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抵抗する

MKTのキル数はすでに12。対して今女はいまだに0キル。すでに大差をつけたMKTだが、そこからさらに優位を盤石(ばんじゃく)にするべく中立モンスター、マーキスを狩りに行く。今女はそれを察知(さっち)しつつも、防ぎに行く余裕すらなかった。


Vhan:《ありゃー、こりゃ圧勝だなぁ》

Matu:《あとは大きなミスをしないことだな》

Theodore:《我らに限り、その心配はあるまい…》

Zerosu:《それはどうかなTheodore(シアドア)

Theodore:《それはどういう意味だ?…コーチ》

Azam:《…華湖…》


「もう少し、チームメイトと喋ってくれないかい?」このようなことをZerosu(ゼロス)は何度も笑空に対し要請(ようせい)していた。その返事はつねに「…わかりました…」なのだが、結局リーグ戦が終わるまで、笑空の態度は変わることがなかった。笑空は最低限しか口をひらかず、ゲーム中はまだしも私生活でもそれは同じだった。無駄話や世間話は一切しない。

「やれやれ、腕は間違いなく世界レベルなんだが…」それはZerosuだけでなく、チームが共有する問題であった。そんな彼女が珍しく声を出したので、メンバーは(おどろ)いた。


Tama:《華湖?それってあのサリーだよね?》

Azam:《…サリーは…キルされて…いない…》

Zerosu:《うむ。僕が言いたかったのもまさにそれだ》

Theodore:《それは我とTama(たま)の責任ということか…?》

Zerosu:《いいや、責任とかそういうことじゃないよ。だが、ここまで君たちのコンビでキルを取れなかったことなんて、リーグ戦でもなかっただろ?》


華湖、栞子と同じポジションであるTheodoreとTamaが主に彼女たちの相手をしていたのだが、確かに華湖からキルを奪えていなかった。だが、ルートを押せていたし結果フォートレスもすべて落としていたため、さほど気にしてはいなかったのだ。


Tama:《何度も狙ってるんだけどね。あのサリー、めちゃくちゃかわすんだよ》

Theodore:《逃げる技術に関しては我も認めよう…だがそれでは勝てまい…?》


Theodoreの言うことはもっともだった。逃げていて勝てるなら逃げ回っていれば良い。だがそれではフォートレスを守ることはできない。


Azam:《…サリーは…成長してる…》

Zerosu:《そう。ここまで20分経過、その間生き続けている。この意味がわかるだろ?》


サリーはキルされない限り攻撃力が上がっていく。これこそがこのカリスマの恐ろしい能力だったが、しかし体力や防御力は最低レベルであり、普通のプレイヤーであればそこまで生き残ることはできない。


Matu:《確かにそうだな。とは言え、こちらがやることは変わらんだろ》

Theodore:《うむ。するべきことは決まっている…》

Vhan:《それじゃ、正々堂々、ど真ん中から行きますかぁ!》


ソルジャーはプレイヤーが操作することができないキャラクターである。一定間隔(かんかく)で自動的に発生し、3つのルートそれぞれに別れ、進んでいく。敵がいれば自動攻撃、敵の建物があっても自動で攻撃する。

その発生する間隔をウエーブと呼ぶ。

すでにすべてのルートをクリアにしたMKTは次のウエーブに合わせ、一斉攻撃をかけるつもりだった。そして、そのことは今女も百も承知(しょうち)である。


UsagiPaisen:《次のウエーブでくるぴょん!》

Ikky:《んなのわかってんよー!どうすんだよ?》

KANKO:《腕でも負けてんのに装備でも負けてんだからねぇ。こりゃ絶体絶命ってヤツだぁね》

KAKO:《私がやります!》

ROLU:《どうする気だ?》

KAKO:《栞子先輩!》

KANKO:《わかってる》

KAKO:《みなさんは防衛に(てっ)してください!》

ROLU:《なにかあるんだな?よし、任せるぞ》


センターを進んでくる敵を察知し、今女も覚悟を決める。

だがまず単独で仕掛けて来たのはAzamだった。壁を越え、飛び込んでそのまま攻撃を加える。


ROLU:《一人できた!(かこ)め!》


これを好機(こうき)と見た楼瑠は、樹、兎咲とともに笑空を包囲(ほうい)する。さすがの笑空も3人に囲まれてはひとたまりもない。だが、笑空は相手と位置を入れ替えるというスキルを使い、簡単に脱出してみせる。


Ikky:《うお?!マジか!?》

UsagiPaisen:《あれが新カリスマ、ギアナのスキルぴょん!》


気づけば本隊もすぐそこにせまっていた。笑空を吸収した本隊、そのやや後方にサポートTamaという陣形(陣形)だ。

先程、笑空から手痛い先制攻撃を食らってしまっていた楼瑠に攻撃が集中する。


ROLU:《スマン!もたない!》


楼瑠が倒れるその瞬間だった。栞子がテレポートのスキルを使い、本陣とTamaの間に突如(とつじょ)として出現(しゅつげん)する。そのまま一定時間行動不能にするスキルでTamaをその場に(しば)り付ける。


KANKO:《華湖!今だ!》


それを待っていたのが華湖の操るサリーである。

攻撃対象はTamaではない。攻撃に(ひい)でるが防御には難のあるカリスマを使うアタッカーのTheodoreだ。Theodoreが攻撃されれば、サポートであるTamaが必ず助けに入る。その動きは一流のものであり、自由に動かれてはいくら攻撃力の高いサリーと言えども攻撃が成功する可能性は低いと言えた。

そのため栞子は先にTamaの動きを(ふう)じたのだった。


Theodore:《な!狙いは我か!?》


ここまで生き残ったサリーの攻撃力は全カリスマ中最高である。Theodoreは逃げる間すらなかった。

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