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Feer:あれ?今日はサポートじゃないんだ?


「あ、Feerさん!いつも一番乗りですね!ありがとうございます。今日は、得意なのやりますよ!」


Feer:へー、ってまさかサリー使うの?


「ハイ!そうです!」


Samurai_ME:おーKAKOどのはサリーが得意でござったか


「あ、Samurai_Mさんだ。おはようございます。そうそう一番得意なのがサリーなんです」


Samurai_ME:知らなかったでござるよ


(コメント拾うの、ちょっと上手くなってきたなぁ)

配信は、回を重ねるごとに少しずつ常連が付きはじめ、常時10人程度がくるようになっていた。視聴者とのやり取りにも慣れてきたことを実感して、華湖はちょっと顔をほころばせた。


「べつに隠してたってわけじゃないんです。一緒にやってる友達との兼ね合いでして」


Samurai_ME:ご友人に合わせたでござるか?


「そそ、そうなんです。だけど、相談して、自分が一番得意なのをやることにしました」


Feer:それは良かったね


華湖は得意なサリーを使うことと同時に、アッパーでなくアタッカーをやることにしていた。今回の配信はその練習と、玲流以外の、たまたま一緒になった味方とどれだけコミュニケートできるか、というテーマがあった。

華湖のPickが終わったところで、配信ではなくゲーム内でメッセージが飛んできた。


Void:おい、サリーとか嘘だよな?


華湖の心臓が大きくドクッと胸を打った。味方のサポートだ。コンビを組む相手がおかしな選択をしようとしているので文句をいってきたのだ。

いつもはこのようなゲーム内のメッセージは受信しない設定にしていたのだが、チームプレイを学ぶため、今は受け入れるようにしていた。

(言わなきゃ、ちゃんと…)

こうなることは想定内だった。まずは自分の意見をちゃんと言えるかどうか。


KAKO:はい。サリー使います

Void:お前、荒らしか?

KAKO:ちがいます。使わせてください、得意なので

Void:わかった


もっと言い合いになるかと思いきや、相手は案外あっさり引いた。

(なんだ…怖い人かと思ったけど、意外とやさしいじゃん。普段からもっとちゃんと話すんだった)

華湖はそう思った。

以前の彼女なら、謝ってすぐに変えていただろう。心臓はまだバクバクいっていたけれど。


今までの配信は練習ということもあってカジュアルマッチだったのだが、今回は真剣勝負のランクマッチだった。つまり、味方も自分と同じグランドチャンピオン近辺のプレイヤーだ。そこまで上がるプレイヤーはお互いを尊重するという気構えがある。グラチャンが自ら得意だと言えば「それなら任せよう」となるのが高ランクプレイヤー達だったのだ。


まずは1つ課題をクリア。だが、これで負けてしまっては文句を言われてもしかたがない。このサポートと協力して勝ち切ることができるか。華湖はいつも以上に気合の入った顔になっていた。


ゲームが動き出す。


華湖の操るサリーは小さなフェアリーだ。その体の小ささと高速移動のスキルを利用した回避が華湖の得意技だった。ヒラヒラと舞うかのように、敵の攻撃をかわしていく。


Feer:うまっ!

Samurai_ME:信じられないでござる…

Coolout:初見です。上手いですね!

Feer:ヤバッ!今の避けれるの!?

5AMMM:攻撃、全部避けてるやん


いくら小さいと言っても、範囲攻撃などをかわすのは至難だ。だが、華湖はあっさりとやってのける。相手がどう動くのか、読み切っているかのようだった。

華湖のプレイングを見てチャットが騒がしくなる。

プレイ中は全部のコメントが読めないか、少し余裕ができるたびに、サッと確認した。


「ふふーそうでしょ?」


いつもでは考えられないくらいのコメント量。しかも、ほとんどが称賛のコメントだ。

華湖は上気し、鼻を鳴らした。


Feer:すごー!なんで避けれるの?

Coolout:ちょっと異次元ですねこれは


危ないところを味方サポートが幾度も救ってくれる。

(このVoidって人、やりやすい!)

いつも一緒にやっている玲流は、まだ初心者だったので、頼りないところがあった。このプレイヤーとは初対面で、コミュニケーション不足ではあったが、それでも察し良く、こちらがやって欲しい動き方を自らしてくれる。

(さすが、あれだけ人に強く言ってくるだけのことはあるわ)

華湖はグラチャンの凄さを改めて認識することになった。


後半になると、華湖のサリーの攻撃力は最大限に高まっていた。こうなると手がつけられなくなってくる。

そして最大の攻撃スキル、『アルティメット』を使えるようになると、さらにキルを重ねていく。アルティメット、省略してウルトと言われることもある、全カリスマがそれぞれ持っている必殺技のようなものだ。

サリーは次々とキルを取っていく。もはや勝利は確定的だが、最後まで気を抜けない。華湖は集中力を高めた。いつの間にかコメントを拾うのも忘れ、まばたきすら忘れ、画面に見入っていた。

やがて、敵キャッスルが崩壊し勝利の『VICTORY』の文字が表示される。

また味方からメッセージがきた。


Void:言うだけあってメッチャ上手かったな

KAKO:へへ、ありがとgg

Void:gg


初めてゲーム内チャットでggが言えたことで、顔がニヤついてしまった。

配信には、誰かが呼んだのか、どこからか噂を聞きつけたのか、いつのまにか100人を越す視聴者が来ていた。

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