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デビュー戦を観戦する

Ikky:《笑空パイセンのポジションってどこなんスかね?》

ROLU:《それなんだけど、やっぱセンターらしい》

Ikky:《ヒュー!さすがッスねぇ!》


今日、Destinationメンバーたちは楼瑠のルームに集まっていた。目的は、笑空のデビュー戦の観戦である。

笑空の所属するチームMKTは、日本のBoCのプロリーグである『Battle of Charismata Japan League』(BJL)に参加していた。日本のプロシーンでは最高峰のリーグであり、優勝チームは世界大会の切符を手に入れることができた。

日本のプロは皆、チームに所属し、BJLに参加、優勝して世界大会へ出場することを目指しているのだ。


今、BJLは8月から始まる後期リーグの真っ只中だった。週1度の対戦を12月まで、計12回の対戦を行う。これから始まるのはそのWeek7の試合だった。

参加チームは8チーム。現在、目下リーグでトップを走るチームMKT。

対戦相手もここまで勝ち越しており、十分トップ圏内にいるチームである。この試合を落としたとしてもまだ余裕はあるが、トップ圏内の相手に勝たせてしまえば、逆転のチャンスを与えることになる。相手も決して弱くはない。そんな大事な一戦でのデビューとなった。


KANKO:《しっかし、デビューは来年かと思ってたけど、早かったねぇ》

KAKO:《そうですよね。まさかこんなリーグの途中から参加するとは、私も思ってませんでした》

ROLU:《それだけ、実力を買われたってことだろうな》

Ikky:《マジ待ちきれないッスねぇ!ところで、兎咲ちゃんさぁ。なんでそのアバターなの?》


兎咲は大きな2足歩行の兎のキャラクターのアバターを使っていた。色はショッキングピンクで見ていると目が痛くなる。


UsagiPaisen:《ん?今日は本人アバターだったかぴょん?》

ROLU:《いや、観戦だからなんでもいいよ》

Ikky:《いやぁそうは言ってもッスよ。この渋いルームに合わないっしょ?》


楼瑠のルームには大型のモニターが設置されており、ここに配信画面を写して観戦している。わざわざVRを通してみることもないのだが、せっかくならみんなで集まって見よう、ということになったのだった。

もちろん、現実で集まっても良いのだが、試合が夜7時からだったので、高校生である彼女たちには、それは難しかったのである。


ROLU:《そんなもん、気にしないっつの》

KAKO:《あはは…それにしても、センターってことはあのZerosu選手とスイッチってことでしょ?凄くないですか?》

Ikky:《キングZerosuの代わりってすげーッスね!》

ROLU:《どうかね?単に何か問題があっただけかもしれないけどね》

Ikky:《またまたぁ!笑空パイセンが出るって聞いた時、一番喜んでたくせにぃ!》

ROLU:《ちょ!そ、そりゃ嬉しいでしょ!》

KANKO:《ま、友達が出るんだし喜ぶのはまぁ当然だぜ》


笑空はZerosuという選手と交代で出場することになっている。

Zerosuとは日本最高のセンターとして知られており、その高い実力からついた通称は『キング』。まさに、日本BoC界を代表するプレイヤーだったのだ。MKTではチームキャプテンも努める人格者でもある。


KAKO:《お二人は同級生ですもんねぇ。一年生の頃の笑空先輩って、どんな感じだったんですか?》

ROLU:《いや、今とまったく一緒》

KANKO:《だねぇ。当時からあんな感じだったねぇ》

Ikky:《あんなんで当時の先輩たちと上手くやれてたんッスか?》

ROLU:《いや、笑空もさすがにお前には言われたくないと思うが…》

KANKO:《嫌う人もいたらしいけど、実力でねじ伏せたって感じだったぜ》

Ikky:《うおーーー!かけっえぇ!!》


樹はテンションが上りすぎ、飛び跳ねるエモートを連発している。

しかし、内心では華湖も同じ気持ちだった。


KAKO:《そう言えば…なんで笑空先輩のプレイヤーネームってAzamっていうんですか?》

ROLU:《なんだっけ?聞いたことある気がしたけど…》

KANKO:《確か、憧れのプレイヤーがなんとか言ってたような?》

ROLU:《元々あんまり語らないタイプだったからねぇ》

KAKO:《それは…分かる気がします》

ROLU:《ま、またどっかで話せることもあるだろ。そんときに聞こう》

KAKO:《ハイ!》


憧れのプレイヤー。

笑空ほどのプレイヤーでも憧れる相手がいるということか。華湖は予想してみたが、恐らく海外のトッププレイヤーだろう。彼女はあまり海外事情には詳しくなかったので、あとで調べてみようと思った。


KAKO:《ところで、笑空先輩は何をつかいますかね?》

ROLU:《それは分からんなぁ。なんせ、何でもできるからな》

KANKO:《相手に合わせて変えるってことができるんでねぇ。そこが強いんだよねぇ》

ROLU:《Zerosu選手もうそうだしな。だから交代が務まるんだろうけど》

KAKO:《なるほどー》


しかし、二人は口に出さなかったが、それは高校生レベルでの話である。それがプロ相手にどこまで通用するのか?それは二人にとっても未知のことだった。


《さぁ、まずは両チーム、何をピックするのでしょうか?》


試合はすでにPick & Banの段階に入っていた。ここでどういう構成にでるかでお互いの作戦がある程度わかる。


ROLU:《おっいよいよ笑空だねぇ》

Ikky:《どれを選ぶんッスかねぇ》


《おっと、これはAzam選手、意外なピックですね…これはどういう意図なんでしょうか?》


ROLU:《え?》

KANKO:《ふぁ?》

Ikky:《は?》

KAKO:《え…?》


笑空の選んだカリスマに、一同は驚きと疑問が混ざった声を上げた。

それは完全に彼女たちの想定外の選択だったからだ。

笑空が選んだカリスマは、サリーだった。

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