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恋する乙女ベルバラの逆ハーレムで決して恋にはならない異世界転生  作者: 櫻井莉緒
1章 絢爛豪華なお城で逆ハーレム
9/14

09話 本で見たもの、この目で見たもの、

教会をはじめに、城の中を好きに歩いていいという第一王子から許可をもらっていた私は城の中を好き勝手に歩き、適当に歩きながらもある部屋を探しーーー


すごい埃臭い目的の場所にたどり着いた。


部屋...5室分はあるのではないか?と思うほど広い書斎に私は足を踏み入れる。


答えになるものはないかもだけど、なにかヒントに...それこそ、この世界について私はあまりにも知らなすぎるから、ある程度の知識をここで蓄えたいところだ。

どうして第三王子があんなに忌み嫌われているのか、そして今はーーー私の体のことも調べなくてはならない。


ジャンル別に分けられているようだけど、どこに悪魔系の本があるのか...棚、棚、棚、とパッと覗きながら歩いていると、5列目で誰かがいることに気がついた。

棚の真ん中で、本を一冊手に取って立ち読みしている姿が目に入ったのだ。

その姿は第一王子や第二王子の容姿とは異なり、紫色の髪は腰下まで伸びており、瞳は髪の色を薄めた紫であった。


パタンとその人は手に持っていた本を閉じ、棚へと戻した。


「ーーー...はじめまして、私はロレーヌ・ハインリヒです。早く来てしまったもので、時間潰しに本を読んでいました。...あなたは?」

「シスターベルバラです。早く来てしまったとは?ここで待ち合わせでしょうか?」


ここで?城で?


「ギルに招待されまして、おそらく即位式の話でしょう。」

「...即位式?」

「現国王が生前退位し、第一王子のギルが即位することを国民の前で発表する、その準備の話でしょう。」

「その、国王は体が悪いのでしょうか?」

「そうですね。先日倒れたと聞きまして、もう起きれる状態には戻れないと...。」


そういえばまだ国王の姿を見てない。


「国王はどこにいるんでしょうか?」

「謁見の間です。」

「謁見の間?」


たしか衛兵に案内されたときも、第一王子と国王陛下がいるって聞いたけど


「ギルベルト様がいらっしゃるだけで、そこに国王はいませんでしたよ。」

「いえいえ、おそらくその奥...部屋が続いてたでしょう?そこに寝たきりになっている国王がいるんですよ。」

「ロレーヌ様はどうしてそのようなことを知っているんでしょうか?現国王が寝たきり...というのは伏せられる情報でしょう?」

「私の家は、ハインリヒ家は代々王家に仕えている貴族なんですよ。」


貴族!王子様がいる城があって、貴族もいるなんて!!

タバコに女遊びをしてる王子は論外で、囚われの第三王子の容姿?を変える...呪いを解くよりも、この素敵な貴族様との恋が理想的じゃない!?もちろんこの貴族に問題がなかったらだけど。


「ところで、ベルバラさんはどうしてこの城に?シスターといっても、街に神父さんがいたはずでしょう?あなたのような素敵な女性ははじめて見ますので、おそらく遠くから来た...ですよね?」

「ーーーロレーヌ様は第三王子のこと知っていますでしょうか?」


多分だけど、地下牢に幽閉されている第三王子エリスのことは城の中だけの話で、外には隠してるんじゃないかな?と。だからこの人が知らない可能性もーーー


「第三王子エリス様のことでしょうか?」


知ってるんだ。まぁ、王家に仕えてる家だし知ってても別に...。


「直接見たわけじゃないんですが、黒髪と赤目と聞いていますね。……もしかしてベルバラさんは第三王子の件でいらっしゃったのでしょうか?」

「そうです。」

「もしかして会ったんでしょうか?」

「はい。」

「...本当に黒髪と赤目だったんでしょうか?」

「は、はい。ギルベルト様やレナード様と本当に血が繋がった兄弟なのかと疑問に思ってしまうほど見た目が異なる上に、地下牢での暮らしによってとても汚かったです。」


ロレーヌは右手で口元に触れ、その顔はどこか引き攣ってるようにも見えた。


「よく地下牢に行けましたね。どうしてそんなことを?」

「えっと、私はギルベルト様からエリス様に憑いてる悪魔を祓うようにと頼まれたんです。だからそのためにもどんな症状なのか確認したかったんです。」

「あぁ、だからあなたなんでしょう。」

「え?」

「不快になられましたら申し訳ございません。おそらく、街で頼りにされている神父様ではなくベルバラさんに頼んだのは、あなたがここではない別のところからきたシスターだからではないでしょうか?」


余所者だからってこと?


「次からは誰か、そうですね、奴隷を介して第三王子に会うことをお勧めします。」


拳を強く握りしめる。


ーーーロレーヌは去り際に、「今夜、ベルバラさんも晩餐会にいらっしゃってはどうでしょうか?」と誘ってくれた。


静かに、...私の中でロレーヌ・ハインリヒが無しになっていた。


一人、この広い書斎で「悪魔」について調べた。

高種族と呼ばれている悪魔、吸血鬼、獣人、は人間の体に影響を及ぼすほどの高魔力が発生している「魔界」に生きている。

その中でも悪魔は人間に憑き、人間を支配する種族である。かつて国を半壊するほどの殺戮を実行した人間が悪魔に憑かれていたという例があるように、悪魔に憑かれた人間は直ちに憑かれた人間ごと悪魔を祓わなければならない。これは1人の命を犠牲に数100人を命を守る行動だ。


悪魔に憑かれたらその人ごと祓うって、...それってつまり、殺すってこと?


悪魔と人間は姿が酷似しているが、悪魔の絶対的特徴として、その髪は黒く、目が赤いということ。これは吸血鬼の見た目と類似しているが、吸血鬼には鋭い牙があるので、牙があるかどうかを確認して見分けよう。


私は静かに本を棚へと戻したーーー。

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