表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/166

初戦がんばろう

「なんだあれ?」「こわっ」「なに??儀式かなんか?」


客席からは様々な反応が聴こえてくる。その光景はあまりに異様だった。ヨチヨチと手を前に出して歩いているさまはまるでゾンビのようだったし、頭には黒い布を被せられているのだ。

怖いという声が上がるのもいたしかたない。


「な、なんか変な空気になっちゃってるねぇ」楼瑠も前代未聞の入場に、あとで叱られやしないかと不安になる。

「しょうがないぴょん」

「よし兎咲、ごめんだけど、そこのVRゴーグル取ってくれる?」


席に着く用意ができると、楼瑠は華湖の肩を2回、トントンと叩く。これから布を取ってVRゴーグルを装着するぞ、というあらかじめ決めておいた合図だ。

布の中で、華湖はギュッと目を瞑る。ここで視界に客席が入ってしまったら意味がない。

布を剥ぎ取られるのが感覚でわかったが、それも一瞬、すぐにVRゴーグルを被せられた。こうなればもう、目は開けて大丈夫だ。

続いて耳栓。隙間から指を入れ、うまく外すと、早速ボイスチャットが飛んできた。


ROLU:《どうだ華湖?》

KAKO:《大丈夫です!いけます!》


華湖は少し操作をしてみて、手に震えがないことを確認した。大会ということもあり、心拍数は普段より上昇していたが、それも心地よい緊張感であった。

実に原始的な作戦だったが、効果はあったようだ。


ROLU:《大丈夫だな?よし!作戦通りいくぞ!》

KANKO:《がってん承知の助!》


BAN & PICKは予定通りにこと(・・)が進んだ。華湖は先程と同じくリンを使う。サリーがBANされたからだ。


ROLU:《どうやら調べてきてるようだね》

KAKO:《はい。でも想定してましたし》

KANKO:《いっちょサリーだけじゃないってとこ、見せてやんな!》

KAKO:《ハイ!》


《さぁついにこの時がやってきました!泣いても笑っても、これに勝ったほうが高校生日本一のチームです!》


ゲーム序盤。

今女はちょっとした奇襲を仕掛けた。それは事前の作戦会議での栞子の発案だった。



「スカウトがね。単独でここに来ることが多いんだ」


栞子がディスプレイに表示された全体マップの一点を指して言った。

場所はウィルダネスのやや自軍寄り、といった位置だ。


「ここで待ち伏せして叩くってのはどう?」

「ほう?やってみるか?」

「華湖とアタイ。あと兎咲も協力して」

「わかったぴょん」



そんな相手スカウトの動きの癖を利用した作戦。

そのポイントには隠れられる草むら(ブッシュ)があり、そこへ3人は身を潜めていた。

相手がこちらの視界に入っても、相手からは見えない。それを利用し、一気に取り囲む作戦だ。

やがて、予定通りスカウトのプレイヤーが移動してくるのが見えた。


KANKO:《来たぞ!》

KAKO:《ハイ!》

UsagiPaisen:《行くぴょん!》


兎咲の合図に従い、3人が一斉に襲いかかる。突如として現れた敵に相手スカウトは一瞬怯んだ。

相手は攻撃を受けてしまうが、人数的不利を理解し反撃を諦め逃げの一手にでる。瞬間移動スキルを使い一気に距離を空ける。

だが、そこへ栞子の使用するカリスマ、『アルゴノート』の持つスキルが飛ぶ。


KANKO:《逃がすか!》


そのスキルは(もり)を飛ばし突き刺した相手を引き寄せつつつ、自分も寄っていくという効果がある。

そこへ兎咲も飛び込み、華湖は遠くからリンの通常攻撃であるビームを的確に当てる。


《ファーストキル》


見事、作戦が成功したことを知らせるゲーム内アナウンスが流がれ、場内にも歓声が起きる。

BoCではキルされても、時間が経てば復帰(リスポーン)できる。

レベル1ではでリスポーンするまでの時間は7秒。レベルの上昇と共に時間は伸びていき、終盤ともなると1分近くにまでなる。したがって、この時点では大した時間の有利は取れない。

だが、ファーストキルによってボーナスのゴールドが手に入る。この差が後々響いてくる。


KAKO:《やりました!!》

ROLU:《ナイス!》

KANKO:《ノッて来やがったぜぇ!》


だが、この試合。最も輝きを放ったのは笑空であった。


《Flow選手がまたしても止められるぅ!Azam選手、圧倒的だぁ!》


相手のエースFlowを手玉に取る。Flowを軸としていたP高にとって、これは痛恨の極みだった。

笑空の得意技は、端的に言えば『嫌がらせ』だ。

相手がソルジャーのトドメを刺そうとするところを的確に狙う。トドメを刺しそこねたばかりか、ダメージを受けた相手はリスク回避のため下がるしかない。

その間、笑空は悠々と相手のソルジャーを倒していく。これを繰り返し、徐々にだが確実に差をつけていく。


さらに、笑空には戦局を見る視界の広さと判断の正確さがあった。

他のルートが押していると見れば、即座に加勢に入る。

これに関しては兎咲もかなりのものだった。あまり指示を出すことはない笑空だったが、2人は阿吽の呼吸で合わせていく。

P高は全面的に押され始めた。


試合開始20分過ぎ、ついに今女はP高のバラックを破壊。

最終目標であるキャッスルにダメージを与えるためには、計3つあるバラックのどれかを破壊する必要があった。

3つのルートの終着点の様に、キャッスルから見て放射状に配置されている。その中央の1つを破壊した。キャッスルの前には最終防衛ラインとなるフォートレスが2つ設置されている。条件が整った今女はそのまま攻め入りそのフォートレスに打撃を与える。だが、P高も黙って見ているわけではない。

ここで両チーム全員が揃った集団戦となる。


ここまで押してきた今女は、カリスマの育ち(・・)で差をつけている。だが2つのフォートレスからの攻撃は強力である。ほぼ互角の当たり合いになった。

だが、集結した『敵の塊』に対し、笑空のウルトが容赦なく突き刺さる。

超火力の特大ビームのそれは、敵の僅かに残っていた体力を奪い去る。


《今女Azam選手オールキル!そのまま勝利を掴みに行く!》


ここでのオールキルはP高にとって致命傷だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ