番外編 ねこねこパニック
本当は猫の日に出したかったヤツですが間に合いませんでした。大遅刻。
お嬢が魔法で猫に――正確には子猫になった。
「にー、にぅー」
毛足の長いふわふわした紫色の毛玉が足元で鳴いている。
俺の顔を見上げて鳴く、お嬢のキラキラした丸いルビーのような瞳には呆けた俺の顔が写っていた。
反射的にしゃがみ込み、俺は猫お嬢へと手を伸ばす。
すると、撫でてと言わんばかりにペタリと倒れた獣の耳。その反応がなんとも愛らしく、俺の心をくすぐった。
いつもよりもさらに小さくなってしまったお嬢。
でも俺が撫でるといつもみたいに気持ちよさそうに目を細め、極め付けには喉からゴロゴロ音が聞こえてくる。
正直に言って、とてもかわいい。世界一かわいいのではないだろうか。
お嬢がいま使った魔法は変身の魔法というものらしい。
自分もしくは他者の姿を変える魔法で、人間には扱えない種類の魔法だ。
俺もお嬢の眷属となったので一応使える側にはいるのだが、俺自身そこまで魔力の扱いが上手くないので今回は見ているだけだった。
そしてガルラ様から新しい魔法を教えてもらったお嬢が、意気揚々とすぐさま実践。
さすがというかなんというか、お嬢はとくに躓くこともなくスムーズに魔法を発動させることに成功した。
ぽんっと軽い効果音のようなものとともに煙に包まれるお嬢。
その煙が晴れると、お嬢がいた場所には小さな小さな子猫がいたのだ。
お嬢は周囲をきょろきょろと見回し、俺と目が合うと、とてとてと近寄ってきた。
さらに俺を見上げ鳴いたので、撫でている。それが今だ。
そんな俺達二人を覗き込むように見下ろしていたガルラ様から声が降ってきた。
「あーりゃりゃ。失敗かなこれは」
「え、失敗なのですか?」
「うん。多分ねー」
やりとりを交わす俺達二人を見上げ、不思議そうに小首を傾げるお嬢はとにかくかわいい。
そして今度はガルラ様の足元へと歩み寄ったお嬢は、すりすりと頭や体を擦りつけている。
不敬にも少しばかり嫉妬の炎が俺の胸に宿るが、にーにーと可愛い声で鳴くお嬢の姿を見ているとそれもすぐに掻き消えた。
しかし、失敗とはいったいどういうことなのだろうか。
実際にお嬢は完璧に子猫へと姿を変えることには成功しているのだから、変身魔法は成功しているように見える。
ガルラ様にじゃれつくお嬢から視線を上げガルラ様を見上げると、彼は困ったような笑顔でお嬢を見下ろしていた。
「おーいメイ。俺の言うことわかるかぁ? わかったら三回連続で鳴いてみろー」
「くぁぁ」
ガルラ様の呼びかけにあくびで返したお嬢。そしてぺろぺろくしくしと顔を洗いはじめた。
「……な?」
「あ、はい」
つまり知性というか自我がなくなって完全に猫になってしまっているから失敗ということか。
「ん? でもそうなると……あの、ガルラ様。お嬢って元に戻れるんですか?」
立ち上がってガルラ様に訊ねる。
子猫なお嬢はかわいいが、さすがにずっとこのままというわけにはいかない。
今のお嬢は杖も持てなきゃ、魔法だって使えるか微妙だ。
俺はガルラ様のズボンを伝いながら上へ上へと登っていくお嬢を不安げに見つめる。
「んー。それは問題ない。いつでも戻せる――けど……」
「けど?」
ガルラ様の返事を聞き安心したのも束の間。言葉の最後を濁すように黙った彼の言葉に首を傾げる。何か問題でもあるのだろうか。
登山途中で力尽き爪で引っ掛かっているだけになったお嬢を優しく救い出し、目線の高さにまで持ち上げたガルラ様はみーみー鳴くお嬢をあやしつつ俺に視線を向けた。
「かわいいからもうちょっとこのままでもいいかなって。フェルにも見せてやりたいし。いや、今から見せにいくか! どうせ寝てるだけだろうしな。うんそうしよう!」
「……それは、怒られませんか?」
お嬢を肩に乗せ、いそいそと帰り支度を始めたガルラ様に声をかける。
フェルトス様は寝るのがお好きなようで暇さえあれば寝ているのだが、俺にはまだそれを邪魔する勇気はない。
「へーきへーき。んなことで怒るようなやつじゃねーし。仮に怒ったとしてもメイの可愛い姿見たら怒る気も失せるって」
「なるほど、たしかに」
普段のフェルトス様の様子を思い出した俺は妙な納得感に一つ頷き、帰り支度を終えたガルラ様に続いてフェルトス様の家へと戻った。
「おーい起きろーフェルー! フェルトスー! おーい! フェルトスちゃーん!」
家に戻るなり一直線にベッドへと向かったガルラ様は、こちらに背を向け眠るフェルトス様のお身体を無遠慮にバシバシと叩き大きな声で起こしにかかった。
お嬢もフェルトス様を起こすときに叩いているときがあるが、もしかしてガルラ様の影響なのだろうか?
ガルラ様の肩に乗せられたお嬢を見つめながらそんなことを考える。
「あ、起きた?」
どうやらフェルトス様が起きたようでガルラ様の手が止まった。そしてむくりと無言で起き上がったフェルトス様が凶悪な顔でガルラ様を睨みつける。
「おはようフェル!」
しかしそんな視線もガルラ様には効かないのか、明るい声で挨拶を返した。
俺だったらきっと怯えて反射的に謝ってしまうだろうからガルラ様の対応は素直にすごいと思う。
「……おはよう。ところで、何用だ? 何か問題でも発生したか?」
「いんや。べつになにも?」
「だったらなんだ急に。……ん? いや待て。貴様メイと魔法の訓練をしていたのではなかったか?」
「そだよー」
「ならば何故カイルと共にここにいる。メイはどうした。まさかメイを一人置いてきたのではないだろうな?」
「まさか。そんなことしねぇよ」
「ではどこに――」
「にゃーん!」
お嬢の元気な鳴き声がフェルトス様の声を遮った。そこでようやくガルラ様の肩にいるお嬢の存在に気が付いたのか、フェルトス様は目を丸くして驚いている。
それにしてもこんな表情のフェルトス様は初めて見たな。以前お嬢がフェルトス様のことをかわいいと言っていて同意しかねていたが、今ならそれが少しわかる気がする。
「貴様……メイ、か? 何故そうなった?」
「変身魔法教えてたら失敗してこうなったんだけど、すげーかわいいだろ?」
だから見せにきた。とガルラ様はお嬢をフェルトス様へ差し出した。差し出されたフェルトス様はお嬢の首根っこを掴み、顔の高さまで持ち上げるとしげしげと見つめている。
首根っこを掴まれ力が抜けているのかお嬢はなんの抵抗もなく、だらんと投げ出された四肢は空中でぷらぷらと揺れていた。
「にー」
「……ふむ、悪くない」
「だろ」
その後フェルトス様とガルラ様にひとしきり遊んでもらったお嬢は疲れたのか眠ってしまった。フェルトス様の膝の上でスピスピと幸せそうに眠る子猫お嬢を見ていると癒されるし、なんだかこちらも眠くなってくるようだ。
「カイル」
「あ、はい。なんでしょうかフェルトス様」
三人から少し離れた場所で眠るお嬢を眺めていた俺をフェルトス様が呼ぶ。
視線を向けると来い来いと手招きされていたので足早に彼の神へと近付いた。ある程度で歩みを止めフェルトス様を見るも、もっと近付けと再度手招きが俺を呼んだので少しずつ間合いを詰める。
そして最終的にほぼ隣まで来ると、そこでようやくフェルトス様は満足げに頷き指を鳴らした。
「……え?」
パチンと高い音が聞こえたと思った次の瞬間には目線が下がり、さらに全身の違和感が俺を襲う。
恐る恐る己の手を見下ろしてみると、ふわふわの小さな手に肉球が付いていた。手以外の視界に入るもふもふした青い毛に覆われた体はまさしく俺の体で、おそるおそる頭に手をやると頭上にはピンと立つ二つの耳。尻の方には尻尾の感覚もある。
間違いない。今、俺は、猫になっている! いや何故!?
「あ、あの、フェルトス様? これは一体……?」
驚愕の表情を隠せないままフェルトス様を見上げるが、本人は顎に手をやり何やら思案顔だ。
「あー。フェル? オマエ何やってんの?」
「人の言葉を話すとイマイチだな」
「え? え?」
「え。ではない。にゃーと言ってみろ。そら『にゃー』だ」
「に、『にゃー』?」
「……イマイチだな?」
「マジでどうしたフェル」
「メイが寝てしまったから代わりになるかと思っただけだ。……だがまぁ、撫で心地は悪くない」
「あ。さてはオマエ……猫、気に入ったな?」
「フッ――さてな」
フェルトス様の大きな手が俺の頭や背中を撫でる。
その手が妙に心地良く気付けばゴロゴロ音が喉から出ていた。
お嬢がフェルトス様に撫でられるのが好きというのも頷けるというものだ。
「オレももふりたーい。フェル代わってー」
「…………」
「え、なに? なんで無言? なんで笑ってんだ?」
「……」
「うわ。なんかすげー嫌な予感」
「よしガルラ。抵抗するなよ」
「まじかー。はぁ」
ガルラ様が諦めたように項垂れる。そしてフェルトス様が指を鳴らす音と共に、この空間にまた猫が増えた。
「むー」
「起きたか?」
「あぃ。おはよーごじゃましゅフェルしゃまー」
「おはよう」
「……あれぇ?」
何故かフェルトス様に抱っこされて寝ていたんだけど、なんでそうなったのか思い出せない。そもそも私は寝る前に何をしていたんだっけ?
「むむむむ……」
寝起きで働かない頭を必死で回転させ寝る前の記憶を掘り起こす。
たしか今日はガルラさんに新しい魔法を教えてもらえることになって、いつもの家の近くの広場に訓練しに行っていたような。
そこで変身魔法教えてもらったし、せっかくなら好きな動物になろうと思って、猫を思い浮かべて、えっとそれから――
「んー?」
そこから記憶がない。どうやって帰ってきたのかも不明だ。
「フェル様。わたしどうやって帰ってきたんですか?」
いくら考えてもわからないので、素直に経緯を知っているであろう相手に話を聞く。
フェルトス様の顔を見上げるとなんだかいつもより表情が柔らかく楽しそうに口角が上がっていた。何か良い事でもあったのだろうか。
「キサマが魔法に失敗し完全に猫となったのでガルラが連れ帰ったのだ」
「それはにゃんともご迷惑を……」
ペコリと小さく頭を下げると、失敗は誰にでもあるから次に活かせとありがたいお言葉とともにフェルトス様が優しく頭を撫でてくれた。
そのまましばらく素直に甘えていたが、突然の違和感に襲われた私は周囲をさぐるように視線を彷徨わせる。しかしどこにも目的の人物を見つけることができなかった。
「どうした?」
「んー。フェル様ー。ガーラさんとカイルはー?」
ガルラさんはともかくカイルもいないのだ。
いつもならカイルは絶対私の近くにいるし、もし離れていても私がお昼寝から起きたらすぐに気付いて戻ってきてくれる。それなのに今はどこにもいない。
今回はお昼寝というわけじゃないから、もしかしたら私が寝てる間にフェルトス様に何か用事でも言い付けられて出かけているのかもしれない。
そんなことを考えた私はフェルトス様に二人の所在を尋ねた。
「あぁ。アヤツらなら――」
そういってニヤリと笑ったフェルトス様。すごく悪いお顔をしていらっしゃいますがどうしたのでしょう。
「――おい二人とも。メイがお呼びだぞ」
「…………う?」
そのまま背後に向けて声をかけるフェルトス様。でも何か反応があるわけでもなく、不思議に思った私は体を傾けフェルトス様の腕越しに後ろを覗き見る。
しかしとくに何かあるわけでもないし、二人の姿も確認できなかった。
「誰もいにゃいよフェル様?」
「ふふっ。もう少し下を見てみろ」
「下?」
言われるまま視線を下に下げると、視界の隅で何かが動いた。ただ何が動いたのか確認したくとも、このままの状態ではよく見えないので一度フェルトス様から降りて後ろへと回る。
「……あ、猫ちゃん」
するとそこにいたのはかわいらしい猫が二匹。
一匹は紫色の短い毛に真っ赤な目の猫。もう一匹は青の中に赤が混じった長い毛に青と赤の色違いの目の猫。どっちも大きさ的に大人の猫っぽい。
その二匹がフェルトス様の翼に隠れるようにして小さくなって座っていた。
「かわいいー」
しゃがみ込み二匹を覗き込む。そのあまりのかわいさに私のほっぺたはゆるゆるで、口元はだらしなくふにゃふにゃな笑みを浮かべている。
でもこの二匹にどこか見覚えがあるのは気のせいだろうか。
いや、そもそも何故こんな場所に猫がいるのか。それに見たことのない毛色の猫だしやっぱり冥界に住んでる猫さんなんだろうか。
「おいでおいでー」
手を出して呼んでみる。するとおずおずとだけど青い方の猫が寄ってきてくれた。
急に動くと怖がらせちゃうかもしれないので、そのままじっと動かずに待つ。
すると青猫ちゃんがすぐそばまで来てくれたので様子を伺う。
「撫でていい?」
そう聞きながらそっと頭の方に手を差し出すと青猫ちゃんの方から私の手に擦り寄ってきてくれた。まったく嫌がるそぶりを見せない青猫ちゃんに調子に乗った私はさらにデレデレになる。
いやはや。なんと素晴らしいもふもふだろうか。やみつきになっちゃうね。
頭や耳、背中や肉球まで、全身もふもふぷにぷにと。大人しい青猫ちゃんは人に慣れてるのか全然逃げないし、どこを触っても嫌がらない。とてもかわいい。えへへ。
「メイ」
「う? なんですかフェル様?」
ニコニコと青猫ちゃんと戯れているとフェルトス様から呼ばれたのでそちらに顔を向ける。するといつの間にかフェルトス様の手の中にはもう一匹の紫猫ちゃんが収まっており、フェルトス様にもふられていた。
なんだか紫猫ちゃんの表情がうんざりしてるように見えるのは気のせいかな。
そのまま視線を上げてフェルトス様を見上げると、悪そうな顔で私を見ていた。なんだろう。
「コヤツらはどうだ。気に入ったか?」
「あい! すっごくかわいいです!」
「ふふっ。そうかそうか。かわいいか。良かったな二人とも」
「う?」
よくわからず首を傾げる。ふと紫猫ちゃんに目を向けると気不味そうに視線を逸らされた。そのまま青猫ちゃんに視線を移すと、青猫ちゃんにもそっと視線を逸らされた。
なんだか今この二匹がとても人間臭い表情と動きをした気がする。
「だー、もう! いい加減元に戻せよフェル!」
「ぴゃ!」
フェルトス様にもふられていた紫猫ちゃんが突然人の言葉を話し出し驚きに肩を跳ねさせる。しかもその声に聞き覚えがあるときた。
もしかして、いやもしかしなくともこの二匹の猫さんって――
「おいガルラ。人の言葉は使うなと言っておいただろう。猫みが薄れる」
「猫みってなんだよ。つかもう限界。恥ずいからさっさと戻してくれ」
「仕方がない」
紫猫ちゃんを地面に降ろしてからフェルトス様が指を鳴らすと、猫ちゃんズがいたところには見覚えのある成人男性が二人座り込んでいた。そしてそのどちらも頬に赤みがある。
「わぁ……猫ちゃんがガーラさんとカイルになっちゃった……」
やっぱりこの二人だった。ちょっと残念に思いつつ私は猫から人に戻った二人を交互に見つめた。
「違うぞメイ。オレとカイルが猫にされてたんだっつの。フェルの気まぐれには困ったもんだよまったく」
盛大な溜息をつき後頭部をバリバリとかくガルラさん。こっちに背を向けぶつぶつとフェルトス様への愚痴をこぼしている。
「お、お嬢、その……さっきのことは、忘れてくれると、その、助かる……」
もじもじと恥ずかしそうにこちらへ言ってくるカイルはガルラさんよりも真っ赤になっている。
そういえば青猫ちゃんがカイルだったってことは、私はカイルの全身を撫で回してたということになってしまうわけで。そう考えた矢先に私の頭に浮かんだのは『セクハラ』の四文字。
すかさず謝るとカイルは笑って許してくれたんだけど、申し訳なさが募る。そりゃ恥ずかしいだろうし、上司でもある私相手に嫌だとも言えなかったんだろうな。本当に申し訳ない。
そしてどうしてこんな状況になってるのか聞いた。
どうやら猫になった私をフェルトス様が気に入ったみたいなんだけど、途中で私が疲れて眠ってしまった。でもまだ猫を堪能したかったフェルトス様は、私の代わりを用意しようとしてこうなったらしい。
二人を元に戻さず私に見せたのは私が喜ぶと思ったからだそう。
たしかに嬉しかったけど、私と違ってガルラさんとカイルにはちゃんと自我があったんだから無理矢理はダメでしょう。だから二人ともフェルトス様の羽に隠れてたのねと今なら納得です。
ちなみに二人をもふもふなでなでしたフェルトス様は満足したのか結構御満悦だ。
ふふん。なるほど、原因はフェルトス様か。なるほど。なるほど。
「フェル様ー」
「なんだ?」
「私も変身魔法できるようになりたいです。でもまた失敗するかもしれないからフェル様にかけていいですか? 練習相手になってください!」
「オレにか?」
「あい。……めっ?」
「……むぅ。仕方がない。好きにしろ」
「やったー!」
私はフェルトス様に背を向けニヤリと笑う。その顔を見ていたのかカイルの表情が引き攣ってた気がするけど見なかったことにしよう。
ぐふふ。フェルトス様にも恥ずかしい格好をさせてやるぞ!
さっそくとばかりに影から杖を取り出そうとするも、その杖が影の中になかった。
広場に置きっぱなしになっているのかと焦ったけど、どうやらガルラさんが回収しておいてくれたようなのでお礼を言って受け取る。
そして気を取り直して魔法を発動させた私は、フェルトス様に魔法を向けた。
「よーし、猫になーれ!」
ぼふんと煙に包まれたフェルトス様だけどすぐにその煙は晴れる。そして煙の向こうに現れたフェルトス様を見て、私は魔法が成功したことを確信。満足げに頷いた。
「――ブッ! ふっ、くくっ」
盛大に吹き出したガルラさんを睨むように見つめるフェルトス様の頭上にはピンと立った獣耳。
そしていつもの鋭い手や足は毛に覆われている。もちろん尻尾も完備です。
ただ私達と違うのは素体はそのままフェルトス様で、オプションとして猫耳尻尾が付いている感じですかね。
ふふん。二度目の魔法発動は大成功。完璧な仕上がりに匠も大満足です。
「フェル様かわいいー」
「……そうか。だが、また失敗だな。中途半端な変化だ」
「大丈夫です。それであってます!」
「何?」
「合ってます! 大変お似合いですよフェル様素敵!」
「…………そうか。やるなメイ。成功したのならもういいな。戻るぞ」
たっぷり間を置いたフェルトス様は絞り出すように私を褒めてくれた。でもすぐに戻ろうとしたので慌てて止めに入る。
「ダメです! しばらくはそのままです!」
「何故だ」
「かわいいので!」
満面の笑みで答えるとフェルトス様が苦虫を噛み潰したような顔をした。
そしてガルラさんに頼んで私にもフェルトス様と同じように猫耳尻尾を生やしてもらう。かなり恥ずかしいがこれも罰として受け入れます。
「えへへー。お揃いねフェル様ー」
「……そうだな」
完全に無と化したフェルトス様に苦笑いがもれるが、それをやり過ごし私はガルラさんとカイルと戯れる。
二人はかわいいと言ってくれているけどとてつもない羞恥心に身を焼かれる思いだ。でも我慢。カイルも我慢してたんだもんね。これでおあいこにしてもらいましょう。
さすがにカイルはフェルトス様に絡む勇気はなかったみたいだけど、その代わりガルラさんがすごく絡んでいたので良しとします。ガルラさんはお返しだと言ってフェルトス様の猫耳をずっと触ってました。
いやー、魔法の失敗で思いがけない事態になりましたが、冥界は今日も平和ですね!
新章の執筆がまったく進んでいません。待ってくださってる方がいれば本当にすみません……。
頑張ってますがメンタル不調で思うように書けません。地道に進めてはいますので回復までお時間いただきたく思います。




