14話 目覚め
「ほらこっち来なさいって!」
ズル、ズル、ズル、
「いやあぁっ!!」
バチンッ
「ねぇ!いつもうるさいって言ってるよね?なんで分からないの!?」
ジュワ
「ぎゃあああぁっ!!?」
お母さんは借りてきたDVDをテレビで見ていた。お母さんは家の中でいつもタバコを吸っていたけど、DVDを見るときだけのルーティンがあった。
それは私の腕を引っ張って、床の上を引きずりながらソファの前まで連れてくると、私のおでこにタバコを押し当てるのだ。
そのタバコの痕はお母さんとお揃いになる。お母さんもまた別の誰か...多分、お父さんにやられていたんだと思う。
ソファでお母さんが寝たのを確認してから、私は隣の部屋の押し入れを開けた。そこには私の妹ーーー麗花がいた。
「お母さんは?」
「寝ちゃったよ。」
ーーーこの日常は突然終わりを告げることになる。
いつものようにお母さんがソファで寝て、麗花のいる押し入れへ向かおうとしたときードンッーという音が響いた。
その音を聞いた瞬間、体が反応し、両手で耳を覆ってその場に崩れ落ちた。その音は隣の部屋で壁を殴り、私を呼ぶ音に聞こえたからだ。でもソファでお母さんは寝ている。もう一度ードンッ、ドンッー今度は2回連続。
思い出した。お昼、テレビを消そうとしたとき、今夜は花火って言っていた。
麗花に伝えよう!それで屋上にあがったら見えるかな?
「音は聞こえるんだけど、どこかな?」
「あのマンションが邪魔なんじゃない?」
「あーぁ、麗花と見えると思ったのに。」
「...蒸し暑い。」
そうだ!花火は見えないけど...
「ねぇ、ここにこうやって...全然足りないや。SOSって繋げたら誰か助けてくれるかな?」
麗奈はスリッパの左右を縦に並べるが、それはSにもOにもならない、ただ縦に置いただけになっていた。
「麗奈こっち」
「なに?」
「ここなら見えるかも」
この屋上から花火が見えないことを私は分かっていたはずなのに、手すりに両手で触れて体重を乗せ
「えー、どこ?」
背中を押されていた。
15歳だった。
ーーー○ー○ー○ーーー
ーーー階段を降りていく。廊下を進む。13番目の部屋に彼はいた。
ゆっくりと頭をあげたエリスの胸がドクンと跳ねた。
なぜなら鉄格子の向こうにいた彼女は、エリスが何度も夢に見ていた彼女と同じ容姿をしていたからだ。光り輝くような金髪、城の周りで咲き乱れるあの赤い薔薇と同じ目をした彼女が、漆黒のドレスを纏った彼女がそこにはいた。
「石魔法。」
横穴が削られ、それは研ぎ澄まされたナイフとなり、スパンッと鉄格子が切れた。
ベルバラはその足で近づき
「顔をよく見せて」
「あなたは夢のーーー」
「記憶が見つからない...。もしかしたら魂を一度壊した?これじゃあ思い出すというより、教える方法しかないみたい。」
「あな、たは?」
「私はベルバラ。私の可愛いエリス、ようやくあなたに会えた。」
「転生先、ローズ国。役職、聖職者シスターベルバラ。種族ーーー」
私は転生した。魔界で生きられる高種族であり、人間から疎まれる「悪魔」に。致命傷になることはないけど、聖水によって悪魔は傷を受ける。だから私は聖水に触れることができなかった。
ーーー私はもう佐藤麗奈じゃない。私はベルバラで、妹もいない。
だからお母さんから虐待を受けていたことも、妹に屋上から突き落とされたことも、それはもう遠い過去...ううん、過去ですらない前世の話。今はまだ前世の記憶として印象に刻まれたものは覚えているけど、それでもその時の感情はもう忘れてしまったし、記憶も鮮明じゃない。明日も覚えてるか分からないし、来年はもうなにも覚えてないかもしれない。でも、それは私じゃない。覚えておきたい過去でもない。
「水魔法。」
ベルバラの正面に魔法陣が現れ、そこからシャワーのように水が吹き出て、エリスの汚れを洗い流していく。
「ーーーさぁ、この国を乗っ取りましょうか。」
私は本当に異世界転生だった。私はただ、この世に生を受けた時...すなわち、赤ちゃんからあの目覚めた前までの記憶を失っていただけ。
私の転生は一年ほど前から始まっていたーーー。
【1章絢爛豪華な城で逆ハーレム。完。】
このお話で1章完結となります!拙い文章ではありますが、この1章で書きたいシーンは書けたかなと...落ち着きましたら、さらに1章内で起きた日常回を更新したいと思います。
ちゃんと異世界転生でした!!主人公ベルバラちゃんが生まれた時のこと忘れちゃってただけです。2章からは転生時、赤ちゃんから始まります!!
2章開始はしばらくお待ちください。




