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51 パーティ終了!

 お野菜たっぷりシチューやグラタン、サンドイッチやサラダ、揚げ物や煮物などなど統一感がない料理の数々でしたが、出した料理はみんな――主に男性陣――のお腹の中に消えていきました。


 ジェーンさんはカボチャの煮物が気に入ったみたいでたくさん食べてましたし、セシリア様はシチューがお口にあったよう。パンと一緒にうまうま食べてらした。

 男性陣は満遍なくたくさん食べてましたね。みんなどこにそんなに入っていくのだろうかってくらい食べてた。


 みんな美味しいって綺麗に食べてくれたので、作り手である私も大満足です!


 今回は鶏肉メインだったので今度は別のお肉も食べたいな。あとお魚も。魚はあんまり売ってないみたい。多分だけど、このあたりには海がないんだろうね。


 そして、食後に一通りの片付けも終わったあと満を持して出すもの、それは――デザート!


 というわけでみんなに用意していたデザートを配っていきますよ。

 ちゃんとデザートがあるからお腹に余裕を持たせてねってあらかじめ言っておいたので、満腹で食べられないなんてことはありません。


「ガーラしゃん、でじゃーと配るの手伝ってー」

「あいよー」


 ガルラさんに声をかけ、保存箱から取り出したるはプリンでございます。しかも普通のプリンとカボチャプリンの二種類でございます。

 これも試行回数を重ねてようやく納得できる味にまで持っていけた一品ですよ。


 うふふ、プルプルして美味しそうです。


 みんなにどっちが食べたいか聞いて好みの方を出そうと思ってたんだけど、いざ聞いてみたらみんなどっちも食べたいって言うから結局は二つとも出しました。

 どっちも人数分以上は作ってあるので問題はないんだけど、よく食べますね。特に女性陣。甘い物は別腹でしょうか。だとしても沢山食べるあなたが私は好きです。


 かくいう私はカボチャプリン一個にしました。試食でたくさん食べたしね。

 それはフェルトス様もガルラさんも同じなんだけど。


「なにこれ。このカボチャのプリンすっごく美味しいわ!」

「カボチャの味が口の中に広がりますね! 美味しいです!」


 女性同士きゃっきゃしながらカボチャのプリンにご満悦なご様子。スイーツを食べながら笑いあっているセシリア様とジェーンさんを見ていると心がほっこりしますね。


「メイー。これってまだあるのか?」

「ありましゅよ。食べましゅか?」

「食べる。ついでにどっちも一個づつ持って帰ってもいいか?」

「たくしゃんあるのでいいでしゅけど、しょんなに気に入りまちたか?」

「おぅ。美味いからな」


 トラロトル様からの申し出に返事を返しつつ、保存箱から新しいプリンを取り出し差し出した。

 お土産用は帰るときにでも渡します。


「フェルしゃま。美味しいでしゅか?」

「あぁ。美味い」

「にへへ」

「メイ。普通の方のプリンもう一個貰っていいかぁ?」

「いいよー。ガーラしゃんは普通のプリンのが好み?」

「うん。どっちも美味いけど、こっちのが好みだな。カラメルが苦めで美味いし」

「しょっか!」


 カボチャプリンを甘めに作ったから、通常のプリンはカラメル苦めで作成しました。味が違ってそれぞれ楽しめるからね。


 今回は二種類だったけど、他のプリンとかも作れるなら作ってみたい欲はある。

 チョコプリンとかフェルトス様が好きそうだ。

 それにフェルトス様は甘党だしパフェとか作ってあげても喜んでくれるかもしれない。

 機会があれば絶対に作ってあげようと心に決めて、私は自分のカボチャプリンをつつくのだった。


 デザートも綺麗に食べつくしたところで本日のお食事会という名のホームパーティは終了です。

 みんな笑顔で美味しかったと言ってくれて、主催した私も大満足も大満足でっす!


 今回は初回ということで特別にパーティ形式にしましたが、次回からのセシリア様へのお供えは作ったものを送る形になると思います。

 毎回これではちょっと大変だし、セシリア様にも毎回予定空けてもらうのも悪いしね。


「メイ様」

「う? なんでしゅか、ジェーンしゃん」


 片付けも終わり食後の団欒で、私達はだらだらとお喋りを繰り返す。話す内容はなんてことのない他愛もない話。


 そしてそんな時間もそろそろ終わりに近付いてきたときに、ジェーンさんから声が掛かった。

 私はそちらに視線を移すと、ジェーンさんはどこからともなく大きな紙袋を取り出しこちらに差し出してきた。

 かなり大きなものが入っているのだろうか、紙袋が膨れている。


 ちなみに今の私はフェルトス様のお膝の上にいます。

 片付けが終わって席に戻ったら、何故かお膝に乗せられました。私も嫌じゃないのでそのままです。


「よかったらこちらを受け取ってくださいますか?」

「なぁに?」

「本日のお礼です」

「へぁ!?」


 ジェーンさんをお呼びしたのは、私の服をたくさん、しかも短期間に素敵なものを作ってくれたお礼のつもりでお呼びしたのにそのお礼ですと!?

 お礼のお礼になってる! またお礼しないと……ってもしかして無限ループに陥ってますか?


「しょんな悪いでしゅ! ジェーンしゃんには素敵なお洋服いっぱい作ってもらったので今回はそのお礼のちゅもりでしゅから! 気にしないでくだしゃい!」

「……でしたら、(わたしく)の個人的なプレゼント、と言えば受け取っていただけますか?」

「うーん」


 いいのかなぁ?


「貰うぞ」

「あっ!」

「はい。どうぞお受け取りください」


 私が迷ってる間にフェルトス様が受け取ってしまった。


「フェルしゃまー!」

「べつにくれると言うんだから貰っておけばいいだろう」

「しょういう問題じゃないのにー」


 ぶーぶー頬を膨らませながら文句を言っているとフェルトス様にほっぺを潰された。

 口から空気が抜けるマヌケな音が響く。


「むぅー! なにしゅるのフェルしゃま!」

「つい」

「むきぃー!」


 フェルトス様の腕を叩いてぷりぷり怒りをみせるけど、私以外のみんなが笑ってるのに気付いてなんだか恥ずかしくなってしまった。

 叩くのをやめふてくされたようにぶーたれる。


「むぅー……はぇ?」


 そんなとき、目の前に綺麗な羽が差し出された。

 なんだろうと目で追ってみると、羽の先にはにっかり笑ったトラロトル様。


「ついでに俺もプレゼントだ。何も持ってきていないから俺の羽で悪いけどな。でも綺麗だろ?」

「わぁー。いいんでしゅか?」

「おぅ」

「ありあとごじゃましゅ、トラしゃまー」


 トラロトル様の綺麗な羽を頂いてしまった。

 ジェーンさんの時と違ってすんなり受け取ったのは、若干の開き直りもある気がする。


 おっといけない。

 私はジェーンさんにお礼をしていなかったことを思い出し、慌ててジェーンさんに向き直る。


「ジェーンしゃん、しゃっきはごめんなしゃい! プレゼントありあとごじゃましゅでしゅ!」

「ふふっ。いいえ、お気になさらず。気に入っていただけると嬉しいです」


 二人してにこにこ見つめ合う。

 何をくれたのかわからないけど、きっといいものに違いない。


「あら、こうなったら私も何か渡すべきよね? 何かあったかしら?」

「リアしゃま。気にしなくていいでしゅよ? これはリアしゃまへのおしょなえでしゅから」

「それはそれ。これはこれよ。うーん……あ、そうだわ」


 本当に気にしなくていいのに。

 セシリア様がその細くて綺麗な指をパチンと鳴らすと、テーブルの上に何かの包みが現れた。


「はいこれ。私からのプレゼント」

「開けてもいいでしゅか?」

「どうぞ」


 渡された包みを開くと何かの種のようなものが入っていた。

 大きさは私の手のひらサイズ。かなり大きな種だけど、なんの種なんでしょうか。


「あ、これって……」

「う? ガーラしゃんこれ何か知ってるの?」

「あぁっと……」

「なぁに?」


 包みを覗き込んできたガルラさんが言いよどむ。

 不安になるのでそういうのやめてもらっていいですかね?


「セシリア。いいのかこれは?」

「いいでしょ別に。おチビちゃんなら変な使い方しないだろうし。埋める場所はあんたたちが考えてあげなさいよ」

「……わかった」

「えらいもん貰ったなぁメイ」

「うぇ?」


 私を差し置いて大人組の話が進んでいく。なんなんだこの種。教えてよ。


「メイが育てるなら一級品の世界樹になりそうだな」

「せかいじゅ?」

「正確には世界樹の分霊だから、本体ではないのだけれどね」

「はぇー……」


 トラロトル様の言葉で己の手の中にある代物がとんでもないモノである事に気が付きましたよ。

 世界樹なんて名前だけでも大そうな代物じゃないですか……分霊だとしてもなんかすごいものだとはわかります。すごいしか言ってないな。語彙力が死んだ……。


「ちなみに世界樹の本体は天界にあるのですが、分霊として存在しているのはこの世界でも一か所だけですので、メイ様が育て上げれば二か所目となりますね」

「ふぁ!?」

「世界樹はあらゆる病に効くといわれる霊薬が作れるので、人間達からすればかなり貴重なものですよ」

「おぉぅ……」


 ジェーンさんの説明に気が遠くなりそうだ。

 子供へのプレゼントになんてものを渡すんですかセシリア様。


「リアしゃま……これ、ほんとにいいんでしゅか?」

「いいわよー」

「かるいっ!」


 そんなあっけらかんと。

 でもこれはセシリア様からの信頼でもあると思うからちゃんと育てて管理しなければ……。


「立派な樹に育てましゅね!」

「ふふっ。そうしてちょうだい」


 私は渡された世界樹の種をフェルトス様に渡す。埋めるまでは預かってもらっておこう。


 こうして急遽始まったプレゼント譲渡会も無事終わり、また会話に花が咲き始めたころ、名残惜しくもお開きの時間になりました。


 というか、かなり眠気が襲ってきており、半分寝始めてる私に気が付いたガルラさんがお開きを宣言したのですが。


 ホストなのに情けない。まだ、まだ大丈夫。せめてお見送りをしてから寝ます。

 フェルトス様に抱っこされつつ、がっくんがっくんと上下する頭をなんとか持ち上げ帰っていく皆様に手を振ります。

 もちろんお土産を渡すのも忘れない。渡してくれたのはガルラさんですけどね。


 あらかじめ用意していたバニラアイスクリームのお土産です。ちなみにこれも手作りです。頑張りました。

 トラロトル様にはプラスでプリンのお土産も。


 みなさん帰る前に私の頭を撫でてからお礼を言って帰っていきました。

 なんとか持ちこたえたと思ったのも束の間、私の意識は急速に暗闇に落ちていった。

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