そろそろ出陣する?やっぱり。
基本的に前の話からの続きです。ストーリーを理解したいなら全話読むことを強く推奨します。大丈夫。まだ完結しそうにないので。今なら30分あれば全部読めます。
…知ってるかな。神に睡眠はいらない。
神の僕である我に睡眠がいらないのもまた道理の中。
あの方は昨日、どこかへ行き、少し待っていて欲しいとおっしゃっていた。
我はその時まで、ここで待とうと思う。
知ってるかな。神は布団で寝る。
あいつらがけしかけてきたりして、ちょっと疲れた。
暇だから日記をあの頃のように始めてみたが、2日目でこうなるとは。
ただ、水面下で準備は進んでいる。
あいつらも決して気づくことはない。
人智を超越した存在、それが神なのだから。
どうやら他の神は相当暇らしい。
あの方を呼ぶためにわざわざ我に文を送るとは。
内容は確認した。その上で、捨てた。
あの方の方針に従いたい。あの方の側に居続けたい。
何より、我の名は斑だ。班と書くな。
やはり、下々の人間では神の力は使いこなせない。
息を吸うようにできることに感動し、容易く配下となる。
神の力は才能による部分が大きい。基本的には埋めようがない。
だからこそ、神は成立する。
力を持つものが上に行く。これが道理だ。
この世界は狂っている。
我もあの方もなぜあの巨大生物が現れているか知らない。
おそらく、神の出力に耐えきれていないのだろう。
それなら、全てに説明がつく。
頻度が上がっているのは、あの方の力が強まっているからだ。
あいつらの才能はやはり本物だ。
青いのがなんで力を得ているのかは知らないが、白いのにある力は異常だ。
経験があるとはいえ、ここまで使いこなせることはなかなかない。
独自能力も開花しているとなれば、すでに我と同次元に達していると言っても過言ではない。
あの方がここまでアプローチするのも頷ける。
1週間が経った。
相変わらずあの方とは連絡がつかない。
ただ、作った配下をここに送っている辺り、信頼はしてくださっているようだ。
我は僕の代表として、あの方の代わりに配下をまとめなければならない。
あの方の期待に応えることが、我の使命だ。
配下に苗字は与えられない。
というより、神の世界に苗字という文化はない。
基本的に名前だけで、その前に立場の名称がつく。
我にも『式神』という立場名がついている。
式神 斑、我の名前だ。
神の世界は完全実力主義だ。
理論上は下剋上も起こり得る。
最も、そんなことは起こり得ないだろう。
配下の才能は致命的にない。
我もあの方には決して及ばない。
あいつらがここに来ればどうなるのか。
緑のやつは上で管理するべきだ。
青いやつは我々の管轄ではないだろう。
白いやつは危険因子となり得る。
今度こそ、逃しはしない。
白いやつはあの方の直接管理が妥当だろう。
あの方は相当あいつが気になっている。
実際、昔はもっと出力が出たらしい。
ただ、それに体がついてこなかったそうだ。
そんなこと、我でも起こっていない。
あいつは一度死んだ。
死んで地獄の底へ落ちた。
あの方の監視下から外れた。
力を失った。
…そう思われていた。
あいつとあの方の力の親和性は相当高かったようだ。
あいつは死んだ後も力を維持した。
普通ではあり得ない。
地獄とは、神の監視下から外れた者が行く場所。
そんな場所に、存在していいはずがない。
当然、あいつは力無き地獄を蹂躙した。
あいつはその力で無理やり転生した。
輪廻転生は神の範疇のものだ。
それをあいつは神を通さずに行った。
この怪物が。
だからこそ、あいつをもう一度こちら側へ入れる必要がある。
そこそこの年数がかかったが関係ない。
神に寿命はない。
我々はすでに悠久の年月を過ごしている。
独自能力もその日々で得た。
2週間が経った。
あの方との連絡もつかない。
配下の管理も忙しい。
数は増えている。
あの方もどこかで動いていらっしゃる。
あいつを見ていると憎たらしくなる。
我の苦難の日々を嘲られているように思う。
あの方も前世のあいつには少し引いていた。
怨念を力に変え、虐殺を楽しんでいると。
異世界であっても、理解はできない。
我も少し前、少し虐殺をした。
あいつと比べれば規模は遥かに小さい。
目的も、ただあいつらを引きつけるためだけだ。
根っからの才能、能力の違いを見せつけられた気分だ。
あいつをあの方の僕にする日が待ち遠しい。
青いやつは何なのだろうか。
あの方はあいつの話をすると嫌そうな顔をしなさる。
過去の友人を思い出すとおっしゃっていた。
だから我は深追いすることをやめた。
我が知らなくても、神は知っている。
緑のやつはよくわからない。
我もあの方も知らない。
あいつは神の力を得ていない。
あいつは神の誤差で生まれてしまった。
ちょっとした運命の誤差がこうなるとは。
あいつらが同じ場所にいるのは何故だろうか。
元々は友人でも何でも無かったはずだ。
運命がそう傾いたと言うのか。
神の管轄下にある運命を変えたと言うのか。
ありえないが、…ありえないが。
不気味、怖いなんてしばらく思っていない。
少なくともあの方に力を頂いてからはない。
我が人間だった頃は思っていたのだろうか。
なら、まだ我は人から脱しきれていないのだろう。
我は今も、理解不能に恐怖している。
3週間が経った。
あの方との連絡は未だつかない。
我は捨てられたのだろうか。
その発想が出てきた自分を憎む。
布団で少し休もう。
あの方は人間だった我をどう見たのだろうか。
もしかしたら我も有象無象の一人だったのか。
もしくは、我に今のあいつのような感情を抱いていたのか。
おそらく後者だろう。
そう信じていたい。
日に日に配下は増えている。
信仰の力も高まっている。
我も少し強くなった気がした。
今ならあいつらにも一泡吹かせられるかもしれない。
あの方は、見てくださるだろうか。
氷の造形は我の固有能力だ。
あの方の魔法陣のようなもの。
最初手に入れた時は誇り高く思った。
今はそんな自分を矮小と思う。
あいつらは平然とそれをするから。
あいつらの固有能力は浮遊だ。
あの方はそれを初めて見たとおっしゃっていた。
我の固有能力は、固有などではない。
我に固有能力などない。
我に才能などない。
あいつらは何もしない。
緑のやつが少しここの探査に来るくらいだ。
何故あいつらは動かないのだろうか。
我を消すこともできるはずなのに。
その発想も出ているはずなのに。
配下の奴らは我を慕ってくれる。
あの方の代理として動けている。
我を求める人は間違いなくいる。
我がここに存在する理由はある。
あの方だけがいない。
4週間が経った。
あいつらは今何をしているのか。
きっと3人で巨大生物を消しているのだろう。
あいつら、いつも人類に被害を出す。
まるで自分が人類の上にいると思っているように。
そんなわけがない。
そんなわけがない。
そんなわけがない。
そんなわけがない。
ない。
怖い。
全てが怖い。
我は今何をしているのだろう。
誰にうち開ければいいのだろう。
あの方に会いたい。
我は何も知らない。
あいつらは何をしていているのか。
あいつらが何なのか。
あの方のことすら。
あの方に会いたい。
夢を見た。
あいつらが本当に我を消す夢だ。
そんなわけがないと信じた。
どちらが白昼夢だろうか。
あの方に会いたい。
1ヶ月が経った。
あいつらは今日も楽しそうだ。
あいつらも我が動かないのを不思議に思っている。
あいつらは我のことを誘っている。
我は自分から動かない。
動けない。
ここから動けない。
何も出来ない。
早くあの方に会いたい。
どこにいらっしゃるのだろうか。
配下は増えている。
どこかで動いている。
文の数も増えている。
早くあの方に会いたい。
もう我に文を送るな。
我はあの方のことを何も知らない。
それでも文の中身は見る。
誰からきているかわからないから。
早くあの方に会いたい。
嫌だ。
もう嫌だ。
何もしたくない。
何も出来ない。
早くあの方に会いたい。
信仰の力は増え続けている。
でも、そろそろ頭打ちだ。
これが止まった時が我の最後の希望だ。
ここで無理なら。
我は…
明日にはわかる。
明日にはわかる。
明日にはわかる。
明日にはわかる。
明日にはわかる。
会いたい。
会いたい。
声が聞きたい。
顔が見たい。
字を見たい。
全てが見たい。
あの方に会いたい。
一通の文が届いた。
紛れもなくあの方の字だ。
明日、会いに来てくださるようだ。
何故1日明けたのか。
我に見切りをつけたのだろうか。
決断のための1日なのだろうか。
あいつらはどうなったのだろうか。
まだ我は我でいたい。
斑でいたい。
式神 斑でいたい。
あの方と、会えた。
あの方はいつも以上に笑顔だった。
我はただ、あの方の言葉を待った。
正直、不安に思っていた。
捨てられたら、どうしようか。
ただ、考えていた。
でも、その必要はなかった。
あの方はただ我を抱きしめた。
そして、ただ泣いていた。
「連絡を取れなくてごめん。
斑にばかり頑張ってもらってる自分が嫌になって、信仰集めくらい自分でやろうと焦っちゃった。
配下をまとめてくれてありがとう。
やっぱり私には斑しか居ない。
私の夢についてきてくれるのは斑しか居ない。」
そうおっしゃっていた。
あの方はずっと、夢を持っている。
神の世界をより平等にしたい。
神の世界のルールを変えたい。
そのために神の世界の頂点に立たないといけない。
それで、ずっと一人で動いている。
少なくとも、我が見ている限りは。
とりあえず、記録する。
忘れないように。
「やっぱりさ。斑って真面目だよね。
いや、私だったら絶対呼びにいくもん。
不安でしょ?だって。
…だよね。
いや、そんなことしないよ!
私、本当に一人にはなりたくないし。
斑がいる!って。何とかしてくれる!ってわかってたから一人でも動けただけ。
本当の私は、そんなことできないもん。
神様なんてそんなもんだよ。
偉そうにしてるけど、みんな元々そんなん。
だってただの人間だったんだし。
私だって生まれが神なわけじゃない。
たまたま私に才能があったから、神になれただけ。
…確かに、努力もいっぱいしたよ。
斑がいなかった頃はもっとしてたんじゃないかな。
暇だもん。
一人で動きたくないもん。
だから自分の場所で、一人で努力してた。
今は斑がいるから、暇じゃないよ。
やらなきゃいけないこともたくさんあるし。
…わかってるって。
今度は一緒に、ね?」
…さて。
あの方と話をしなければ。
あいつ、俺のことまだ覚えてるのかな。まあ覚えてるだろうな。あいつ素が優秀だし。何でもすぐ覚えてすぐ使いこなしてたし。あいつとは喧嘩別れみたいな感じになっちゃったし、もう一回話したいな。まずは説教して、それから謝ろう。あいつのことも、成銀のことも。




