11 意外な私の着地の仕方
次の日、志麻ちゃんと近所のスーパーに買い出しに行き、二人でのんびりすごした。
会社には月曜日にラッシュを避けて挨拶に行くことと、仕事内容の確認をし、週半ばから仕事に復帰する予定を上司に連絡をした。無理しなくていいから、と言われたが、長く休むのも抵抗がある。
とりあえず会社に行って、上司と相談して決めることとする。リハビリや通院の事も相談しないといけない。
それから、昼ご飯食べて高木君にメッセージを送った。
「こんにちは。
メッセージ有難う、志麻ちゃんからも伝言貰いました。私は無事に退院できました。連絡取りあうのは問題ないよ。これからも宜しくね。
武蔵」
で、送ろうして、志麻ちゃんに見せた。
「これでいいかな。変じゃない?」
「どれどれ。いいんじゃない。初めはこんなもんで。少しずつお互い連絡取りあえば慣れるんじゃない?考えるのは返信来てからだよね」
「では、送ります」
ポチっと押してメッセージを送った。
するとすぐに既読がついて、メッセージが返ってきた。休憩時間だったのかな。
「返信ありがとう。返事貰えるか分からなかったから、嬉しい。早瀬にも話しを聞いてたけど、退院できてよかった。
退院おめでとう。でも、リハビリとかあるだろうから、無理するなよ。俺、今、東区の消防署に勤務してるんだ。それでこの間出動したんだけど。もし、何か困ったりしたら連絡して。
いや、俺のせいで嫌な思いさせたことあるから。早瀬にも聞いたし。何かあったら言って欲しいから。また連絡する。勤務時間の関係で返事遅れることもあるけど既読無視じゃないから。
じゃ、また」
と、返事きた。
私が黙って読んでると、「いい?」と横からひょこっと志麻ちゃんが覗き込み、「ふーん」と言った。
志麻ちゃんも、警察や消防に知り合いがいるのは心強いと思うし、本当に何かあったら高木に頼りな。と言った。
そういえば、高木君は久しぶりの私を見てるけど(爆発後のボロボロ血だらけだが)、私は高木君を見てない。だからメッセージを貰って想像するのは高校時代の高木君だ。ぼーっと思い出してると、志麻ちゃんから背中をパシッと叩かれ、「がんばれ」と言われた。
私は「うん」と言ったけど、なにを?とは返さなかった。なんとなく、一歩踏み出して、嫌なことがいいことに上書き出来るように頑張れそうな気がしたからだ。
別に今後、高木君と付き合うから頑張るとかよりも、高校時代のあの時の苦しんだ自分に、「大丈夫。仲間はいるし、私は元気にしているよ」と言ってあげたい。高木君とも話せる(メッセージだけど)関係になったことを教えてあげたい。
私は高校時代の事は終わったことで消化できたと思ってたけど、今回引きずってることを痛感したし、きっと志麻ちゃんはずっと気にしてくれてた。大丈夫。想い出も塗り替えれる。怖い思いも嫌な気持ちもきっと大丈夫。許せなくて、忘れたくても大丈夫。
これからも私は頑張れる。
そう考えて、高木君にまたメッセージを送った。
「有難う。私は東区の消防署の近くのビルで働いてます。何かあったら高木君にSOS送ります。頼りにします。またね。仕事、気を付けてね」
送ったらすぐに既読がついて、任せろ!と握りこぶししてるスタンプが来た。
志麻ちゃんは私を見ながら「これからちょくちょく高木案件の話を聞かせてね」と、ニコリと笑った。
私は、「うん」と言った。
これからどうなるのかな。過去の私とは話が出来そうだったけど、未来の私はどうしてるのかな。
「ねえ。志麻ちゃん」
「ん?」
「私、爆弾に吹っ飛ばされて、着地失敗したけど、あの時死ななくてよかった」
にっこり笑ったらまた志麻ちゃんに「バーカ」と言われデコピンされた。
高木君と私がどうなるかはもう少し未来の話。進展があったら、その時はまたこうやって、メッセージをあなたに送ります。
一応は完結です。この後、高木君視点の番外編が続きます。




