番外編 高木君とコーヒー豆
時系列的には武蔵ちゃんの誕生日のすぐ後位です。
俺は今日、マサトとショッピングモールに来た。
「よー。高木久しぶりー」
「おー。マサト元気か?」
待ち合わせの時間丁度にマサトはやって来た。
「この間はありがとなー。なんか相手の好きなキャラ?のスマホケースにしたら喜んでくれたわ」
「おーよかったなー。今日は付き合って貰って悪いな」
俺たちはショッピングモールの中を歩き、輸入食品店にやって来た。
「いやいいよー。どうせ暇だし。俺もこの間はアドバイス貰ったしな。でも、俺、コーヒー豆なんてわかんねえけど、いいの?」
「いや、俺も分かんねえ」
二人で今日は武蔵のコーヒー豆を選ぶ下見にやって来た。
マサトの休みと俺の休みが合い、「遊ぼうぜー」とマサトから誘われて「コーヒー豆見に行きたい」と言ったら付き合ってくれることになった。
俺、コーヒー豆全然知らないからな。
ネットで調べたりしたが、やっぱり実物見て香りを嗅ぎたいなと思った。
マサトも「面白そー。いいぜー」と言ってくれ、今二人でコーヒー豆を見ている。
「でも、誕生日プレゼントにコーヒー豆って、初めて聞いた。早瀬の友達の可愛い子だろ?カフェとかで働いてるのか?バリスタとか?」
「いや。普通の事務。でも、プレゼントは俺と飲むコーヒーがいいって言ってくれたんだ」
俺がそう言うとマサトは、え!!!と固まった。
「え、それってさ、どういう風に言われた?」
俺は思わず顔が二ヤケそうになったが、輸入店のコーヒー豆を眺めながら答えた。
「俺が落ち込んでて、頭撫でてくれながら、「私は高木君と一緒に飲むコーヒーがいい」って
感じかな。優しいだろ」
「高木!!ちょっと来い!!」
「なんだよ」
俺はマサトに引っ張られてカフェに入った。
二人でカフェオレを注文して待っていると、マサトがジッとこっちを見る。
「あのさ、この間母ちゃんが古い映画見てたんだよ。で、その中でな男が女を口説くシーンがあってな。君と一緒にコーヒーを飲みたい、みたいな事言ってたんだよ。母ちゃんに聞くと、そう言う口説き文句があるらしいんだよ。夜明けのコーヒーって言ってたかな?モーニングコーヒー?なんかそんなのだ。でな。あなたと一夜を共にしたいって意味らしいんだよ。」
「!!!!!」
「ひょっとして、誕生日は一緒に夜を過ごしたいって、意味なんじゃないか?」
「!!!!!」
「おい!!チャンスだぞ!!!女の子から誘ってんじゃないのか?これは行かないと失礼だぞ!!」
「!!!!!」
マジなのか?え?でも?そうなのか?
「え、でも違ったら?本当にコーヒー豆だったら?」
マサトはパタリと止まった。
「たしかに、俺も母ちゃんから聞いた情報だしな。それに古い映画だったしな。ねーちゃん達がそういうの使ってたら間違いないな。聞いてみるか?」
俺はゴクリと唾をのみ、宜しくお願いします、とマサトに頼んだ。
結果
「うーん。上のねーちゃんは意味は分かるけど使わない。真ん中のねーちゃんは聞いた事あるけど使わない。下のねーちゃんは知らない。だってよ。てことは普通のコーヒー豆が欲しいと言う事なのか?ねーちゃんに誕生日にコーヒー豆欲しいっていう女をどう思うか、聞いたら、上のねーちゃんは、いい子なんじゃない?私は無しだけど。真ん中のねーちゃんは、は?何それ?下のねーちゃんは、私コーヒー嫌い。だそうだ」
「マサト、結局どういう事なんだ?」
俺はドキドキが止まらない。
「うーん。高木の彼女が単純にコーヒーが好きで、高木と一緒に飲みたい、いい子なのか。それか、一緒に過ごしたいけど、恥ずかしくて言えないけど自分から攻めたいタイプか」
「自分から攻めたい・・・」
俺は武蔵からキスされた事を思い出した。
「うわあ。アリかもしれない。意外とアリかもしれない。普通にコーヒー豆を探しに行ったら怒られるのかな」
俺はワタワタとパニックになりそうになる。
マサトは腕を組み頷く。
「まあ、高木と一緒に過ごしたいって思ってたらがっかりするかもな。モテる男はすごいな。いいな。羨ましいぜ」
「俺、どうしよ。嬉しいけど、どうしよ」
「高木、ここはやっぱり高木がしっかりリードしないとな。頑張れよ!!」
「・・・・」
「ま、今日は一応コーヒー豆も見ようぜ」
俺はよろよろと立ち上がり、マサトに続く。
あれ、ひょっとして、俺の誕生日のコーヒー飲もうってそう言う事?
誕生日プレゼントは武蔵って事?
リボンを着けた武蔵が(高木君おめでとう)って事?
いや、嬉しいけど、すごく嬉しいけど。
うわあ、俺どうしよう。
俺とマサトはその後、コーヒー豆を見て回った。
数日後、武蔵から、
「高木君、ハワイのコーヒーとか、トラジャコーヒーとかも美味しそうなんだけど、高木君どんな豆がいいかな?豆を入れる入れ物も買いにいきたいな。」
とメッセージが入り、やっぱりそうだよな。
うん。そうだよな。
なんか武蔵ごめん。
心の中で武蔵に謝った。
今後もゆっくりと投稿していきたいです。
二人を見守って下さい。




