番外編 冬の魔物
投稿が開いてしまっているのにブクマや応援評価が増えてて嬉しいです。皆様本当にありがとうございます!
活動報告でも書きましたが現在新章を書き出しています。ノロノロ執筆ではありますが頑張りますので今しばらくお待ちいただければ嬉しいです。
「……よし決めた。黄色だ」
「黄色にするの? 赤とか青じゃなくて?」
「黄色にする。お嬢とお揃いだからな」
「えへへ。しょっかー!」
そろそろ肌寒くなって来たある日。私達は町へカイル用の防寒具を買いに来ていた。
新しいカイロ石にコートや手袋などなど。今はマフラーを選んでいるところです。ちなみにこのお店は去年の冬にマフラーを買ったお店ですね。
そして選んだマフラーをお会計してもらい、私達は揃って店を出た。
いつものように抱っこをしてもらい町を進む。荷物は全部カイルの便利カバンに入ってるので手ぶらです。
「他にいるものある?」
「んー……多分ねぇと思う」
「じゃあ食料品買い足して――しゅとっぷかいりゅ! とまってぇ!」
「うぉ、びっくりした。どうしたお嬢」
興奮のあまりカイルの肩をバンバン叩きながら告げる。無事に止まってくれたので、さっき目に入ったモノを改めて視界に収めた。
チラリと視界に入ったお店のとある品物。見間違いかと思ったけど間違いない。
私はカイルに進路変更をお願いしてお店に突撃した。
「フェル様みかん食べますかー?」
「喰う」
「あーん!」
机に突っ伏し顔だけをこちらへ向けたフェルトス様の口に剥いたみかんを一欠片放り込む。
このみかんは新たに作った果樹園で採れたものなのでフェルトス様も食べられます。
「おいしー?」
「……ん。うまい」
「えへへー。はい、あーん」
「……フェルが雛鳥と化してる」
私達二人のやり取りを眺めていたガルラさんからぽつりとこぼれた一言に、改めてフェルトス様を眺める。
お行儀は悪いけどモゴモゴみかんを食べてる姿はとても可愛いと思います。威厳はこれっぽっちもありませんが、それもまたヨシ!
ニコニコしながら私は次にガルラさんへと手を差し出す。
「はい。ガーラさんもあーん!」
「あーん」
「おいしー?」
「うまーい」
「えへへ」
いま私達は町で見つけて新しく買ってきた家具を自宅で堪能中なのです。その家具とは、まさしく冬のお供『こたつ』これを見つけたときは嬉しさのあまり衝動買いをしてしまいました。この世界にもおこたがあるんですね。去年見つけられなかったのが口惜しいと感じます。
せっかくなのでこたつ布団にもこだわって買ってきましたよ。そのおかげかフェルトス様も気に入ったようで、一度入ってからは入ったまま出てきません。ずっと溶けています。
冥界や神域では寒さなんて関係ないけど、温まりポイントはいくらあってもいい! そんな精神で買ってきました。こたつの魅力には抗えなかったとも言えるけど……。
でも実際フェルトス様もこたつに下半身を食べられたまま出てこないし、買って正解だったと思います。こたつの魅力は種族を超える……のか。
「ほいお嬢。アイスお待ち」
「わーい!」
綺麗に盛り付けられたアイスクリームが目の前に出される。
率先してやってくれているとはいえ、なんだか正式に眷属になってからカイルが我が家の執事と化してきている気がする。本物を知らないのであくまで私のイメージだけど。
そのことを本人に言ってみたら『なら服もそれっぽくしてみるか?』って冗談っぽく笑ってた。
その時はほんとに冗談だと思って一緒に笑ってたんけど、後日カイルが執事服に身を包んで現れたときはビックリしましたよ。しかもとっても似合ってるというね。
カイルはそれでいいのか? と思うけど、本人が楽しそうだから……まぁいいか。という結論に達しました。
「こたつに入りながら冷たいアイスクリーム。しゃいこうでしゅなぁー」
軽く手を拭いてからスプーンを持ちアイスを口に含むと幸せな味がした。
うん、やっぱりこたつにみかん。そしてアイスクリーム。完璧な布陣だ! 私の目に狂いはなかった!
フェルトス様とガルラさんにもアイスクリームが提供され二人とも美味しそうに食べてる。
「おい。トマトジュースも出してくれ」
「あ、オレにもちょーだい」
「はい。少々お待ちを。お嬢も飲むか?」
「うん! あ、手伝う?」
「ヘーキだ」
ニッカリ笑ってキッチンに去っていくカイルの後ろ姿を視線で追いかける。今は執事服じゃないのに執事服着てる幻覚が見えたよ。
追加のトマトジュースも出し終わりカイルもこたつでまったりしはじめた。各々リラックスモードに突入している。いやー平和ですね。
そんな光景をアイスを食べながら眺める私は改めて思う。
買ってよかった! と。
我が家にもこたつが欲しい。




