第一話 今日から俺は学園生
第二章の始まりです。
俺がこの世界に転生して、早くも6年が経過した。
先ずは、近況報告からだな。
最近では、先生の真似事をやっている。
友人である5人の少年少女に、魔法と計算と文字を教えているのだ。
その甲斐あってか、五人共、子供とは思えないほどの知識と、魔法の腕前を獲得する事となる。
俺に、最初に話しかけて来た女の子リディスは、青の魔結晶を持つマルーノだ。
リディスは、補助魔法が非常に得意だった。
回復魔法も使えるが、まだ傷を見るのが怖いようで、誰かが広場で転んで怪我した時は、怪我人をとりあえず皆で囲み、俺が魔法を使っている所を見られないようにする。
何故そこまでするのか? と言うのには、二つの理由がある。
一つは、俺の魔結晶の色と関係している。
魔粒子を集める際の色は、魔結晶の色と同じものになる。
したがって、俺が何かしらの魔法を行使しようとすれば、必然的に黒い魔粒子が集まるわけだ。
忘れてはならない事がある、広場の上空に、突如現れた黒い球体事件だ。
勘の良い子供なら、俺があの魔力球を作ったと看破してしまうだろう、それを隠すための手段でもある。
もう一つの理由…。
俺達5人は、秘密の特訓と称して、魔法の特訓を行っている。
それを、他の子供達に見られでもしたら一大事である。
自分にも教えろ! と言う者が殺到する事は、創造に難くないだろう。
今の所、以上2点だ。
話が逸れたが、次にマークだ。
常にリーダー的存在で有り続けようと、日夜頑張る努力家である。
口ではツンデレな事を言う事もあるが、実は根が優しく、誰よりも頑張り屋である事は良く知っている。
シンシアは回復魔法が得意な様だ、魔結晶も緑だしな。
俺の回復魔法と違って、緑色の魔粒子を収束するので、見た目にも綺麗である。
こういう時は、ちょと羨ましく感じてしまう。
ゆっくり君なダストンは、魔法はちょっと苦手のようだ。
魔結晶の関係もあるのだろう、それは仕方ない事だ。
だがしかし、紫の魔結晶のお陰で、身体強化の魔法にブーストが掛かる。
そのお陰で、短時間ではあるが、なんと! 身体強化を使ったシンシアとリディアに、追い付けるまでになったのだ。
そして、その膂力も凄まじいものとなった。
俺が試しにリディア宅の中庭で、俺自身に物理障壁を展開、黒の魔結晶の特殊効果も有り、勿論ブースとが掛かっている。
だがしかし、ダストンが身体強化を発動させた全力パンチで、少しヒビが出来てしまった。
俺は背筋がゾっとする思いをしたものだ、あの時の事は忘れまい。
フィリップは、最近5歳となった。
やはり、体内魔力の成長は、5歳辺りを機に大きく成長を始めるようだ。
魔法教本には、10歳から体内魔力の鍛錬を行うと良い、と記載されていたが。
その場合、鍛錬できる期間が短くなってしまう。
体内魔力は、18歳で鍛錬してもそれ程伸びなくなり、後は年齢を重ねなければ、体内魔力は増強しないのだ。
やはり、理解力の問題とか色々あるのだろう、だから10歳なのだろうと、自分を無理やり納得させる。
まぁ、そのフィリップだが、今では半径2メートル圏内であれば、自由に魔力球を生成でき、操作できるようになっていた。
皆俺のように、幼少の頃から過度な訓練をしている訳ではなかったが、此処最近の体内魔力の成長は素晴らしいものがある。
さて座学だが、やはりダストンが最も成績良い。そう言えば、鍛冶師の息子って言ってなかったっけか?
いあ、単純な膂力は有るのだが、この座学の吸収の速さは素晴らしい、今ではちょっと分厚い植物辞典を読めるまでになっている。
計算力も高く、今では四則演算も何のその、お金の計算はとにかく素早い、親の職業の関係もあるんだろうが、それでも目覚しい。
フィリップは、なんと! 小難しい小説を、ひっかりながらも読めるまでになっている。
この世界の標準語とされるマルーノ語は、構文さえ覚えてしまえば、後は単語単位であるので、そこまで難しいものではない。
地方によって言い回しは違うようだが、実際に行った訳ではないので良く解らない。
しかし、計算は今だ苦手のようだ、今は掛け算で引っ掛かっている。
まぁ、ゆっくり教えていこう、こう言うのは焦ってはダメなのだ、ゆっくりゆっくり、理解できるまで何度でもだ。
そうしなければイヤになり、学習しようと言う気が失せてしまうものだ。
マークは最近、やっと絵本をゆっくり読めるようになったようだ。
計算は、一桁の足し算がやっと出来るようになった。
マークは座学よりも、戦闘系の方が向いているのかも知れないが、最低でも足し算引き算は出来るようになってもらおう。
そうじゃないと、将来が不安だからな。
リディスとシンシアの女子二人は、同じペースのようだ。
何やら二人だけで、こそこそと何かの本を呼んではホクホクしている。
ここで覗いたりしてはいけないのだ、女子とはそういう生き物である。
二人の計算力は軒並み平均的な感じだ、四則演算も桁が多くなければ有る程度は出来る。
そうそう、紋記号魔法の事も忘れてはならない、俺は最近ある壮大な計画を始めている、今はまだ秘密だがね。
それを成す為の紋記号円も、少しずつだが書き進めている。
かなり動作が複雑なモノを製作予定なので、その紋記号円の枚数も、膨大な物になるだろう。
今は、基礎的な部分の半分を書き終えたところだ。
この状態では、まだどういう動きを成すのかは検討も付かないだろう。
もう一つ忘れてはならないのが、妹のミルフィーナである。
2歳になった彼女は、ついに! 二足歩行を始め、片言で端的ではあるが、言葉も話すようになった。
先月位から。
「にーさん こっち~」
とか喋れるようになったのだ。
我が妹ながら、こうして成長しているのを見るのは実に良いものだ、軒並みすくすくと成長している。
そうそう、ちょっと気になったので、ミーナにだけマジックセンサーを使ってみた事がある。
因みに、最近のマジックセンサーは以前よりもパワーアップし、単体に対しても使用できるようになったのだ。
まぁ、それで使ってみたが、何の変哲も無い普通の信号を、俺の脳内で発している。
うむ、どうやら、本当に普通のマルーノの幼児のようで一安心である。
俺という前例が有る夫婦の間に生まれた子供なのだ、ちょっと何か違うのではないか? と思ってしまうのは仕方ない事だろう。
たまたまマルナの買い物に同行したとき、八百屋のおばちゃんが。
「あら~、今度の子はお兄ちゃんの方と違って、普通の子みたいね~。でもマルナちゃん、差別してはダメよ」
とか言っていた。
差別はしないと思うよ? とか思ったが、あえて突っ込むまい。
それから、カディウスさん宅の地下の訓練場は、現在使用者が居らず、大量の資料や売上金を貯蔵しておく便利倉庫と化している。
そろそろ、皆が属性魔法を使いたくなる頃だろうから、訓練施設はどうにかしなければならない。
マーク辺りは、いきなり全力の攻撃魔法とかをぶっ放しそうなので、安全な場所の確保は急務だった。
仕方が無いので、無理を承知でカディウスさんにお願いしてみた。
「カディウスさん! 無理を承知でお願いします! 俺の自宅の地下に、訓練施設を作ってください!」
俺は全力のお辞儀をしてお願いしたが、案外答えはすんなり返ってきた。
「ああ、構わん。しかし、深い穴が必要になるら、両親に許可を取ってくれ。掘るのには、打って付けの人物がいるから、その者を回そう。次に階段だが、ドランク武具工房の店主が私の知り合いだ、彼に頼めば用意して運んでくれるだろう」
ん!? んん!? 今ドランク武具工房って言わなかったか? そこって確かダストンの所の工房だぞ?
そう、ダストンのファミリーネームはドランクである。
そして、彼の父親が営んでいる武具工房の名前も、ドランク武具工房である。
同じ名前の工房が、二つも在る筈が無かろう。
まさかこんな所で、世間の狭さを知る事になろうとは思わなかった。
この依頼は少々時間が掛かるそうなので、今年中にどうにかすると言っていた。
取り敢えず、今は保留だな。
そう言えば、妹が発声出来るように成る少し前に、ディクス爺ちゃんも久々に来たな。
あの時は、何か不穏な事を言っていたが…。どうなったんだろう?
ま、そんなこんなで、慌しく月日が流れ、今現在に至る。
今現在は、新共暦1209年 天の月4-30日目である。
俺は先日、6歳に成ったばかりだ。
そして明日は、ルキリア学術学校の入学式である。
余談だが、妹のミーナは、天の月4-22日目が誕生日だ。
言ってみれば、俺とミーナは学年的に遅生まれである。
このルキリア学術学園は、初等部4年、中等部3年、高等部2年の、計9年制となっている。
義務ではないが、ルキリアの国が入学を推奨しているので、余程家計に困っていなければ、入学する事になる。
俺が明日から入る初等部は、授業が午前中から昼前までで、週に4日通う事になる。
週の初めから、連続で4日、後の2日は休みとなる。
休みと授業日数に関しては中等部も高等部も同じだ
どうりで朝の広場には、俺達と同い歳の子供しか居ないと思ったら、そういう事のようだ。
中等部からは、午前中から昼の3時まで。
高等部は、午前中から夕刻前まで。
高等部の学科によっては、夕刻過ぎまでとなっている。
しかし、小学校の入学式を思い出すな。
俺は校長先生の話を聞きながら、眠っていた記憶がある。
まぁ、何れにしても、ちょっと楽しみである。
今は自室にて、明日の準備を推し進めている。
俺は今、皮の鞄を勉強机と称した、趣味机の上に置いている。
これは、俺等の歳でも持てる程の小さめの鞄である。
学年が上がるにつれ、その鞄も大きくなるようだ。
この事は、ライアスに聞かされた。
因みに、この規定の皮の鞄は、適正年齢になった子供が居る家庭に、国から支給されるようになっている。
服装は自由になっていて、余程の汚い身なりでなければOKなのだそうだ。これも家庭事情を考えての事だろう。
余談だが、マルナは中央大陸の北西部に在る小さな村、リトリス村の出身なので、学校というのは良く解らないそうだ。
日曜学校みたいなのが在ったそうなので、そこで文字の読み書きと、計算と魔法の基礎を習ったそうだ。
ライアスはバリバリのルキリス市民だから、学園の話をひたすらしてくれた。
それをマルナは羨ましそうに、ミーナと遊びながら聞いていた。
ミーナも学校に興味を持ったのか。
「が、く、え、ん? なーに?」
等と聞いてきたりもしていた。
そんな楽しい数日を過ごし、ついに入学式当日がやってくる。
俺達一般層の子供達は、ルキリスの街の東側に在る、ルキリア学術学園に向かう。
チラッと聞いたが、貴族の学校もあるとか。
それは、貴族層の区画にあるそうなので、俺達と貴族が一緒になる事はないらしい。
しかし、広場とは反対の方角だな、授業が終わったら素早く帰宅せねば、皆と遊んだりする時間が無くなりそうだ。
そんな事を考えながら、俺は何時もの4人と一緒に馬車に乗って、今現在も移動中である。
俺が思考の海に沈んでいると…。
「―――い! おい! ダイン! 聞いてるのか?」
何だよマーク? 俺は考え事をしていたんだぞ。
いや、そうじゃないな、一体何だろうか?
「あぁ~、悪い、考え事していたよ。で何?」
「で何? じゃねーよ。今日の体内魔力の鍛錬と、計算と文字の練習はどうするんだって、さっきから聞いてるんだよ。お前ちっとも反応しねーし」
そんなに集中してたのか…。
済まんね、テヘペロ。
「すまん、すまん。そうだなぁ、取り敢えず今日もやるとして…。学園の終了時間次第ってところかな」
「なるほどな」
マークは手をポンと打ち、納得のポーズ。
ふと俺の右横を見ると、リディスが心配そうに俺を見ている。
「ダイン君…。ず~っと空ばかり見てるから、どうしちゃったのかな? って、心配になったんだよ」
心配そうな顔をしながら、俺に顔を近づけるリディス。
俺は笑顔を作り、大丈夫な様子を見せる。
「うん、考え事してたからね。でも、もう大丈夫だよ」
そう言うと、リディアはパァっと明るい顔になる。
やっぱりこの子には、笑顔が一番です!
「そうなんだ、なら大丈夫だね」
「で、でも、さっきのダイン君…。遠くに行っちゃいそうな、そんな顔してたし、心配だったんだ…」
ダストンも心配してたのか、そりゃすまんね~。
「ま、わたしは何時もの考え事かなぁ~って思ってたから、心配してなかったけどね~」
シンシアはちょっと違う考えだったようだ、良く見てる感じがする発言だった。
その後5人で、今後の鍛錬や、座学について相談していると、馬車が一斉に止まり、ドデカイ建物の門の前に到着する。
馬車の数はざっと50台はあるかも知れない、子供たちの大移動である。
その停車した馬車の客席から覗く顔ぶれは、皆俺達と同い歳の少年少女だった。
この国では一般的に、制限はあるが、10歳から街の中をある程度自由に出回る事が出来る。
つまり中等部からだな、これは前にも説明したと思う。
初等部な俺達6歳は、朝に迎えに来る、この馬車に乗らなくてはならない。
乗り遅れると、その日の授業は遅れてしまうだろう。
最悪、授業が終わっていた、という事にもなり兼ねないので、寝坊は禁物である。
俺達は皆一斉に馬車から降りて、引率の教師と思しき、壮年のマルーノの男性に案内されながら巨大な門を抜け、学園に入る。
すると、上級生と思しき生徒が、広大な敷地にある何かしらの訓練場にて、木剣を用いて戦闘訓練をしていた。
カツン! カツン! と、木剣同士がぶつかり合う音が聞こえてくる。
その様子を、訓練場内の端っこで見ている上級生も何名かいた。
ある人物は入念に、木の下敷きの上に広げた羊皮紙に何やら書き込んでいる。
ある人物は腕組みをし、その模擬戦の様子を熱心に見入っている。
俺も上級生に成ったら、あんな感じの訓練をするのかと思うとワクワクしてしまう。
おっと、あまりジロジロ見てはいけないな。
俺は目線を戻し、皆と歩幅を合わせながら、長い長い舗装された中央の道を歩いて行く。
そして、途中で1度だけ曲がり、広めの運動場と思しき場所に案内された。
皆整列などしている訳ではなく、仲の良いグループで集まり、大なり小なりの集団を作っていた。
その時、数人の教師と思しき人物が現れて、俺達を整列させ始める。
気を利かせているのか、仲の良いグループを少しずつ列にしていく。
非常に手際が良いのは、恐らく毎年の事なのだろう。
そして俺達5人も、その教師と思しき人物に案内され、とある列の最後尾に並ばされた。
そして、待つ事10分程…。
全てのグループが、綺麗な縦横の列を成したところで。
運動場と思しき場所の中央に設置された壇上に、一人の壮年のエルフの男性が上り、入学の口上を述べる。
「皆! 静かに! うほん…。 ワシが、このルキリア学術学園の学園長、ルスルトス・ケリオンである!」
おぉ! 威厳たっぷりの渋い声でいらっしゃる、いかにも学園長!って感じだ。
見た目も、頭のてっぺんが禿げてるし。
とか考えている最中も、学園長の演説は続く。
どうか長くなりませんようにと、薄い望みを心に抱く。
「皆はこれから9年間、この学園に通う訳だが――」
演説が始まって10分後…。
「――以上である! この後は、各列毎にクラスとする! 担任の先生の言う事は、しっかりと聞くように! 以上!」
ふぅ~、割と早く終わったようだ。
しかし、列毎でクラス分けとはね、案外画期的かもしれない。
一列30人程で、横に8列有ったので、凡そ240人程の子供たちである。
まぁしかし、この城下街の大きさを垣間見た気がしたな。
その後、俺達の列にも担任の教師が付いた。
その教師を見てみると、いかにもまじめそうな髪型の教師だった。
しかも眼鏡だ、鼻の上にチョコンと乗っている小さめの眼鏡が非常に印象的である。
「この列の子達! 僕がこの列のクラスの担任となった者だ! これから教室に移動するから、付いて来なさ~い!」
声も真面目そうな声だ、ぶっちゃけ戦闘能力は低そうに思える。
がしかし! この世界の人々は、見た目で判断してはいけない。
それは、この6年間で十分に学んでいる事だ。
そんな事を考えながら、俺達の列もぞろぞろと移動する。
その途中、リディスが話しかけてきた。
「ねぇねぇ、ダイン君。この学園って、とっても大きいね」
しかもちょっと小声だった、小鳥の囀るような美声である。
おいおい、気を付け給え、見た目は子供だが、中身はオタクでオッサンなのだよ?
とりあえずあいまいに返しておこう
「そうだね~」
その会話から歩く事少し、目的の教室に到着する。
移動の最中、既に教室に入っている列のクラスも幾つか有った。
俺達は、その教室の6番目だった。
ずらっと並ぶ、廊下に面した教室は壮観だった。
教室に付くと、担任の先生が。
「さて、此処が君たちの勉強する教室だ。先ずは仲の良い者同士で席に座ってくれ」
さて教室の中だが、大学の教室を彷彿とさせる作りだった。
半円状で段々になっている机、その半円の中央には道が作られていて、椅子は個別では無く繋がった形式である。
全部で5段になっていて、俺達5人は教卓から見て、左側の最下段に座った。
それは、ダストンの事も考えての選定である。
こちら側の席は、広大な運動場を一望できる窓際だ。
俺は窓際にし、その隣に素早く移動してきたのはリディス、彼女の右にはシンシア、そのまた右隣がマーク、真ん中の通路側にダストンの順で座る。
俺達全員が着席したその直ぐ後、教卓で立正していた担任の教師が口を開く。
「さて、皆席に座ったようだね。先ずは、僕の自己紹介から始めるよ。僕の名前は、トリスタン・リトーズと言う。これから9年間、君達にこの教室で勉強を教える事になる。長い付き合いになるけど、よろしく頼む!」
トリスタン先生はその後、教室を一度見渡し、何に納得したのか知らないが、うむ! と頷く。
「では、それぞれに前に出て、自己紹介をしてもらいます。先ずは…。君から」
そう言うと、トリスタン先生はダストンの所まで移動し、自己紹介を促している。
おいおい、よりにもよって、最初が上がり症のダストンとは…。
とか思っていると、意外や意外、ダストンは勇気を振り絞って教卓の前まで先生と一緒に移動し、自己紹介を始めた。
しかも、皆に聞こえる程はっきりとした口調だった。
これは負けじと対抗意識を燃やしたのか、マークも後に続く。
その後、全員の自己紹介が終わり、本日の学校はこれで終わりの時間となる。
明日から、本格的な授業が始まるそうだ。
俺達5人は鞄を持ち、帰路に着く、と言っても、来た時と同様に、学園の馬車に乗って帰るだけである。料金は無料!
因みに、学園の馬車の御者は、学園から給料を貰っているので、それが料金となるとか。
まぁ、いくら貰っているかは知らないが。
そして、住民区画で俺達5人は降り、御者のおっちゃんにお礼を述べて、各人我が家へ急ぐ。
足腰に身体強化魔法を使い、周りの人がビックリするほどのスピードで駆け抜ける。
ダストンなんかが走る姿は非常にシュールだ、あの短い足が高速で動くのだから。
初めてあの動きを見たときは、声に出して笑ったものだ。
その後、俺達はそれぞれの我が家で昼食を済ませ、リディス宅に集まり、何時もの様に体内魔力の鍛錬と、文字と計算の勉強を行う。
そんな生活が4年続き、俺達は中等部へと進級した。
初等部は平和そのものなのでダイジェスト化します。
ダイジェストは次回で書きます。