お説教
お説教
目の前には正座して座るアニエスがいた。
マロンさんは、心まですっかり子供になってしまったようで泣き疲れたのか丸くなって寝てしまった。
「ごめんなざいぃ」
アニエスも背中を丸めて泣いていた。
アニエスの実年齢は26だそうで、本当はしっかりと怒るべきなのだろうけど。
見た目は幼女、強く怒るのは気が咎めた。
「ずっと、ずっと!好きな人が居なぐっでぇ~。やっどぉずぎなびとがでぎでだのびぃ!!自分の体が小さぐなっでぇ!でも、でもぉ~!!!」
アニエスの背中を擦った。
どうして俺が幼女好きだと勘違いしたのかは未だによく分からないけど。
こうも泣かれてしまうと、怒る気も失せた。
アニエスが俺に体を擦り付けて謝ってくる。
「あしたちゃんとマロンさんに謝ろ?な?」
アニエスはしゃっくりをしながら頷いた。
「イリスさん?この、『ロリポン』ってどんな魔法ですか?禁呪って言ってましたけど」
「この『ロリポン』ですが、義明様が仰った通り禁呪に指定されています。その訳は、犯罪です」
「犯罪を犯しても若返れば分からないか」
「はい。年齢にもよりますが、50才の人が10才になったらもう誰なのか分かりません。それで、犯罪防止のため禁呪に指定されましたが。問題なのはこの魔法の需要の高さです」
「まぁ、そうだよね」
若返る事が出来る魔法だなんて誰だって欲しいに決まってる。
「もし、この魔法があることが明るみになれば、有力な貴族から使用を求められます。そして、それを断る力が今の国にはありません」
「そうしたらそこから一気に広まるか」
「止められないでしょう」
イリスさんはそう言って、大きく頷いた。
「治安の悪化は国にとって大きなデメリットです。国力を蓄え戦争にも備えないといけない大切な時期なので」
アニエスは俺の腕の中で眠ってしまったようだ。
目を覚まさないようにそっとベットに連れていく、布団をかけてやると穏やかな寝息が聞こえた。
「この魔法は性格まで幼く変えてしまうのか?」
イリスさんに聞いた。
「詳しくは分かっていないのですが。体だけ幼くなりますが、性格に影響は無いとされてます。ただし、同じ人間に同じ魔法を使うと精神が崩壊すると言われてます」
「心に全く影響が無いとは言いきれない。そんなところか」
イリスさんが大きく頷いた。
「大人にする魔法は無いんですか?」
シャロンが聞いた。
「一応有る様なんですが、、、。同じ系統の魔法なので」
「精神が崩壊する?」
シャロンの問いかけにイリスさんが再び大きく頷いた。
「この魔法は『禁呪』にするのが相応しいよ。精神が崩壊するのを承知で唱える奴が絶対に出てくる」
「内密に願いたいのですが、アニエス様のお婆様がそうでした。年々老いる自分が許せなかったと伺っております」
「はぁ。なんせ、これからどうするかだな」
俺の言葉に二人が大きく頷いた。




