専用ルームへ行く
KAKO:《わぁー!》
ROLU:《おおー!》
KANKO:《うひゃー!》
Ikky:《やば!》
UsagiPaisen:《広いぴょん!》
それぞれが驚きや感嘆の声を漏らす。
招待を受け、やってきたのはMKTのチーム専用ルームだ。ライブ会場程度の広さはあるだろうか。個人であればこれほどの広さのルームを持つことはできないが、ある一定の基準を満たしたプロチームであれば、このような専用ルームを与えられるのだ。普通はチーム関係者か、ファンミーティングなどのイベントでチケットを買うなどしなければ入ることはできない。
Ikky:《あれ見てみ!BJLの優勝トロフィーだ!》
KAKO:《ホントだ!他の大会のもありますよ!》
ルームの一角にはそのようないわばチームの『戦利品』が飾られていた。辺りを見ると壁には歴代の選手の写真が飾ってあったり、ユニフォームなどのチームグッズが置かれていたりしている。
ROLU:《ホラ!見るのは後にしな!挨拶するよ!》
辺りをキョロキョロと見ていた一行は、楼瑠に一喝されてしまう。スタスタと奥へいく彼女についていくと、ソファーに腰掛けるMKTメンバーと思われるアバターたちの姿があった。
ROLU:《本日はよろしくお願いします!》
楼瑠が人間サイズの青い翼竜に向かって深々と頭を下げた。華湖たち他のメンバーもそれに倣う。
Zerosu:《みんな、本人アバターできてくれたんだ?今日はスクリムだから自由でよかったのに。僕ら、こんなアバターでゴメンね》
翼竜が喋った。
(これがキングZerosu!?)
華湖には目の前にいる翼竜がキングであるという確証はなかったが、確かにネームを見るとそう書かれている。
Zerosu:《みんなにも紹介しよう。こっちがウチのメンバー。みんな、こちらはAzamさんの後輩の今女の方々》
Vhan:《よろしくぅ!Azamの後輩かぁーカワイイなぁ》
Tama:《変な気起こすんじゃねーぞ》
Matu:《すまんな、君たち。気にしないでくれ》
ROLU:《いえ!とんでもないです!》
軽い口調のVhanはアッパーの選手で、冒険者風の革鎧にマントというアバターだ。Tamaはサポートで2足歩行の猫のようなアバター。Matuはスカウトで最年長、神父のようなアバターを使っている。そして、何も喋らず佇んでいる西洋甲冑のTheodoreはアタッカーだ。
ROLU:《みなさん、RPGっぽいアバターですね?》
Vhan:《分かるぅ?さっきまでダンジョン行ってたのよ。みんなはやってないの?》
Ikky:《樹やります。そのTheodoreさんの鎧、『プレートメイル』ッスよね?》
それを聞いたTheodoreはピクリと反応した。
Theodore:《わかるか…?》
Ikky:《ハイ!レベルはいくつッスか?》
Theodore:《これは80だ…》
Ikky:《おお!スゲー!》
Theodore:《フフ…しかし、おどろくのはそこじゃない。コイツには全属性耐性が付いてるんだ》
Ikky:《えええ!めっちゃレアじゃないッスかぁ!》
Theodore:《フフ…》
Ikky:《樹も1万も課金したのに引かなかったんスよー》
Theodore:《甘いな…その程度では出ないぞ》
何やらレアアイテムらしいのだが、BoC以外はまるで素人の華湖には何を言っているのかサッパリだった。というか、この二人だけが妙に盛り上がっていた。
Zerosu:《ほらほら。そんな別ゲーの話はあとにしてくれよ?》
Ikky:《スンマセン!》
Theodore:《フ…この続きはまたあとでしようじゃないか。フレ申請しとくからな》
Ikky:《えー!良いんスか!?》
(なにか意気投合したみたいだけど…でもMKTメンバーと知り合いになれるならRPGもやっとこうかなー)
華湖は別ゲーをやる金銭的、そして時間的な余裕も無かったのだが、そういうことなら試してみようかという気になっていた。
そして、そんなファンタジーなアバターだらけの中、チームTシャツに黒いパンツというなんとも簡素なアバターを使っていて逆に目立っていたのが笑空だった。
Azam:《みんな…久しぶり…》
RORU:《久しぶり。元気だった?》
顔は本人アバターだったが、さすがに今女の制服スキンは使わないようだ。
Zerosu:《そうそう。今日は僕はコーチだから。出るのはAzamなんでね、よろしく!》
ROLU:《承知しました。よろしくな、笑空》
笑空は無言でコクリと頷く。
久々だというのにあまりに簡単な挨拶だったが、なにかこの二人にしか通じない空気のようなものを華湖は感じていた。
Zerosu:《それと、こっそりとみんなが使うカリスマを教えてくれるかな?》
ROLU:《え?それは…》
Zerosu:《いやいや、変な意味じゃないよ。それを使って欲しいんだ。君たちの全力がみたいんでね。こっちは好きなのをバンしてくれてかまわない。大丈夫、奴らには言わないよ。どれをバンするかはコーチの僕が指示するから》
ROLU:《そういうことですね。わかりました》
ちょっとしたハンデ、というところだろうか。何を使ってこようと問題ないという自信だろうか。なんにせよ楼瑠にはその提案を断る理由はなかった。これで自分たちの全力が日本のトップにどれだけ通じるのか分かるはずだ。
Zerosu:《それではさっそくロビーを作るからね。準備ができしだい、入ってきてね》




