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31 空を自由に飛びたいなぁ

2024/7/21追記

わああ!誤字報告ありがとうございます!まったく気付いていませんでした…感謝します!

 お昼ご飯に持ってきていた簡単なサンドイッチをガルラさんと一緒に食べました。

 周りは暗いし、景色も良くはないけど、二人で美味しいねって笑いあいながら食べれたしなんだかピクニックみたいで楽しかったよ。


 でも途中でフェルトス様が合流してきちゃって大変だった。

 フェルトス様も食べたいって言ってきたんだけど、もうほぼ残ってなかったから私の分の残りをほぼ全部差し出すことで納得してもらった。

 しかも食べたらすぐにどっか行っちゃったし……ご飯だけ食べに来ただけですか……良いですけど今度から最初に言っといてもらって良いですかね?

 フェルトス様のしょんぼり顔を見るのは好きじゃないんです。だって可哀想になってくるんだもん! 罪悪感が込み上げてくる!


 それにしても初めて町に行ったあの日に買ってきた食材がもうほぼ底をついてきてるので、そろそろ本気で町へ買い出しに行きたいところです。


「よっしゃ。そろそろ訓練再開といくか!」

「ぱちぱちぱち」


 待ってました!

 全力でガルラさんに拍手を送ります。今度は何を教えてくれるんですか?


「次の訓練は何をするかというとぉ……ダララララララララ」

「どきどき」


 何するんですか? わくわくどきどき胸が高まりますね!


「ジャン! モノを浮かせる魔法を教えまーっす!」

「きゃあああああああ!」

「テンション爆上がりじゃねーか! よっし、その調子でさっそくいくぞ!」

「あいあいしゃー!」


 ビシッと敬礼を返します。なんだか変なテンションになってきちゃった。

 でも仕方ないよね。モノを浮かせるとかやってみたいじゃん!


「ここで使うのは杖だから、自分の杖を出してくださーい」

「あーい」


 家を出る前にガルラさんに言われたのでちゃんと持ってきてますよ。ここで使うんですね!

 置いておいたカバンのところに行き、杖を取り出す。


「うんしょ、うんしょ」

「コケるなよー」

「あい」


 引きずっても良いのかもしれないけど、せっかく綺麗で可愛い杖貰ったんだからあんまり傷付けたくないのよね。

 なので大事に運びます。


「持ってきまちた!」

「はい、良くできました。んじゃ杖を地面に置いてくださいねー」

「あい」


 言われたとおり杖を地面に置く。

 それにしてもガルラさんはいちいち褒めてくれるなぁ。褒めてのばすタイプでしょうかね。

 私は怒られたりするの苦手だから、ガルラさんの方針はとってもありがたい。


「はい。それじゃその杖の上に手をかざしてー」

「あい」

「難しいことは考えず、とにかく『浮けー』って念じてみましょう!」

「あ、あい」


 雑!? 急に雑ですねガルラさん。

 とにかく言われたとおり念じてみる。浮けー。浮けー。


「浮いちゃー!?」

「良くできました。ぱちぱちぱち」


 すんなりと浮きました。杖がふわふわ空中に浮かんでいます。

 そっとかざしてた手を退けてみても杖はそのまま浮いてる。

 杖の上下の空間で手をスイスイっと動かしてみるけど、糸も何もありません。正真正銘浮いてます。


「ふぉおおおお!」

「あはははは、目がキラキラしてるなぁメイ」

「だって浮いちぇましゅよ! しゅごーい!」

「浮いただけでそこまで喜べるのもすごいな。ま、いいけど。ほら、メイ。次行くぞー」

「あい! ……あっ」


 ガルラさんへ返事をした途端に杖が地面に落下しました。

 糸が切れたようにボトンって。傷付いちゃったかな……やっちゃった。


「集中切らすからだぞー。気を付けろー」

「あい……」


 次のことに意識がいったせいかな。浮かせたままって難しい。


「慣れてくれば無意識でも浮かせたままにできるから、こればっかりは練習あるのみだな」

「あーい、頑張りまっしゅ!」

「いいお返事ですね。ではもう一度浮かせてください」


 ガルラさんの指示に従ってもう一度杖を浮かせた。

 今度はちゃんと杖を意識しつつ、ガルラさんの言葉にも耳を傾け……え、むずかし……。


「次は浮かせた杖を動かす練習な。とりあえず好きにやってみ」

「えー?」


 ついにやり方すら言わなくなったガルラさん。もしかしてめんどくさくなってきてます?

 でもまぁ今までの訓練から察するにイメージが大事なのはわかってるから、今回もイメージだよな。


 とりあえずもっと上に動かしてみよう。うわ……できちゃった。意外と簡単だな。

 じゃあ次は元の位置に戻す。よしよし。次は寝てる杖を立ててみよう。よーしそれじゃあ次は杖をぐるぐる回してみよー! やだ、楽しくなってきた!

 よーし、次はー――


「はいはいはいストーップ。もういいです終了ー。操作も問題なさそうだな。魔力の動きも安定してるし、使い始めたばっかなのに凄いぞーメイ」

「もうちょっとあしょびたい……」

「それはこれが終わったあとでやろうなー。とりあえず今は次いくぞー」

「あーい」


 それもそうですね。次はなんでしょうか。


「次は浮かせた杖に乗って空を飛んでみましょうね」

「しょらを!? とぶっ!?」


 この杖でですか! 飛びたい!


「メイはまだ翼もねぇし歩くのも遅いから、これができるようになったら移動が楽になるぞ」

「おぉー!」


 たしかに、飛んで移動できるなら移動範囲かなり広がるもんね。

 一人で町までいけちゃったりするんじゃない! あ、道わかんないや。

 でも空を飛ぶんなら杖より魔法の箒の方がイメージは強い。ラドスティさんのお店にあったのも箒だったし。

 箒じゃなくても飛べるんですかね。


「ところでガーラしゃん。なんで杖なんでしゅ? 箒じゃないんでしゅか?」

「ん? 別に箒でもいいけどここにはないからなぁ。というか別に箒に拘らなくても乗れるならなんでもいけるぞ。飛ばすのと操るのは自分なんだから」

「なりゅほどー」


 言われてみればそうだ。

 別に箒自体に飛行能力があるわけじゃないもんな。

 でもそれじゃあ何で箒の形で売ってたんだろうか……ロマンかな?


「メイは箒で空飛びたいのか?」

「憧れはありましゅけど、この杖でもいいでしゅ! というかこの杖で飛びたいでしゅ!」


 だって可愛いもんこの杖。フェルトス様に貰ったやつだし!

 それに、杖で戦ったり、その杖に乗って移動したりとかカッコいいと思いませんか!? スタイリッシュじゃないですか! スタイリッシュメイちゃんです。

 今のところ私が何かと戦う予定ありませんが、想像するだけなら自由ですもんね。


 それに気分転換で箒に乗ってもいいし、どうせなら魔法のじゅうたんとかもいいよねー。夢が広がるなぁ。


「そっか。なら杖で飛ぶぞぉ。最初は危ないから低い位置でな。とりあえず杖に乗ってみろ」

「あーい」


 どうやって乗ろうか考えた末、とりあえず横向きに座るような形で乗ることにした。

 跨ぐと痛そうだもん。どこがとは言わないけど。


 でもそうすると乗るまでに杖が持ちにくいんだよなぁ。

 地面に置いたまま座ってから浮かせるのもいいかもだけど、それはなんかイメージじゃない。


 というわけで、私が考えた策はコレです。ででん。先に浮かせた杖に座る! そのまんまですね。

 ……なんか私もガルラさんみたいなリアクションになってきてないか?


 気を取り直して杖に座ります。


「うわわっ」

「落ちないように気を付けろよー」


 ガルラさんの忠告を聞きつつバランスを取る。

 なんだかんだいいつつこれは杖だし、乗る場所的な椅子がついてるなんてこともないからバランスを取るのが難しい。

 落ちても痛くないようにひっくい位置に浮いてるけど、やっぱちょっと怖い!


「うきゃっ!」

「おっと。大丈夫かメイ」

「ありあと、ガーラしゃん」


 そんなことを考えてたら落ちました。

 近くでスタンバっててくれたガルラさんのおかげで地面に激突は避けましたが、頭から落ちましたよ。

 こ、怖すぎる……。


 その後も何度かチャレンジしてみたけど、バランスを取るのが難しすぎて落ちまくった。

 毎回ガルラさんがキャッチしてくれてる安心感から何度もチャレンジできるけど、これ地面に落ちまくってたら途中でやめてる可能性ある。

 痛いの嫌いなんです。


「うーん」

「…………どうする? 今日はもうやめるかぁ?」

「まだやりましゅ! ガーラしゃんもちゅきあってくだしゃい!」

「ナイス根性! メイが満足するまで付き合ってやるのは吝かではないぞー。でもなぁこのままじゃいつまで経っても乗れねぇんじゃねーかなぁ。乗れたとしても飛べねぇだろうなぁ」

「ふぇ?」


 どういう意味ですかね?

 不思議に思いガルラさんの顔を見上げるけど、にっこり笑ってるだけでそれ以上は何も言わなかった。


 もしかしてやり方間違ってる?

 というか普通に乗ろうとしてもダメってことだよね?

 ……乗るものはなんでもいいって言ってたし、つまりそれは乗れればどんな形や大きさでもいいってことでしょ。極端に言えば小さな石ころだとしても、その上に乗れさえすればいけちゃうんだよね。私でも。

 つまりそれはバランス感覚がなくても大丈夫ってこと? でもそれじゃあどうやって?


 うんうん唸りながら考えていると、突然頭に閃いたことがある。


「あっ」


 なんとなくわかったぞ。

 さっそく試してみようと、私は杖を手に取り座る。


「よーっし。いっくぞー……」


 ゆっくりゆっくり上昇する。そしてそのままガルラさんの腰辺りまで浮かび上がることに成功しました!

 もちろん体は安定してますし、落ちる気配もございません!


「やったぁ!」

「良くできました。ちゃんと自分で考えて答えを出せて偉いぞーメイ」

「えへへへへー。もっと褒めてくだしゃ」

「素直かよこのこのー。可愛い奴め! オレの妹は天才かー?」

「にゃははははは」


 ガルラさんからの頭撫で回しを素直に受けながら、乗れた嬉しさで顔がとろける。


 私が何をしたのかというと、至極簡単なこと。

 自分の体に巡ってる魔力をコントロールして、落ちないように支えにしたのだ。

 もっというと、杖のときみたいに魔力を流して少しだけ自分の体を浮かせる……的な? 本当に浮かせてるわけじゃないから説明が難しいんだけど。

 杖を自由に動かしたときみたいに、自分の体を落ちないよう操ってるの。まぁそんな感じ?


 とにかく乗ることに成功した私は、そのあと帰るまでは飛ぶ練習をしましたよ。


 これが意外と難しい。

 杖を浮かせることも、自分の体を支えることも、どっちもまだまだちゃんと意識しないとすぐに落っこちちゃう。

 浮いてるだけなら平気だけど、動きが加わるとまた力加減が難しい。


 でもずっと練習したおかげでコツも掴めてきたし、ゆっくりなら飛び回れるくらいには成長しました。

 ガルラさんも今日一日でここまでできるようになるとは思ってなかったらしく驚いてましたよ。へへっ。


 でも調子に乗った罰なんでしょうね。帰る頃にはヘロヘロになっちゃいました。

 ガルラさんも止めてくれたらよかったのに、見てるだけなんだもん。曰く、自分で限界を察知できるようにだって。なら仕方ないね。

 倒れはしなかったけど、ヘロヘロになっちゃったせいで動けなくなった私は情けなくもガルラさんに抱っこしてもらっての帰宅。


 晩御飯はフェルトス様の血をご飯にして、さっさと寝ることに。

 フェルトス様とガルラさんが話してる声を子守唄に意識が遠のいていきました。

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