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爆弾に吹っ飛ばされた私の着地の仕方  作者: サトウアラレ
1章

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10/55

10 意外がないと始まらない

志麻ちゃんは食べる手を止めないまましゃべりだした。



「あれから高木に電話したのよ。メッセージ送って、都合がいい時間聞いて。ほら、やつは夜勤とかあるでしょ。で、連絡来たから電話かけなおして」



「うん」



「結論から言うとね、高木は彼女はいない。無視女もいない。むっちゃんと連絡取りたい」



「ほう」



志麻ちゃんは麦茶を一口飲んで、私のコップにも麦茶を足してくれた。



「高校卒業してからむっちゃんの番号変わってることに気付いたみたい。受験で忙しくてみんなそれどころじゃなかったしね。で、気付いた時にはもう連絡取る手段分からないし、諦めたみたい。むっちゃんに嫌われたと思ってたみたいよ。で、今回偶然再会して、また連絡取りたいと。そりゃ下心はあるんじゃないかな。高木から、むっちゃん彼氏いるか聞かれたし」



「おー」



「で、むっちゃんの高校の時の状況知ってたか聞いたのよ。無視女の事も含め、嫌がらせとかね。で、むっちゃんは高木のこと嫌いではないけど、高木の周りの事で高校の時、嫌がらせ受けてちょっと今もトラウマ的な事あるって言ったわ」



「うわ」



「そしたら、全部じゃないと思うけど少し知ってた。って。で、だから自分が迷惑かけたから嫌われて電話番号も教えて貰えなかったんだと思ったって言ってた。でも、無視女達のことは知ってたみたいだけど、嫌がらせ電話は知らなかったって。変えた電話番号は彼氏出来たから教えないのかとも思ったって言ってたよ。私、高木のこと、高木が悪い訳ではないけど、むっちゃんが傷ついたの見てるからさ、優しくはしたくなかったんだよね。だから、結構はっきり聞いて、はっきり言った」



「彼氏?借金踏み倒し男?」



私は首を傾げ、志麻ちゃんを見る。



「いや、それじゃなくて。ていうか、結局踏み倒されたのね。だからお金は貸しちゃいけないのよ。貸してっていうやつはクズだから。絶対返さないって。まともな奴は彼女に金借して~~~、なんて言わないから。勉強料と思って諦めな。もう絶対貸しちゃだめよ。連帯保証人もサインしちゃだめよ」



「3万です。うん、サインしない。もう勉強料と思って諦めます。ごめんなさい。で、彼氏って誰?」



志麻ちゃんはしゃべりながらも綺麗にご飯を食べていく。私の方がしゃべってないのに箸の進みは遅い。



「よろしい。で、「武蔵は後輩の男の子と付き合ってたろ?」って言われたよ。むっちゃん、心当たりは?」



「ない」



「私も誰それ?って聞いてね、名前は?って聞いたけど、高木は相手の名前は知らなくて。ただ、目元にほくろがある、可愛い系のむっちゃんよりちょっと背が高い一つ下の男の子だって」



「うわ、具体的。それは服部はとり君だ。可愛いで、ほくろはそうだよ、きっと。一個下だったし。うん、卒業式の後に告白されて断ったよ?志麻ちゃんに話さなかった?同じ委員の服部君。付き合ってないよ?なんで私付き合ってんの?いつの間に?」



志麻ちゃんは頷き、キンピラおいしいね、むっちゃんも食べな。と言った後、



「うん、多分その服部君だね。あー、告白聞いたわ。駅で何回か見たことある子ね。ポメラニアンみたいな子だったよね?むっちゃんにしっぽ振ってるの見えてたわ。まあ、可愛い顔して腹黒系ね。で、私も違うって言ったけどね。高木はむっちゃん、大学時代は可愛いわんこ系後輩と付き合ってると思ってたよ。あ、踏み倒し男の事は言ってないよ。言う必要ないしね。高木は後輩とむっちゃんが付き合ってないって聞いて、びっくりしてたけど。誰情報だろうね。ま、高木はヘタレなんか、鈍感なんか、運無し男か、意外と悪い男かのどれかだね」



サバの南蛮漬けと、キンピラを食べながら私も首をひねった。



「うーん。どこの情報だろうね。高木君、運悪いって言ってたよ。おみくじ大凶引いたことあるって言ってたな」



あ、ほんと、キンピラおいしいね、と私が言って、



「服部君はポメラニアンかあ、なんか分かる気がする。目とかキュルンって感じだったよね。あ、私ばあちゃんにダックスフンドって言われた。そしてマルチーズのシェリーに負けてるらしいよ。あー。結局どうしようかなあ。無視女の心配なくて、高木君も彼女いなくて連絡とっても問題なくて、で、こっちも彼氏いないの知られてて。なんかちょっと恥ずかしいんだけど。こういうのってみんな普通にあるのかな?連絡取ったら付き合うみたいになるの?高木君って私の事好きなの?え、いつから?会ったの吹っ飛ばされた爆発の時だよね。ていうか、こういうの考えるの自意識過剰?恥ずかしいんだけど」



「ダックスフンドはないわね。むっちゃんもポメラニアン系。二人並ぶと、服部君とは可愛いカップルに見えたかもね~。お人形みたいなこじんまりした可愛いカップル。むっちゃんがシェリーに負けたのはいいとして。そーねー。改まると、気恥ずかしいよね。でも、いいんじゃない。甘酸っぱい感じで。レモンスカッシュね。むっちゃんもウエーイみたいなノリは苦手だし、こういう方が安心できるんじゃないの?まー、みんなノリで連絡先交換するのが多いんじゃない?久しぶりー。またあそぼー。とかで連絡先交換して。で、言うだけで、意外と連絡はしないのよ。まあ結局、高木は真面目なのね。それか、もう失敗したくないか。ヘタレを辞めるのかしら。ん~~~。むっちゃんの好きにすればいいよ。ちなみに高木はむっちゃんの会社の近くの消防署に勤務してる」



「おー。情報多いな。私もポメラニアン?服部君と私、カップルに見えたのか。服部君の方が私より可愛いと思うけどな。志麻ちゃんは何かな。犬より猫かな。ロシアンブルーとか?かっこいい系。司君も猫っぽいかなあ。ふー。なんかね、急に高木君からの事言われて戸惑ってるんだよね。好きだったけど、過去じゃない?今の高木君知らないし。高木君も私のこと知らないし。変に期待されてても困るんだよね。連絡とったら付き合わないといけないとかないよね?」



志麻ちゃんは漬物をポリポリ食べながら頷いた。



「そりゃそうよ。連絡一つで付き合ってたら、世の中カップルだらけだわ。ただ、高木は付き合いたいかもしれないけど、むっちゃんはむっちゃんのペースでいいよ。高木だって話して、あーなんか違うなって思うかもしれないしね。ま、やつの気持ちはやつしか分からんが。私の中でやつはヘタレオブヘタレとしとこう。あ、ロシアンブルーってこれね。綺麗な猫ね。あー、司も猫かもね。これ、司これっぽい」



携帯で猫の画像を見ながら志麻ちゃんが言った。



「ブランブル?ヒョウ柄かわいいね。強そうなところが司君に似ているかも。猫も可愛いよねー。私、喘息だから飼うの無理だろうけど。私、高木君に連絡してみようかな。高木君の事は嫌いじゃないし、連絡取りたいって言われるの、悪い気はしないんだ。私もモヤモヤしてた事だから、ちょっと嬉しい。それに志麻ちゃんが間に入ってくれて安心したしね。いい加減、怖く思うのも止めたいんだよね」



「うん、無理しないで。連絡だけだし。友達よ。友達。なんかまたあれば、相談乗るし」



「うん、志麻ちゃんありがとう」



私は高木君に連絡取ることを決めたが、その日は志麻ちゃんと猫や犬の画像を見て、誰々に似てるー、と馬鹿話をして話が盛り上がり連絡したのは次の日の昼過ぎだった。


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