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クロノワールド -再創-(Re:Creation)  作者: ゼロザム=ルーゴ
第壱章 戦士ノ活動録篇
4/23

第肆話 「波動ノ獣と小さな光」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません

剣達がいる世界には二つの有名な昔話がある。

一つ目のお話は今より30年前、この世界にある一つの山に人より大きく、長い耳を持った青い馬が空より落ちて来た。

降ってきた場所の近くには村があった。

当時、その村に住んでいた人達はその未確認の生物と接触すると同時に姿を消した。

だが、まるでその生物と入れ替わるかのように村人全員は突然変異を起こした。

その生物と同じ青色で長い、その未確認生物と同じ耳が生えたのだ。

それだけではなく、彼らは青い炎の姿をした能力 波動をその身に宿した。

以降、彼らは自身らを青獣族と呼称した。

しかし、その村はしばらくして消えてしまった。

そして、もう一つ。

これは青獣族の話よりも古いモノ。

今から60年よりも前、この世界では戦争が起こっていた。

銃声が鳴り止まず、悲鳴は赤黒く染まった空を響かせ、大地は大量の赤い血と多くの亡骸で埋め尽くされていった。

そんな戦争を止めた…いや、終わらせた者が一人いた。

それは白のマントに白髪の若き人間 後に英雄やアーサー王と呼ばれた男のハクであった。

ハクの登場により戦争は終結、平和の世が訪れた。

今話したこの二つの物語架空のものではなく、実際にあった話。

そして、この二つの話に関係する者が剣達が所属するクロノス社に存在した。

今回の話はそんな二人の話。


「この本、好きなの?」

「うん、好きだよ。」

白い室内の保健室、ベットの上で二人の少年は話をしていた。

一人は眼が隠れる程の前髪を持った緑髪に白シャツの少年 ジル。

本が好きなのかと訊いた子である。

そして、もう一人は黒髪に青い眼、そしてRというマークが刻まれた黒の帽子の少年 ライト。

その問に答えた少年である。

ライト「白き英雄…僕の好きな本。そして、何よりも大切なモノ」

ライトは話を続け、両手に持つ白色の本のタイトルとその作品に対する思いを伝えた。

本の表紙にはタイトルの白き英雄を示すだろう白マントに直剣を手にした男がいた。

ジル「この本、良いよね。ねぇ!折角だし、これを機に僕と友達になろうよ!」

ジルは本を評価した後、ライトに友達になる事を提案した。

ライト「良いの?けど、僕はいじめられてるから、君も…」

だが、ライトはそれを拒もうとしていた。

そう、ライトはいじめを受けていた。

酷い事を言われ、暴行を受けたり、物を隠されたりと嫌な事を受けていた。

その理由はただ気に入らないからとただそれだけの事であった。

ジル「気にしないよ、そんなの…僕はただ、君と一緒にいたい。それだけなんだ」

だが、ジルはそんな理由を払い除け、ただ一緒にいたい、君の友達でありたいという真っ直ぐな意志をライトに伝えた。

ジルの思いを聞いて、揺らぐライト。

ライト「わかった。よろしく、ジル」

ライトは安心した様子で答え、微笑む。

ジル「うん!よろしく!」

ジルは満面な笑みで返した。

すると、ライトに頭痛が走った。

それにより一度目を瞑った。

再び目を開けると、場所は変わっていて、暗い路地裏にいた。

そこには先程まで明るく振舞っていたジルの亡骸があった。

目に光が無く、亡骸を中心にして血溜まりが広がっていた。

ライト「あ、あぁ…ああああああああぁぁぁ!!!」

その亡骸を見るやいなやライトは膝から崩れ落ち、眼から涙が溢れ、叫んだ。

すると、周りから声が聞こえた。

「ざまぁ」

「惨めだ」

「お前のせいだ」

「友達になったアイツが可哀想」

それらはライトを嘲笑い、ライトとジルを否定するものであった。

俯きながら頭を抱えているライトの心は苦しく、辛く、締め付けられていった。

「ライト…」

すると、何処からか声が聞こえた。

それは他とは違い、ただライト自身の名を呼んでいた。まるで呼びかけるかのように

そしてこの声の主はライトにとって知っている人であり、大切な者である。

ライトには親はおらず、親戚もいない。友達も目の前で失っている。

「ライト…!」

それは徐々に大きくなっていく。

ライト(…そうだ……この声は……!)

ライトはこの呼びかける声が誰なのかを理解した。

そして、俯いていたその顔を上げた。


「ライト!」

はっきりと目が覚める。

ライトが今いるところは体育館で、壁に寄りかかる感じで寝ていた。

そして、ライトは見上げていた。

「大丈夫か?苦しそうだったが…」

心配の表情を浮かべながらライトを見つめていた人がいた。

白髪に獣のような赤眼の青い尻尾と青の長い耳を持った容姿に白の着物と袴という服装の上に丈の長い青の羽織を着用している。そして、青のバンダナを頭に巻いていた。

彼は牙禅。クロノス社の戦士の一人であり、青獣族の人である。

ライト「大丈夫です。」

ライトは起き上がった。

ライト「すみません、迷惑をおかけしました。」

そして、牙禅にそう返した。

目を覚ましたライトは今、牙禅と同じ戦士として活動していた。


しばらくして、ライトは等身大サイズの二体のサンドバッグを体育館の中心に置いた。

しかし、それはサンドバッグと呼ぶには異質で、人型の姿をしていた。

それはまるでマネキンのようだった。

ライト「牙禅さん、運び終えました。」

ライトは近くにいた牙禅に呼びかけた。

牙禅「あぁ、心より感謝を申し上げる」

牙禅はライトの顔を見ながら感謝を伝えると、マネキンに歩み寄り、心臓部にあるスイッチを押した。

【起動します 起動します…起動直後、トレーニングを開始。実践モードに入ります。】

マネキンから機械音声が流れ始める。

そして、動き出したマネキンは牙禅に向けて構え始めた。

牙禅「ライト、お前のタイミングで問題ない。ボタンを押せ」

ライト「わかりました。もう大丈夫なので、やります。」

牙禅の指示にライトは応じるも、自身の意志でもう一体のマネキンに迫り、ボタンを押して起動させた。

【起動します 起動します…起動直後、トレーニングを開始。実践モードに入ります。】

もう一体のマネキンも動き始め、ライトに対して構えを取った。

【【起動完了。実践モードに移行します。】】

二つのマネキンは牙禅とライトに向かって接近を始めた。

マネキンが牙禅に向けて拳を突き出す。

牙禅はそれを片手で払い除ける。

マネキンは続けて容赦無く連続で拳を突き出してくる。

だが、それを牙禅は両手で払い除けたり、身体や頭を動かして回避したりとマネキンの攻撃を尽く対応していた。

牙禅は迫り来る拳の中を掻い潜り、マネキンの腹に発勁を繰り出した。

すると、直撃したマネキンは後退る。

牙禅は続けてマネキンに接近し、打撃を喰らわせた。

マネキンは為す術なく、ただその打撃を受けていた。

そうして数発の打撃を受けた後、牙禅は再度腹に目掛けて発勁を放つ。

その衝撃に耐え切れなくなったのか、マネキンの腹に亀裂が走り、残骸が飛んだ。

そうして、壁に激突したマネキンは電池が切れたかのように動かなくなった。

牙禅は壊れたマネキンを見ながら、一息をつく。

牙禅「押忍!」

そして、牙禅は力強く声を出した。


マネキンが二つの拳を振るう。

ライトはそれを目で追いながら回避する。

また拳が来るかと思ったその時、マネキンは拳では無く、なんと蹴りを入れた。

その蹴りがライトの横腹に目掛けて来る。

それが直撃し、ライトはそのまま横に吹き飛ばされた。

ライトはなんとか体勢を立て直し、片手に光が放たれる。

光は形を成し、直剣を創り出した。

ライト(どう来る…!)

両手で光の直剣を握りしめるライトはマネキンを睨みつけるように見た。

マネキンはそのままライトに向かって接近する。

ライト「…牙禅さんからの教え、目で見たもの、見えるものが全てじゃない」

ライトは両手で光の直剣を握りしめて構えた後、勢いよく振るった。

だが、マネキンはそれを飛んで回避する。

マネキンはライトの後ろに回り、ライトの後頭部に拳を向ける。

ライトは静かに体勢を立て直し、両手を上げる。

降参の合図である。

ライトは片手に持った光の直剣を手放す。

ライト「牙禅さんからの教え、どんな状況でも決して諦めるな」

ライトは指パッチンをする。

すると、光の直剣がまるで閃光弾のように光り出す。

そう、ライトは諦めていなかったのだ。

マネキンには目は無いが、人という前提である為、眩しい様子を見せた。

ライトはすぐさま後頭部に突きつけられた拳を手に取り、背負い投げをした。

マネキンはなすがままに頭を地面に叩きつけられる。

ライトは肩で息をして、マネキンの方を見る。

ライト「…やり…ました……」

疲れた様子であった。

牙禅「良くやった。」

そんなライトに牙禅が歩み寄る。

ライトは声がする方へと顔を向けると、そこには二つの水筒を持った牙禅がおり、その中の一つをライトに渡していた。

ライトは笑みを浮かべながら水筒を手に取る。


少しして牙禅とライトは横に並ぶように床に座り、水筒に入った水を飲みながら休憩していた。

牙禅「ライト、お前に一つ伝えておく」

ライト「はい、なんでしょうか?」

すると突然、牙禅はライトに向けてこう言い出した。

ライトは牙禅の顔を見ながら聞く姿勢に入った。

牙禅「最後まで決して油断するな」

牙禅はその内容を伝えた。

ライトはそれを静かに聞いていた。

牙禅は話を続ける。

牙禅「今闘ったマネキンは人間という設定ではあるが、人じゃないモノ或いは余程鍛えられた人を相手する場合はそう上手くはいかない。それにトドメを刺さなければ敵はまだ襲ってくる。」

牙禅はライトに目を向ける。

ライトは変わらず牙禅を見ていた。

牙禅「だから、決して最後まで気を抜くな。そうすれば今よりも強くなれる」

ライト「!…はい!」

牙禅は微笑みながらこう言った。

その言葉を聞いたライトは元気の良い返事をした。

その直後であった。

体育館にアナウンスが鳴り響いた。

『戦士の牙禅とライトはすぐに隊長室に収集してください。繰り返します…』

その内容は牙禅とライトを隊長室に訪れるよう促すものであった。そしてそれは二度繰り返された。

牙禅「どうやら、依頼らしいな」

ライト「そう、みたいですね」

牙禅とライトはそんなやりとりをした後、隊長室に移動した。


少しの時が経ち、牙禅とライトは隊長室にたどり着いた。

未来「よく来てくれた、君達に依頼がある。」

牙禅とライトが来た事を視認した未来隊長は机の上にあった手紙を牙禅達に見せた。

牙禅「…これは、事実か?」

未来「あぁ、マジだよ」

それを見るやいなや牙禅は嫌気がさしていた。

ライトもその文章の内容を読んで、驚きのあまり目を大きく見開いた。

その手紙の内容はこうであった。


クロノス社の戦士の皆様へ、この手紙を読んでいる時にはもう私はいないと思います。

私達は誘拐され、アダン財閥の奴隷として扱われています。

長時間の肉体労働、気に入られた女は当主の良いように扱われる。

反抗する或いは使えないとなれば、罰という名の暴力、最悪の場合は殺されます。

なんとか隙を伺ってここまで書いていますが、そう長くは無いみたいです。

どうかお願いします。私の妹だけでも…


ここまでが記されていた内容であり、その文字は途切れていた。

ライト「アダン財閥って…」

未来「あぁ、あまり良い噂は聞かないところだね」

ライトの言葉に未来隊長はそう答えた。

アダン財閥、アダンという名の当主の一族が経営している企業グループである。

クロノスの街の経済を支えている企業の一つであるが、そこまでの影響力は無い。

近年、アダン財閥に関する悪い噂が広まっている。

それは取り引きをしに来た企業から出た情報であり、その内容は訪れた際に奴隷らしき姿を見たとの事であった。

だが、アダン財閥はこの事実を否定し、それ以降は何も言及していなかった。

牙禅「奴隷か…許せないな」

牙禅はアダン財閥について、特に奴隷という事に関して怒りをあらわにしていた。

未来「そうか…」

未来隊長は牙禅の様子を見るやいなや、彼の今の思いに心の奥底から同情していた。

未来「さて、牙禅とライト。この依頼を受けてくれる?牙禅ならば捕らえられた奴隷の居場所もわかると思って、選抜したけれど」

未来隊長は牙禅とライトに訊いた。

牙禅「…任せてくれ、道を踏み外した魑魅魍魎は俺達が滅する。」

牙禅はそう答えた。

牙禅「ライト、お前はいけるか?」

ライト「はい!いけます!」

牙禅の問いにライトは答えた。

未来「ありがとう、牙禅とライト」

未来隊長は牙禅とライトに感謝を告げた。


時刻は夜。

牙禅とライトはアダン財閥の屋敷が見える建物の屋上にいた。

ライト「依頼の内容は潜入で、奴隷の解放とアダン財閥の悪行を明るみにする事」

ライトは記憶していた依頼の内容を再度唱える。

牙禅「問題は無さそうだな」

牙禅はそう判断し、腕時計でクロノス社本部に連絡を取り始めた。

牙禅「こちら牙禅とライト、目標に到着。これより依頼を開始する。」

そして、牙禅は未来隊長に報告をし、その事を伝えた。

未来「把握したよ、どうぞ。開始してください。」

未来隊長は牙禅達にそう返し、指示を出した。

牙禅「行くぞ、ライト」

ライト「…はい」

牙禅の呼びかけにライトが返した後、ライトは牙禅に捕まり、そのまま牙禅は瞬間移動した。


一方その頃、アダン財閥の屋敷のとある一室にて中年男性であるアダン財閥の当主 アダンがまさに当主という名に相応しい椅子に座り、机と向き合っていた。

「アダン当主…ご報告がある。」

そんなアダンに一つの声が聞こえた。

アダン「なんだ、言ってみろ」

真っ直ぐに目線を向けたアダンは落ち着いた様子で声に語りかける。

すると、目の前に人の姿が現れた。

緑髪に黄緑の眼の容姿に黒の忍者服を身に纏ったその男 ヤマイシ ヒヤクはアダンに雇われた暗殺者である。

ヒヤク「アダンを殺す人が来る。クロノス社の戦士二人がだ。」

ヒヤクは落ち着いた様子で要件を伝えた。

アダン「ふむ、ご苦労。ならば警備と監視を今より強化する事と全員に報告しろ。良いな?」

アダンはヒヤクにそう頼んだ。

ヒヤク「御意…」

ヒヤクはそう返すと、再び姿を消した。

アダン「私を殺すか…フフフ、クロノス社も愚かなものだ」

アダンは嘲笑っていた。

アダン「私を殺してしまえば、世間は許さないだろう。それどころかお前らを否定し、批判し、叩きのめされるだろう。」

そう言いながらアダンは懐から葉巻を出し、吸った後ふかした。

アダン「なぁ、クロノス社。貴様らは所詮、非常識の集いだ。」

そして、ゲスな笑みを浮かべた。


場面は変わってアダン財閥の屋敷の廊下。

黒のスーツにサングラスをした人達 ガードマンが警備の為に巡回していた。

そんな二人のガードマンが奇襲を受けた。

そして気を失った二人のガードマンはそのまま一室に繋がる扉の向こうへと引き込まれるように消えていった。

そして次にその扉から現れたのは先程のガードマンの黒のスーツとサングラスを身につけた牙禅とライトであった。

ライト「潜入は出来ましたけど、良かったのでしょうか?元はと言えばアダンのせいな訳ですし…」

ライトは二人の無実なガードマンを拉致し、剥ぎ取った服で変装した事に罪悪感を感じていた。

牙禅「だとしても、この二人もアダンに肩入れしていた。その時点でアダンと同罪だ。」

牙禅は真剣な表情でライトにそう教えた。

ライト「わかりました。考えを改めます。」

ライトはそう返した。

牙禅「ここからは二手に分かれよう。俺はアダン当主のところに行くからライトは奴隷を探してくれ」

ライト「了解しました!」

牙禅はライトにそう指示する。

ライトはそれを承知した。

そうして牙禅とライトはそれぞれの役割を果たす為に、移動した。


ライト(確か、拉致された人達は地下一階にいるって…)

ライトは廊下を渡り、階段を使って奴隷がいる地下一階へと移動していた。

ライト(しかも、警備と監視が前よりも厳重になっているらしいから他のガードマンに溶け込まないと…)

慎重にそう考えていたライトに一つの人影が迫る。

「おい」

その人影の声を聞き、ライトは驚いてその声の方へと振り返る。

その人影はここを警備するガードマンであった。

ライト「な、なんでしょうか?」

ライトがそのガードマンに訊いた。

「何故ここにいる?お前の持ち場はそこでは無いはずだ」

そのガードマンはやけに洞察力が優れており、かなり的確であった。

そしてライトは瞬時に考えた後、こう述べた。

ライト「警備と監視を厳重にするという報告がありましたので、奴隷の方を厳重にした方が良いと思い、今向かっています。」

「そうか…ならば、そう報告しろ」

ライトの嘘に引っかかってくれたガードマンは納得した様子でライトから離れていった。

ライト(信じてくれた。正直、嘘をつくのはあまり良くないけど、今は助けたい人がいるから)

そう思いながらライトは奴隷がいる地下一階へと再度向かった。


一方その頃、牙禅は怪しまれないよう周囲を警戒しながら自身に兼ね備えている心眼でライトの様子を見ていた。

牙禅(上手くやれているようだな。なら、心配は無さそうだ。)

牙禅は心眼を使ってアダンがいる一室に通ずる扉の前に来ていた。

扉の前には二人のガードマンが警護をしていた。

牙禅「すまない、アダン当主にご報告する事がある。」

牙禅は二人のガードマンにそう伝える。

すると、二人のガードマンは互いを見つめ、頷いた後、再び牙禅の方へと顔を向けた。

そのまま二人は扉の端へと移動した。

牙禅は扉に近づき、ノックする。

牙禅「ご報告があります。」

アダン「良し、中に入れ」

アダンがそう言うと、牙禅は扉を開けて部屋の中に入った。

牙禅「失礼します。」

アダン「ふむ…」

牙禅がアダンに近づこうと一歩踏み出した。

その時であった。

先程、扉を護っていたガードマンが牙禅に向けて銃を向けた。

牙禅はその事を理解する。

牙禅「…これは一体?」

アダン「馬鹿め、報告はヒヤクだけに任せている。情報不足だったな!」

牙禅が敢えて知った上でそう訊くと、アダンは下卑た笑みを浮かべながらそう答えた。

牙禅「…成程な」

牙禅は両手を上げ、降参を示す。

アダン「お前ら、こいつを地下一階に連れて行け」

アダンは二人のガードマンにそう指示をする。

すると、牙禅は突如こんな事を質問した。

牙禅「地下?何かあるのか?」

アダン「言うわけがなかろう。どの道貴様も私の為に無理にでも嫌でも働かされるのだからなァ!!」

牙禅の問いにアダンはそう言った。

牙禅「と言うと?」

牙禅は続けて問う。

アダン「せっかくの機会だ、教えてやろう。貴様も知っているだろうが、私には多くの奴隷がいる!そこでは私の為に働いている。例え嫌でも無理にでもだ!」

アダンのそう返答した。

牙禅は内心、(言わないのに、教えるのはどうなんだ…)とその無能さに呆れていた。

牙禅「その事について何か思う事は無いのか?」

だが、そうは思いつつも牙禅は不愉快でありながらもその事に罪悪感はあるのかどうかを訊いた。

アダン「何を言う!むしろ感謝して欲しいものだ!私がヤツらに生きる意味を!その価値を!資格を与えているのだからなァ!!」

アダンの答えは傲慢で愚かしいものであった。

牙禅「…そうか」

そう言った次の刹那、牙禅は片足に青い炎 波動を身に纏った。

アダン「おい!そいつを捕らえろ!!」

事戦闘態勢に入った事に気が付いたアダンは二人のガードマンに指示を出した。

それを聞いたガードマンはすぐさま牙禅に向かって走り出した。

牙禅は波動を纏ったその片足を二人のガードマンに向けて回し蹴りを食らわせた。

一人のガードマンの頭部に蹴りが直撃し、もう一人のガードマンが巻き込まれる形で、それに連なるように吹き飛ばされていった。

アダン「なっ…!」

それを見てアダンは恐れ慄いた。

蹴り終えた足を地面に下ろし、青い炎の波動を解除した牙禅は俯きながらアダンの方へと睨みつけた。

牙禅「話は聞かせてもらった。」

そうして、牙禅はアダンに向けてそう言い放った。

そう、牙禅はボイスレコーダーを隠し持ってり、揺るぎない証拠を作り出したのだ。

アダン「くっそ!お前らァ!!」

アダンは机に施されていたスイッチを押す。

すると、屋敷内にアラート音が鳴り響いた。

多くの足音が鳴り響き、大勢のガードマンがアダンと牙禅がいる一室に着き、牙禅に向けて機関銃を構えた。

アダン「耳の生えた青バンダナを殺せ!」

アダンは怒鳴るかのような大きな声でガードマン達を指示した。

牙禅「悪しき外道、貴様の邪な野心は此処で潰える!」

牙禅は両手両足に波動を身に纏い、構えながらアダンに向けてそう言葉を吐き捨てた。


その頃、場面は変わってアダンの屋敷にある地下一階。

辺りは薄暗く、煉瓦で覆われていて、空気も環境も良いと言えるモノでは無かった。

そこでは多くの奴隷が強制的に長時間の肉体労働をさせられていた。

そして、奴隷を見張る為に数人のガードマンがいた。

「な、なんだ貴様は!?ぐわっ!!」

一人のガードマンが突然大声をあげた直後、続くように断末魔が上がった。

他のガードマンもなんだと言わんばかりの様子で断末魔がする方へと振り向いた。

次の瞬間、多数の小さな光弾が放たれた。

光弾は地下一階にいたガードマン達に直撃し、彼らはそのまま倒れた。

ライト「皆さん、大丈夫ですか!?」

ライトは奴隷全員にそう声を呼びかけた。

奴隷はすぐには理解できなかったが、自身らを助けに来てくれた人だという事に関しては理解していった。

ライト「安心してください、僕は敵ではありません。皆さんを助けに来ました!」

ライトは奴隷の人達にそう声を呼びかけた。

ライト「僕に着いてきてください、助けます」

ライトが続けてそう呼びかけたその時だった。

「助ける…誰をだ?」

ライトの背後から声が聞こえた。

ライトはすぐさま振り返り、光で生成した直剣を構えた。

ライト「誰ですか?貴方は」

ライトは緊迫した真剣な様子で後ろにいる何かに訊いた。

しかし、声は聞こえてもその姿はライトの眼で捉える事は出来なかった。

ライトは何処だと言わんばかりに辺りを見渡した。

(見えていないな…)

能力で自身を透明化させているヒヤクは所持していたナイフを片手に持ち、構えた。

ライトを背後から突き刺す為に

ヒヤク(…恐らく他の戦士と比べて素人同然だろう。このまま死ね!)

ヒヤクはライトの背後に回り、このままナイフをライトに目掛けて突き刺そうとした。

次の瞬間、ヒヤクにとって予想だにしない出来事が起こる。

ライトの持つ光の直剣が後ろの方へと振り回された。

ヒヤクは迅速に攻撃を回避する。そしてそのまま後ろに退いた。

腹部に切り傷を負うが、致命傷に至るものでは無かった。

ヒヤク「どういう事だ?何故わかる?」

ヒヤクはライトの突然の対応に驚いていた。

ヒヤクの能力である透明化は自身の姿を透明にするもの。

ヒヤクは暗殺者として得た息を潜めるという特技を能力と組み合わせて、多くの命を奪っていった。

ライト「例え、姿は見えなくても貴方を認識する事は出来ますよ」

ライトは真剣な表情でそう答えた。

ヒヤク「気配を読み取ったのか?馬鹿な事を、人間がそんな事出来るわけが無い」

ヒヤクはそう言葉を口にし、ライトの考えを否定した。

ライト「何でもかんでも出来ないと言っていたら、本当に何も出来なくなりますよ」

ライトは光の直剣を握りしめる。

ヒヤク「プラシーボ効果というヤツか」

ヒヤクは再び自身を透明化させた。

ライト(また消えた…)

ライトはそれを認識すると、落ち着いた様子で光の直剣を構えながら周囲を警戒する。

ヒヤク(もし気配で感じ取ったというのならば、感じ取れないモノで息の根を止める!)

ヒヤクは懐から3つのクナイを取り出し、ライトに向けて勢いよく投げた。

ライト「そこ!」

ライトはそれに気付くと、光の直剣でクナイを弾き返す。

ライト「…くっ!」

1つは返せたが、残りの2本は左側の肩と右側の片脚に突き刺さる。

ヒヤク「やはり大した事無いな」

ヒヤクは透明化を解くと、背中にあった忍者刀を抜きながらライトに歩み寄った。

ライト「大した事ない…か……」

ライトは俯きながらそう呟いた。

ライトはふと思い始めた。

ライトは他の戦士と比べて強くは無い。

邪光 剣のように剣術等が優れていて、皆を護れる程強くも無ければ、メビウスのように速くも無い。

牙禅のように体術が優れている訳でも無い。

他の戦士はライトには無いモノを持っていた。

ライト(確かに、僕には何も無いのかもしれない。けど…)

ライトは光の直剣を解き、それはそのまま光の粒子となって消えた。

そうしてヒヤクの忍者刀がライトの顔の真横に置かれ、向けられる。

ヒヤク「死を悟ったか…最後まで未熟なヤツよ」

ヒヤクの忍者刀が上がる。

ヒヤク「このまま逝くが良い!」

そして、そのまま勢いよく振り下ろされる。

ライト「それでも…」

ライトは片手を空に向ける。

ヒヤク(わけのわからんことを…)

ヒヤクは気になりはするも、理解出来ずにいた。だが、余計な考えをやめたヒヤクはそのまま忍者刀を振るった。

しかし、次の瞬間。

ライトの掌から光が放たれた。

ヒヤク「くっ!くそっ!」

ヒヤクの目に光が入り、片腕で照らす光を防いだ。

それに続けるようにライトの片手に光で生成した拳銃が現れる。

そして、ライトはそれをヒヤクの腹部に押し付けた。

ライト「僕は戦士として!彼らを助けたいし、全てを護りたい!」

ライトは自身が持つ光の拳銃の引き金を引いた。

すると、そこから光の弾丸が放たれ、全てヒヤクの腹部に直撃する。

ヒヤク「目眩しに銃撃…小癪な事を!」

ヒヤクは膝をついてうずくまりながら言葉を荒らげた。

ヒヤクが面を上げると、ライトが持つ光の拳銃が向けられ、その銃口がヒヤクの額に突きつけられる。

ライト「大人しく投降してください。命まで奪う事はしません。」

ライトは真剣な表情を浮かべながらヒヤクにそう言い放った。

ヒヤク「生温い程優しいヤツめ」

ヒヤクはライトを睨みながら思った事を口にする。

しかし、自身では最早どうする事もできないと悟ったヒヤクは抗う事をしなかった。


地下一階からアダンのいる部屋へと場面は変わる。

牙禅を取り囲んでいたガードマンは全員地に伏すように倒れ、気絶していた。

その中心には波動で生成した槍を片手に持った牙禅がいた。

牙禅「ガードマンは倒した。もうお前を護ってくれるヤツらはいない。」

牙禅はアダンを睨みながらそう言い放った。

アダン「お、おのれ〜!」

アダンは自身が危ういと思い、歯ぎしりをしていた。

そして、近くにあったボタンを押した。

牙禅「何個あるんだ、そのボタン」

呆然した状態で牙禅は思った事を口にした。

アダン「今に見ていろ!もう一人護衛は雇っている!」

アダンはそう言った。

すると、牙禅達の近くに大きな足音が鳴り響き、揺れが起きた。

「お呼びですか〜?当主〜」

牙禅の一室に肥満体質の大男が現れた。

アダン「呑気な事を言うな!クドー!この青バンダナ野郎を殺せ!」

アダンは焦った様子で目が隠れる程の前髪を持ったオレンジ色の髪の肥満体質の大男 クドーに指示を出した。

クドー「焦ってるな〜…という事だから、そこのちっこい化け物〜」

クドーはアダンを他所に牙禅の方へと身体を向けて彼に話しかけた。

すると、クドーは身構えながら牛の角と尾を生やした。

クドー「ここで死ぬか〜、奴隷になるか〜、好きな方を選べ〜」

クドーの能力は牛。その言葉通り、牛になる能力である。とは言えど、クドーの能力は未熟である為、角と尾だけしか生えない。

牙禅「死か奴隷か…」

クドーのその発言を聞いた牙禅は片手で頭を抱えた。

牙禅の脳裏に過去の記憶が流れる。

幼い頃、自身が住んでいた故郷に突然氷山が現れ、それに続くかのように炎が燃え盛った。

大勢の同胞が殺され、1人の弟を氷で出来た鬼の角を生やした男によって失った。

必死で逃げた自分はその後、奴隷にされそうになった。しかし、未来隊長と彼が率いる戦士によって助けられた。

その後、牙禅は彼らの仲間となり、後にライトと出会った。そして、彼の意志に答えるように鍛える事になった。

牙禅「どちらか選ぶつもりも、どちらも選ぶつもりも無い…!」

牙禅は身に付けているバンダナから手を離し、片手で波動の槍を構えながらクドーを睨みながらクドーの選択肢を拒んだ。

クドー「んじゃ〜、こっちが選ぶね〜」

クドーが牙禅に向けて突進しようと身構えた次の瞬間。

クドー「ゴフッ!?」

クドーの腹部に衝撃が迸った。

その正体はなんと牙禅が持つ波動の槍の突きであった。

牙禅「呑気にいるのも今のうちだ。永劫悔いよ!」

波動の槍は牙禅の双方の拳に纏わり付いた。

そして、その二つの拳はクドーの腹に対して止まずの速い打撃を与えた。

クドーは為す術なく後退るかのようにやられる。

そうして、牙禅が繰り出した次の一撃はただの打撃では無く、なんと発勁。

クドー「ぐぅおおおおおおお!!」

その一撃は凄まじく、クドーが勢いよく後ろに吹き飛ばされ、屋敷の壁を貫通する程のものであった。

そのままクドーは屋敷の外へと放り出された。

アダン「クドーめ!おのれ!使えないヤツだ!!」

思い通りにいかなかったアダンはその悔しさのあまり机を叩いた。

次の刹那、アダンの前に牙禅が現れ、アダンの腹部に発勁を喰らわせんと言わんばかりにその手を突きつけた。

牙禅「奴隷を解放しろ!さもなくば、このまま…!」

アダン「ま、待て!金ならいくらでもくれてやる!だから…」

牙禅の脅しにアダンは醜い命乞いをした。

しかし、それを聞いた牙禅はそのまま発勁を喰らわせた。


場面は変わり、地下一階にて

その場で膝をつき蹲るヒヤクはライトが創った光の拳銃を突きつけられていた。

ヒヤク「…」(どうする、こちらも雇われた身。その責務は全うしなければ…)

ヒヤクはこの状況をどう打破するかを頭の中で考えを張り巡らせていた。

そんな時だった。

牙禅「ここにいたか」

ライト「!牙禅さん!」

なんと牙禅が階段で地下へと降りてきた。

それに気が付いたライトは牙禅の名を呼びかけた。

ヒヤク(よそ見をしたな、ならば…)

ヒヤクはライトの隙を伺い、そう判断すると片手に隠し持っていたクナイを構えた。

それでライトを殺めようとした。

その時、何か違和感に気が付いた。

ヒヤクの目が牙禅の片手に持つ何かを見た。

なんとそれは雇った当の本人である当主 アダンであった。

ヒヤク(アダンが倒されたか…という事はあのクドーもやられた訳か)

それを認識したヒヤクは同じく雇われた身であるクドーも倒された事を理解した。

ライト「その人って」

牙禅「あぁ、ここの屋敷の当主だ」

ヒヤク(よそ見をしている…今だ!)

ライトと牙禅のやり取りを見て、ヒヤクは牙禅に向けてクナイを投げようとした。

しかし、次の刹那。

殺気を捉えた牙禅は片手で青い火の玉 波動弾を生成し、それを放った。

投げようとしたヒヤクの手に波動弾が直撃する。

ヒヤク「くっ…!」

それにより、ヒヤクの手からクナイが離れ、それは遠く飛ばされた。

牙禅「仕留めていなかったのか、ライト」

牙禅はヒヤクの方へと顔を向けながらライトにそう訊いた。

ライト「今回の依頼内容は奴隷の解放、命まで奪う必要は無いと判断しました。」

ライトは真剣にそう答えた。

牙禅「…そうか、わかった」

牙禅はライトの意志を汲み取った。

牙禅「しかしだ。」

すると、牙禅はヒヤクの方へと歩を進め、接近する。

牙禅「先程のように襲いかかってくる可能性もある。」

牙禅の片手に波動の炎が纏った。

そして、その拳を身体より後ろに引く。

牙禅「すまないが、少しの間気絶していてくれ」

そして、その拳はヒヤクに直撃し、そのままヒヤクは牙禅の言葉通りに気絶した。


その後、アダン財閥に捕らえられた奴隷は解放され、いるべき場所へと帰っていった。依頼主の妹も無事に救われた。

依頼を終えて少しの時間が経った後、牙禅は慰霊碑の前にいた。

そこで牙禅は慰霊碑に花束を添えた後、膝をつき、黙祷した。

その花束には白いカーネーションや白菊があり、その横には四つ葉のクローバーが置かれていた。

四つ葉のクローバーの花言葉には幸運や約束、そして復讐という意味を持っている。

幸運は亡き同胞に対する祈り。約束は同胞の命を奪った鬼をこの手で討ち取ること。復讐に対するものであった。

牙禅(父様、母様、そして師匠。必ず敵は打ちます。)

牙禅は心の中で慰霊碑の下で眠る同胞に対してそう伝えた。

ライト「牙禅さん」

そんな牙禅に歩み寄るライトが声をかけて来た。

牙禅「ライトか」

牙禅はその声がする方へと顔を向け、ライトである事を認識した。

ライトは牙禅の横でしゃがむと、慰霊碑に向けて合掌をした。

ライトは自身の亡き友の墓参りをした後、ここに駆け寄ったのだと牙禅は理解していた。

牙禅はそれを静かに見ていた。

少しして、牙禅は慰霊碑の方を向いた。

牙禅「ライト、こんな事を訊くのも野暮だし無礼だと思うが、今はどうだ?」

すると、牙禅はライトにこんな事を言い出した。

その言葉は今までの牙禅からは聞いた事の無い何かを隠した様なものであった。

ライト「どう、と言うと?」

当然、ライトは何の事か理解出来ず、その質問の意味を問うた。

牙禅「大切な者を失った時の心境、そしてそれは今はどうなのかを訊きたい」

牙禅はそう答えた。

それを聞いたライトは沈黙し、少しして慰霊碑の方へと顔を向けた。

ライト「正直に言って、辛いですよ」

ライトはそう答える。そして、話を続けた。

ライト「心が痛かったし、もう二度と話せなくなる以前に会えなくなる。そう思うと何処か大きな寂しさに襲われる。僕の場合、そう思わせてくれる時を壊すように周りの人に苦しめられていました。」

ライトのその言葉に牙禅はこの質問をした罪悪感に襲われ、情けないといえ気持ちと何故こんな事訊いてしまったのかを悔いていた。

しかし、そんな考えを払拭するかのようにライトの言葉は出た。

ライト「けど、今は牙禅さんがいます」

その言葉を聞いた牙禅はハッと我に返るかのように反応し、ライトの方へと顔を向けた。

ライト「もし、牙禅さんと出会わなかったら皆さんの足を引っ張っていたと思いますし、未来隊長と出会わなかったら戦士として闘う事も、僕が此処にいる事も無かったと思います。」

それを告げるとライトは上を向き、立ち上がった。

ライト「ジルさんはもういません。そして、忘れる事はありません。けど、今は牙禅さん達がいますので、そんなに心配しなくて良いですよ。」

ライトは微笑みを浮かべ、それを牙禅に向けながら答えた。

牙禅「…そうか」

牙禅は立ち上がりながらそう言葉を口にした。

牙禅「どうやら深く考え過ぎていた」

牙禅は何処か哀しそうな笑みを浮かべながらそう言った。

牙禅「ライト、この後修行をする予定だが、その前に買い物に行くか」

ライト「はい!そうしましょう!」

牙禅の提案にライトは乗り、スーパーへと向かった。

ライト「牙禅さんは…やっぱり、ニンジンですか?」

牙禅「ニンジンとほうれん草だ」

ライト「生であれ食べるって凄いですよね」(馬…)

牙禅とライトはそんなやり取りを交わしながら目的地の方へと進んでいった。

次回

第伍話 「赤キ獅子と緑の科学者」

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