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32 セシリア様からのプレゼント

 ガルラさんとモリアさん、そしてステラの監修の元、今日も一日魔法の訓練をして過ごしました。

 途中でガルラさんがお仕事でフェルトス様に合流しに行ってモリアさんとステラだけになっちゃったけど、モリアさんが保護者代わりになってくれたので続行してました。


 魔力球を作ったり、それを打ち出して的当てして遊んだり、火と風の魔法を合わせて温風を作ったり、火と水の魔法でお湯を作ったり、空を飛んだり、休憩を挟みつつ色々遊んでゴフンゲフン――訓練をして過ごしました。


 この一日でかなり色々できるようになったし、アイデア次第で様々なこともできるってことが判明したのが収穫ですね。

 楽しかったです!


 そして翌日。


 本当に食料が尽きてしまって食べる物がないので、フェルトス様の血を食べました。

 トマトジュースも作れませんし、ご飯もない。だから買い出しに行きたいなぁって朝からフェルトス様にお願いしてみたけど、今日はダメだって言われちゃった。いつならいいの!?


 日光対策用の洋服だって可愛いのができたし、お空も飛べるようになったのに!

 何がダメなのって聞いてみたら、今日はセシリア様が来るんだって。そっかぁ。じゃあ仕方ないね。


 しかもどうやらもうすぐいらっしゃるようで、私は今かなり慌てています。

 おもてなしの用意が何もありません! どうしましょう!


 フェルトス様は何故かベッドで寝てますし、ガルラさんは今日はまだ見てない。

 実はガルラさんのお家は別にあるみたいで、一緒には住んでません。ガルラさん家もこんな広場なのか聞いたらちゃんと壁も屋根も床もある家だって。


 いいなぁ!!


 今度遊びに行く約束したのでちょっと楽しみ。


 そうやってあわあわしてるうちにセシリア様がご到着。

 いつの間にか後ろに現れてたセシリア様は私の目を両手で覆い隠し「だーれだ?」とかすごく可愛いことしてくれました。

 もちろん秒で当てましたよ!


 セシリア様のご用向きというのが、この前言ってたお洋服の残りを持ってきてくれたようです。ありがとうございます!

 でもセシリア様が持っている荷物は、蝙蝠の羽がデザインされた可愛いリュック一つ。

 もしかしてと思っていたらどうやらこのリュックも拡張済みらしく、中にいっぱい洋服が入ってるとのこと。お宝が二つに増えた……!?


「リアしゃま、たくさんお洋服ありがとうごじゃいましゅ! ジェーンしゃんにもお礼を言っておいてくだちゃいましゅか?」

「えぇもちろん。きっと喜ぶわ」

「大事にしましゅ!」


 私がセシリア様ににっこりお礼を伝えたあと、我関せずとずっと寝転がっていたフェルトス様が突然起き上がった。


 びっくりした、起きてたんだ。



「あ、きたきた。おーい、フェル。セシリア様ー。こっちこっちー」


 手をブンブン振りながら自己主張をしているのはガルラさん。

 姿が見えないと思ったらこんなところにいたのですね。


「このへんなんかどうでしょうか? 冥界からも近いし、それなりに土の状態も良いですよ」

「そうね。いいんじゃないかしら。フェルもここでいいわよね?」

「……少し冥界から離れすぎているんじゃないか?」

「何言ってるの。すぐ目と鼻の先じゃない。それにどうせ冥界の中じゃ作物なんて育てられないんだし、仕方ないでしょ」

「むぅ」


 なおも不満そうな声を漏らすフェルトス様。


 いま私達は冥界から出てすぐの森に囲まれた地上にいます。

 なぜこんな場所にいるかというと……わかりません。セシリア様にリュックを渡された後、起きてきたフェルトス様に担がれて問答無用でここまで連れてこられたので。


 大人たちは理解してるみたいですけど、私はさっぱりです。ホウレンソウ!

 辛うじて会話から何かを育てる話をしてるのはわかりますがね。


「フェルしゃまー、リアしゃまー。ここで何をしゅるんでしゅか?」

「うふふ。実はね、おチビちゃんにイイモノ持ってきてあげたのよ」

「イイモノでしゅか?」


 なんだろう。洋服はもう貰ったし、他にも何か?


「そうよ。ちょっと待っててね、準備するから」


 そういうとセシリア様はどこからか杖を取り出した。

 セシリア様の杖はフェルトス様のと違って白くてなんか神々しいデザインだ。


 杖を手にしたセシリア様は、そのまま石突き部分で地面を二、三度叩く。

 そうすると目の前の地面が地響きを鳴らしながら盛り上がった。


「ひぇ……」


 突然の出来事に怖くなりフェルトス様の首元にくっつく。

 いったい何が始まったんですか?

 ぷるぷる震えながらフェルトス様の首元に顔を埋めていると、頭を撫でてくれる手を感じる。落ち着く。


 そのまま数秒ほど経つと、地響きの音はしなくなっていた。

 何が起きたのか確認するためにそっと顔を上げると、フェルトス様が難しい顔で私のことを見ていた。

 なんだろう……あ、気付いたら手でフェルトス様の髪の毛をがっしり掴んで引っ張ってた。

 もしかしてさっき頭撫でてくれたのは放せって意味でした? だったら気付かなくてすみません……ごめんなさい。ぴぇ。


「どうかしらおチビちゃん」

「うっ?」


 フェルトス様に謝罪していたら、後ろからセシリア様の声に呼ばれる。

 振り向くと、とってもいい笑顔でセシリア様がこっちを見ていらした。


 そのままセシリア様の手が指す方へ視線を向けると、さっきまでただの地面だった場所が耕され、立派な畑になっていました。

 しかもすでに何かの作物が植えられています。


 どうなってるの? みらくる!?


「お、おぉー! しゅごーい!」

「そうでしょう! とりあえず私の作ってる作物と同じものをいくつか持ってきたから、それを植えておいたわ。もちろん、トマトもね」

「うっ……」


 セシリア様の素敵ウインクに心臓を撃ち抜かれました。どうしよう。心を奪われそうだ!

 畑作ってくれたうえに野菜までプレゼントしてくれるなんて、地の神セシリア様気前が良過ぎて惚れてしまう……っ!


「メイ。大丈夫か?」

「だ、だいじょぶでしゅ」


 ふぅ、危ない危ない。

 危うくセシリア様に鞍替えしそうになっちゃった。セシリア様男前! 大好き!


「おチビちゃん。気に入ったかしら?」

「あい! リアしゃま、ありがとうごじゃいましゅ!」

「ふふっ。いいのよ。私も下心があってやったことだしね」

「う?」


 下心とな!? セシリア様の下心……なんだろう?


「ここの野菜が育ったあと、収穫した野菜でおチビちゃんが作った料理があったら私にも分けてほしいの……駄目かしら?」

「ふぁ!? しょんにゃ! 駄目じゃにゃいでしゅ! わたしの料理でよければいくらでも捧げましゅ!」


 慌てすぎて噛みまくってるけど気にしない。


「本当!? 嬉しい、ありがとうおチビちゃん。今からすっごく楽しみだわ!」

「ご期待にしょえるように頑張りましゅ!」


 むんっと気合を入れて返事をすると、セシリア様は本当に嬉しそうにはにかんだ。

 ぎゃん! なんですかその少女のような顔は! 反則です!

 ノックアウト寸前になりながらもセシリア様と約束の指切りを交わす。


 ふと思ったんだけど、神様と約束の指切りって結構やばいんじゃ…………ま、いっか!

 約束破るつもりもないし、問題ないない!


 その後、セシリア様に一通り畑のお世話の仕方を教えてもらいました。

 私に直接いただけたプレゼントのようで、責任者も私です。

 なので今日からはこの畑のお世話をするのが私の仕事になりました。


 しかも地の女神様直々に耕されたこの土地は一種の神域みたいになっているらしく、土の状態がすごく良いらしい。ちょっとやそっとじゃ病気とかにもならないし腐ったりもしないんだって。神様すごーい!

 そしてもろもろ教え終わったセシリア様は、そのままルンルン気分で天界に帰っていかれました。


 その場に残された冥界ズな私達三人。

 フェルトス様はまだやることがあるらしく、一度地面に降ろされた私はフェルトス様の許可を貰って畑に近付く。

 暇なんだろうか、ガルラさんも一緒に来たよ。


「上手に育てられるかなー」

「メイなら大丈夫だろ。オレも楽しみにしてるからな!」

「あい! お任せくだしゃいな!」

「おぅ、任せた!」


 そういえばここは獣害とかは大丈夫なんでしょうかね?

 それにこの間町に行ったときに見た動物みたいなのとかが来たりとかしないかな?


「ガルラしゃん。ここって柵とかちゅくらなくても大丈夫なんでしゅかね?」

「柵? なんでだ?」

「動物とか来たりしないのかなーって」

「あぁ、なるほど。大丈夫大丈夫。そのために今フェルが獣避けやらなんやらの結界張ってるから」

「はぇ?」


 フェルトス様のやることってそれですか。なるほど。なら安心かな?


「でも、一応一人でココに来るのは禁止な」

「え。じゃあどうしゅるんでしゅか? フェルしゃまもガーラしゃんもお仕事あるのに」

「大丈夫大丈夫。そのへんもちゃんと考えてるから」

「そっかー!」

「そうよー! お兄ちゃんもいろいろ考えてるのよー」

「ありあとー、にーちゃ!」

「おぅ。どういたしまして」

「にゃー!」


 ガルラさんに頭をぐりぐり撫でられて、頭がボサボサになりましたが許しましょう。

 今の私は気分が良いので!


 とりあえずフェルトス様が戻ってくる前にお水をあげようかな!

神様の畑なので時期とか気温とかその土地の気候とかも関係ないのです。

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