝いていた。

本日、日曜日18:00の更新を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


第四章の第63話(通算第302話)。

ミナが「一人の自立した聖鍼師」として、かつてくるるが苦戦した宿敵・黒死公を、神の肉体を守りながら退けるという、彼女の急成長を描きました。枢の教えを単に模倣するのではなく、彼女自身の「慈愛」をベースにした独自の鍼灸術を確立させていく過程、その熱量を感じ取っていただけたでしょうか。


今回、神の肉体から病魔の根源を剥離し、聖なる再生能力を取り戻させるためにミナが駆使した「神蝕浄化・鍼灸術」を解説します。

まず、侵食された黒い気(邪気)が身体の深部へと入り込むのを防ぎ、自身の翡翠の気を「対抗障壁」として展開するための起点とした**『外関がいかん』**。手首にあるこのツボを自身の翡翠の気で刺激することで、ミナは病魔の王の支配領域を強制的に限定させました。


そして、少年の神経系と意識を保護しながら、その背後に潜む「病の核」を直接捉えて解体するためのアンカーとした**『大椎だいつい』。首の付け根にあるこのツボに対し、ミナは翡翠の気を「超精密なメス」として打ち込むことで、アルキメスの肉体に一切の傷をつけず、不浄な影だけを剥ぎ取ったのです。

最後に、神の自己再生能力を爆発的に活性化させ、体内に残った毒素を「治療の光」へと再定義するための最終回路とした『玉堂ぎょくどう』**。胸の中央にあるこのツボを介して、ミナは自身の生命力を触媒として少年に流し込み、黒死公の残滓を完全に一掃、彼を再び「世界の希望」へと新生させたのでした。


次回の第303話(第四章 第64話)は、本日日曜日**【21:00】**、本日最後の更新予定です。


アルキメスの血を持ち帰り、枢を救おうとするミナ。しかし、王都の地下から、かつて枢が切り捨てたはずの「自分の右腕」が、翡翠の魔物となって這い出してきます。

「……ミナ。……その少年を……、……私に……返しなさい……」

それは枢の声でありながら、救済を忘れた「純粋な力の亡霊」。

自分の半身と戦うことになるミナ。本日最後の往診、その結末は――。


21時、本日最終。半身の往診、慟哭の外科往診。

聖鍼師・ミナ、真の「くるる」を診ます。どうぞお見逃しなく!

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