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1980年松本スケッチ ~元・信大生の追懐録~  作者: こまくさ
第1章 1980年松本スケッチ
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バイク(3) ~ヘルメット購入~

中型二輪への道~その3~

 

 8月初旬、中型二輪免許の教習も順調に最終段階に進み、バイト収入を含めたバイク貯金も15万円ほどになった。

 教習所の卒業検定が近くなると、次第に気持ちが盛り上がり、行動が先走ってくる。

   ――合格したらいよいよバイクを買うぞ。

   ――ヘルメットくらいは先に買っておこう。

   ――せっかくだから卒業検定はそのヘルメットで臨もう。

という脳内の展開で、貯金から1万円ほどを握りしめて、多くの信大生ライダーがお世話になっている“モトショップ ハマ”に向かった。



 “モトショップ ハマ”は、大学のこまくさ寮のほぼ向かい側にある。

 ブルーを基調にした看板に、ホンダの特約店の証のウイングエンブレムが描かれている。


 少し前から店に出入りしてグッズ等を物色していたので、ヘルメットも目星はつけてある。

 あとはサイズが合うかどうか。実は鉢回りが大きい方なのだ。

 教習に借りているヘルメットもキツキツだったのだが、お古とはいえ、お借りしている以上文句は言えなかった。

 

 予算に収まる中で、気になっていたのはArai製のフルフェイス。

 今までは見てるだけだったので意気揚々と試着してみたところ、サイズがキツい上に、フルフェイスなのに顎の先がはみ出す。ダメだこりゃ!

 そのモデルの在庫の中では一番大きいもので、もう1サイズ大きいものは取り寄せしても納期が分からないと言われた。

 仕方なしに、店頭に並んでいる中から選び直すことにした。

 半ば消沈しつつ物色していると、店の奥からNolan製のフルフェイスを持ってきてくれた。


 かぶらせてもらうと、なんとジャストサイズ。顎も出ない。

 黒色で、前面の開口部は大きい。シールドは厚くカッチリしていて、閉じた状態や全開の状態でコキッとクリックロックされるのでカパカパしない。

 また、シールドを1cmくらい開けた状態でコキッと止まるベンチレーション機構が気に入った。


 後頭部に2mm×20mmほどの擦り傷がついていた。

 落としたり、衝撃があったわけではなく、棚から出し入れするときにこすってしまったらしいが、メーカー名のステッカーがあるのでそんなに目立つ傷ではない。


 正規には売れないけど、安くするからどうだろう、という提案だった。

 随分前から赤札をつけて展示していたが、サイズが大きいので、興味を持つ人がいても、買ってもらえなかったらしい。


 どのみち使い始めたらすぐに傷もつくだろうし、定価の半額に近い値段まで値下げしてもらったので、即決。いつもニコニコ現金払い。



 その後、お店からバイク本体について、希望の車種や、予算や、ローンの可否など、あれこれとアプローチを受けた。 

 問われたものの、いずれの項目にも明確に答えられる状態ではなかったが、どのバイクを買うかを具体的に考えるきっかけにはなった。



 ヘルメットはすぐに使うわけではないので、箱に入れてもらって自転車のかごに括り付け、自慢しようとサークルBOXに立ち寄った。

 「おー凄いなぁ」「免許まだなのにもう買ったのか」などと囃し立てられ、いい気になっていたら、デリカシーのない先輩が、新品のシールドの保護フィルムをはがしてしまった。


いよいよバイク購入かと思いきや…

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